第88話 アップデート
「さて、みなさんお仕事ですよ。」
ゲーム部門のリーダーが、
「アケうにょのアップデート版の作成を行います。」
チームのメンバーに笑いかける。
そう。このアケうにょはすっかり「甘い機種」として定着してしまった。一番理想のセットカードとノーコンパーフェクトまで毎回狙える人なら1でも勝率は9割を超える。昨日のデータではグループが経営する全店舗の機械割もついに100%を超えてしまった。まぁそこに至るまでに回収できた金額も大きいのであろうがこのまま放置しておくと単なる甘い台となってしまう。打ち手に喜んでもらえるのは嬉しいけどメダルのインフレを引き起こしかねないから撤去なんて言われたら悲しいからね。
「今回やることはゲームCZ部分の大幅なアップデート。主に難易度3と2をさらに難しくしちゃってください。」
そこで今回のアップデート。長期稼働のためにできることはやらないとね。
「1週間くらいで一度進捗確認をしたいと思っています。それまでにある程度形にしてもらえたら嬉しいです。」
「了解です。」
メンバーは待ってましたと言わんばかりに作業に取りかかる。優秀なメンバーだ。きっとこうなることは見越してある程度の準備をしていたのだろう。
「新キャラ追加してもいいですか?」
格ゲー担当から声が上がる。
「音ゲーも既存曲の譜面変更だけじゃなく新曲入れてもいいですかね。」
音ゲー担当からも。これは楽しみだ。
「ええ。もちろんです。楽しみにしてますよ。」
メンバーのみんなは何も問題ないだろう。あとはこっちの話だな。
「おつかれさまです。」
ゲーム部門のリーダーが、
「1日ぶりだな。どうした?ちょっと調子悪い?」
開発チームのリーダーに話しかける。
「確認したいことがありまして。アケうにょのゲーム部分のアップデートに今取りかかってるんです。ルール上はそれを既存の機種に落とし込むことって不可能なんですよね。」
そう。パチスロ全般のルールのことを少し調べて気づいてしまった。簡単に言うと一度ホールに導入した機種は途中から仕様変更はできない決まりとなっているのだ。
「・・・ルール上はな。けど、オリスロは従来のパチスロに比べればこっちの土俵で戦える。好き放題作ってくれ。抜け道を探すのはこちらの仕事よ。」
束の間の沈黙を覆す力強い言葉。よかった。こっちの方も大丈夫そうだ。




