第86話 一番の日
ネギと玉チャ丼の組み合わせ最強やんけ。好物のニラの入った野菜盛り合わせもペロッとたいらげごちそうさま。さて、天使もちょうど食べ終えた感じだな。息ぴったりじゃん。これは偶然か、必然か。
「ごちそうさまでした。」
偶然でも必然でもいいのよ。今まさに「ごちそうさまでした」なんだよ。天からボタンが降りてきたところなの。まずい。ここからは「そろそろ帰りましょうか。」の危険があるぞ。まだ聞きたいこと何も聞けてないのに。ここが勝負どことみた。ENDロゴ出るまでどんどん聞くぞ。
「ごちそうさまでした。今さらなんだけどお姉さんのことなんて呼べばいいですか?」
苗字でもニックネームでもいい。まずはそこから知りたい。
「うーん。(まぁ本名でも大丈夫かな。)そしたら「ルネ」で。お兄さんは?」
お。おれの呼び方も聞いてくれるのは嬉しい。ルネさんね。脳に焼きつけた。
「おれはツキヒト。改めてよろしくお願いします。」
一応本名だけど分からないかもな。尽くす人と書いてツキヒト。「尽」という概念はあまり好きじゃないが運の「ツキ」+人みたいでカタカナ表記がお気に入り。
「よろしくです。ツキヒトさん。そろそろ敬語じゃなくてもいいですよ。多分ツキヒトさんの方が年上だし。」
お、おお。大分警戒心を解いてくれているのではなかろうか。ここまで来たら聞くしかないよなぁ。連絡先を!・・・考えるな、勢いで言うんだ。
「おっけ。ルネさんのRINEって教えてもらえる?」
・・・どうだ。ひねりのない聞き方。どこかの恋愛動画で回りくどい聞き方はNGって書いてあった気がする。・・・ルネさんも即答はしないね。この沈黙はどうだろう?まだ聞くべきじゃなかったのかな。やらかしたかな。
「(多分この人になら教えても問題ないかな。)・・・いいですけどあんまりしつこいのは駄目ですよ。」
不安に負けて「ごめん。今言ったことは気にしないで。」って言いかけたところで答えてくれた。あぶねぇ。
「ありがとう!」
嬉しさと緊張で少し震える手でプラスを操作して連絡先を交換。多分気づいていただろうけど何も言わないでいてくれた。もうこの時点でやりきった感がMAXだったがルネさんはまた話し出す。
「ゲームの方のプレイヤーネームもツキヒトさん?」
「うん。そうだよ。」
「・・・このアイコンと名前で合ってます?フレンド申請しときますね。」
そうだよね。せっかく二人とも遊んでるオリスロカードバトル。フレンドにならないはずがない。どうすんだよ。幸せのリミットブレイクだよ。
「そういえばツキヒトさんの格ゲーCZ見て思ったんですけど・・・」
その後もアケうにょに関する話が結構盛り上がり、30分ほど続けた後に解散となった。予想通りルネさんもアケうにょガチプレイヤーだったね。音ゲーCZを極めてきたけど格ゲーCZの方が「時間効率がよい」から切り替えようかとも考えてると言ったときは震えた。まぁ結局自分の練習した感想、サポート枠におるごんをセットしない場合のデフォルトキャラではパーフェクト勝利がほぼ不可能であることを説明するとそれなら音ゲーのままでいくか、ということらしい。
「今日はありがとね。また隣で打てると嬉しい。サンシャに来るときは連絡するよ。」
脳内で何回かシュミレートしたセリフ。キモくなく言えただろうか。
「こちらこそ。らーめんごちそうさまでした。2日に一度はいると思いますよ。」
よかった。「別にいいです」なんて言われなくてホントによかった。
「よし。そしたらまた今度。気を付けて帰ってね。」
「ツキヒトさんも。気を付けて。」
そろそろ日付が変わる時間、お別れの挨拶をして自転車を漕ぐルネさんを見送る。真夜中に自転車で変な輩に狙われないかと少し不安になるが心配してもしょうがない。すでに「車に乗っていきません?」は一度断られてるし。(しかも自転車入れるスペースないし)
屋外の喫煙所は寒いので車の中で一服。はぁー。よく頑張ったな。おれ。よく誘った。よく連絡先を聞き出した。よく下手を打たず長時間話せた。なんか今日が今までの人生で一番頑張った日で一番幸せな日かもしれん。
・・・さぁ帰りましょう。安全運転でね。ドリフトかましたりしないよ?
メダル残約5,100枚 総収支-286,000




