第84話 脳汁ブシャー
「えーと。」
どうだ?成功なのか失敗なのか。返事が怖い。
「お互いにお酒を飲まないならいいですよ。」
これは・・・成功ってことでいいんだよね。これから一緒に飯に行けるんだよね。まじか。心の底からこみあげてくる喜び。緊張からの解放。ほとばしる脳汁。ブシャー。
「ふぇー。よかったぁ。全然かまわないです!どこか行きたい店あります?」
考える前に言葉が出てきた気がする。もともとお酒飲むつもりなかったからなんの問題もない。(そもそも車だしね)
「らーめん関取なんどうですか?」
らーめん関取、行ったことないな。道案内もかねて車に乗ってもらえるといいんだけど。・・・いやそれさすがに警戒されちゃうか?まぁもうここまできて臆することはないわな。GO!
「らーめんいいですね。・・・もしよければ車乗ってきます?」
あふれ出る脳汁でぬるぬるの脳内、どうやら発する言葉のブレーキがきかなくなっているみたいだ。・・・ここから入れる保険、ありますか?
「帰り道だしそんなに遠くないので大丈夫ですよ。このART終わったら終わりにしますね。」
やっぱ踏み込みすぎたか(-_-;)けど事故には至らずってとこかな。
「了解です。ノーコンのCZ、的確な台移動お見事でした。」
自然と思っていたことが口に出た。ずっと言いたかった。「お見事です」
「お兄さんこそノーコンだし4ツモだし。しかもフリーズ引いてすごい連チャンしてたしお見事でしたよ。」
え。おれも褒められた。死ぬほど嬉しい。まさかこの娘にお見事言ってもらえるとは。快楽物質の海、ドーパミンの波でカットバックドロップターン。多分しばらくの間まともなことしゃべれそうにないな。
「お、うん。ありがとう。」
これしか言葉が出てこなかった。しょうがない。気づけばこの娘のARTが終了し遊技終了となっていた。
「それでは向かいますか。チャリで向かうので現地で少し待っててください。」
待とう。たとえ君が来なくとも。
「はい。またあとで。」
やった、やったぞ。おれだって誘えるんだ。女性と飯に行けるんだ。・・・とりあえずらーめん関取の場所を調べながら一服しよう。このテンションのまま運転すると事故りそう。
さて安全運転で着いたぞ。らーめん関取。意外と近いんだな。車の中で待っててもいいんだけど万が一すれ違うといけないからな。入口前で待っていよう。そわそわ。わくわく。ドキドキ。5分ほど待ったところで深夜の闇にまぎれた自転車を発見。駐車場に入ってくる。来たな。
「お待たせお兄さん。」
ヘルメットを外してカギをかける一連の動作も天使。
「今きたとこですよ。では入りますか。」
こういう場面になんて言うかは俺でも知っている!いくら待っていたとしても「今きたとこ」が正解なはず。・・・だよね?
「ですね。腹ペッコ。」
そして店内へ。目標は連絡先の獲得。頑張れおれ!




