第82話 お誘い
タバコから戻って数分後。まさかの事態。アクシデント。隣の娘が移動しちゃうよ。たしかに設定はないと思う。けどまだプラスなはず、もうちょっと隣で打ってほしかったなぁ。
お!まじか。移動先もおれの隣だ。あーよかった。みかんからの牛乳からの幼女とはこのこと。確かにマイナスだけどまだ答えが出せるほど回ってないし打ってた人もあまりうまくはなかったから当たり台の可能性があると考えたのかな。どちらにせよ隣でよかったよ。
そこからは凄い。まるで別の台なんじゃないかといった挙動で順調にメダルを増やしている。こっちも負けじとフリーズからのARTが終わったあとも少しずつメダルを増やしていく。ん?!これは。ボナ終了時に出たこの画面は設定4以上確定の画面やん。4あるとは思ってなかったから嬉しいや。あとはぶん回すだけか。
時刻は22:07。ARTが終わってヤメ時かなと思ったけど隣の娘は遊技続行中。当たり台を掴んだら可能な限りぶん回すスタイル、かっこいいね。・・・そういえば前もおれとこの娘が当たり台をツモって遅くまでぶん回すとこまで前回と一緒か。もはや運命では?
「もう声かけちゃいないよ。」
「二人とも昼飯も食べてない。夕飯誘うべき。」
脳内のちっちゃいおれ。また騒ぎ出す。
「今日ならフリーズの話でもしながら盛り上がるんじゃない?」
「勝ってるの向こうも知ってるし奢っても不自然じゃないしさ。」
今日のちっちゃいおれどもは前向きだな。みんなして頭お花畑かよ。フラワーヘッドクレイジー。
「何故声をかけるのですか?」
「運命だからさ。」
ちっちゃいおれついに決断しやがった。もうどうなっても知らないからな。
決断を実行に移すまでに少し時間がかかる。けどしっかりと声が出た。
「お姉さん、お姉さん。」
隣の娘がちょうどCZをクリアしてARTに突入したタイミングで声をかけた。
「ん。なんですか?」
打ちながらしっかりこっちを向いてくれた。
「もしよかったらこのあとご飯でも行きませんか?」
閉店時間が近づき少し静かになったがそれでもうるさいパチンコ店、しっかり腹から絞り出した声で伝えた。おれが発した言葉の文字は何色だっただろう。この娘のジャッジのボタンは何だろう。何でもいい。頼むから。断らないでくれ!




