表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/126

第74話 家族その2

「お待たせ。」

娘が入口脇のベンチに腰掛けプラスをいじっている。

「流音。おつかれ~。」

嫁も娘に声をかける。

「ん。早く食べよ。」

店内は23:00だというのにそこそこ客が入っている。券売機でメニューを選んでプラスをかざす。それぞれの好みのラーメンと餃子が一皿。値段は3,300円。安いもんだな。

「それでどうして二人は一緒にご飯食べることになったのさ。」

角のテーブル。4人席にかけたと同時に嫁が口を開く。娘をチラッとみると「どうぞ。そちらから話せば。」という顔をしている。

「まぁ焦るなって。これから話すけど最初に念を押しておく。怒るなよ?」

「え。怒られるかもしれないことなの?」

なんだ冷静だな。言質をとっておきたかったがしょうがない。さっさと話すか。

「まぁ大丈夫だろうとは思ってるけどな。流音とはパチ屋であった。」

さぁどうだ。

「へ?パチンコ屋?・・・なるほどねぇ。」

どうだろう。怒っては・・・なさそうだが。

「最近はやりのゲーム(オリスロカードバトルのことだね)のやつ?」

「そうそう。数か月前に始めたんよ。仕事終わりによったら流音とばったりってわけ。そこから少し話して夕飯でもって感じだな。」

「・・・。」

あれ。ちょっと雲行きが怪しいか?ここは余計な言葉を発しない方がよさそうだな。

数秒の沈黙。嫁が発した言葉は少し意外だった。

「パチンコ屋に偏見はないつもりだし遊ぶなとも言わない。けど流音にはできればあまり行ってほしくないかな。」

え。俺じゃなくて娘?

「なんで私だけなのさ。」

娘も予想外だったのだろう。すかさず反応する。

「私の叔父がパチンコやっててね。家庭に影響が出るほど負けてはなかったみたいだけど最後の方は耳がすごい遠くなっちゃって会話にも苦労したのよ。姿勢もどんどん悪くなったし。体にもよくないよ。」

まぁたしかに耳は悪くなりがちかも。まぁ耳栓すれば大分ましにはなるが。嫁が続ける。

「パパはもういいでしょう。ちゃんと毎月のお金は出してもらってるし私たちに八つ当たりすることもない。適度に遊んでる分にはとやかく言うつもりはないよ。けど流音はまだ若いから。毎日のようにパチスロを打つのは控えてほしいなってはなし。他にもいろんな楽しいこと見つけてほしい。」

若いからこそ無駄にできる時間もあるとは思うのだがここは娘と嫁の会話を見守ろう。

「ママには分からないかもしれないけど毎日通えた方が勝率上がるの。今は、これが一番楽しいから。悪いけどしばらく続けるつもり。」

まっすぐ嫁の方を見て言葉を放つ。おれにもこうやって面と向かって話してくれればすれ違いもなかったのだがw

>「注文番号339から342のお客様~。」

タイミングが悪い。いや飯食いながらの方が逆にいいのかもな。

「ひとまず取りに行くか。」

3人がそれぞれのラーメンを受け取り席へ戻ってくる。ラーメンだしな。伸びる前に食べましょう。

「いただきます。」

勢いよく食べる三人。まぁ23時過ぎだもんな。そりゃ腹もへるさ。家族で食う時くらい世間体気にせず気持ちよく食いましょうや。

「さっきの続きなんだけど。」

嫁が口を開く。

「今パチンコ(嫁の中ではオリスロもパチンコの一部なのだろう)に夢中なのはよくわかったよ。行くなとは言わない。けど二つ約束してほしい。」

「ん。わかった。その約束の内容は?」

「大学を留年せずに卒業すること、あとは素敵な彼氏をGETすること。」

え?2つめが謎すぎる。娘も驚いているようだが。

「一つ目はわかるけど。彼氏は謎。別に興味ないんだけど。」

嫁が静かに笑う。この表情はすごい。

「パチンコに夢中になりすぎてうっかり年だけ取っちゃうのはあまりにもったいないから。周りに何人かいたのよ。趣味に生きて幸せと豪語してた人たちが年をとって孤独に押しつぶされそうになるパターンを。そうなってほしくなくてさ。」

少し沈黙。麺をすする音が響く。趣味に生きることも幸せだと思うが熱が冷めた時にまずいよね。ラーメンと似てるな。

「そうなんだ。まだ私は孤独を感じる年ではないしむしろ少し憧れていた節もある。急に彼氏と言われてもピンとこないから約束まではできないけどいいなと思う人に出会ったら頑張ってみる。これでいい?」

嫁がにっこり笑う。この顔の方が好きだな。

「そうね。それでOK。あとはたまには一緒に夕飯食べようね。」

「ん。これで遅くなる時も嘘つかなくてよくなった。(´・ω・)b」

「たまにはお友達と遊ぶことも大事よ。」

「違いないwあとはAタイプならともかく21:00頃にはやめることをオススメするぞ。」

娘も大分表情を緩めて

「そうだね。毎日閉店直前まで打ってるわけじゃないよ。気まずくてネカフェやカラオケで時間つぶしてる日もあったけどこれからはもう少し早く帰ってくるかな。」


そのあとは10分程度馬鹿話をしてごちそうさま。

帰りの車、ニンニクくさい車内で嫁がつぶやく。

「話してくれてありがとね。」

「ん。また3人で外食行こうな。」

これでよかったと思う。家族は仲がいいにこしたことないよな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ