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第70話 父と娘

さて、アケうにょのシマに戻ってきた。さっき打ってた台の隣でCZ間150ハマりのアケうにょが空いている。確率は低設定だけどほとんど即やめ台だからこれは嬉しい。今ならハマってもいいよーなんて心の中で台に話しながら打っていると肩をトントンされた。誰だろうと思うと同時に反射的に振り向いた。ん!?なんで父親が?まじで無の時間だった。たった数秒が数分、数時間にも感じられ、気持ちが追い付かない。

「よ。見かけてびっくりしたよ。流音ルネもオリスロ遊んでたんだな。」

すぐに言葉が出てこない。え。なんて返すのが正解?怒ってはなさそうだけど。

「おーい。大丈夫か。まぁおれもさっき大分びっくりしたから気持ちは分かる。まさかこんなとこで会うとは思わないよな。」

あれ。怒ってないどころか諭される感じでもないのかな?てか父親もオリスロやってるん?

「・・・あーちょっと待って。ちょっと外で座って話さない?中だと聞こえづらい。」

とりあえず絞り出した言葉。

「そうするか。この店来るのははじめてなんだ。案内してくれ。」

「ん。ついてきて。」

裏の方から出て左に曲がって3秒ほど。二つ並んだベンチ。間には灰皿。同じベンチに腰掛ける。少し落ち着いた。

「なんか飲むか。希望あるか?」

「・・・カフェオレで。」

「はいよ。」

ベンチの隣の自販機。機械から缶の落ちる音。ガコッ。

「・・・念のため聞くけどつけてきたわけじゃないよね。」

カフェオレを受けとるのに手を伸ばした際に聞いてみた。

「まったくの偶然だ。職場の近くの店の打ちたい台が満席でな。いい店ないかなと調べてみたらここが気になった。それだけ。」

「ならいっか。・・・それでこうしてばれちゃったけどお説教?」

少し嫌味っぽくなってしまう。前はもうちょっと普通に話せてたと思うけど。

「別にオリスロで遊ぶことは悪いことじゃないだろう。むしろおれも大学の時はパチスロばっかりだったしな。・・・少し嬉しいんだよ。」

「・・・そなんだ。」

あー。そうなの。知らなかったな。父親には隠す必要なかったのか。馬鹿みたい。

「最近帰りが遅いのもこれが原因だったか。変に心配しちゃって悪かったな。」

どーゆーこと。まるで別人。・・・いやそれは私もだったのかな。

「・・・そうだね。心配しすぎでウザかった。でもこうして謝ってくるのは予想外。正直戸惑ってる。」

「たしかに半年近くまともな会話してなかったもんな。おれもまだ少し戸惑ってるよ。けどこの数分の会話でなんとなくもとに戻れた気がする。」

少し沈黙。ただ黙ってるのも気まずい。カフェオレを口にあてじっくりと時間をかけて喉に通す。

「もとに戻るは言い過ぎ。だけどまぁ。前より普通に話しやすくなったかな。」

今のわたしに言える精一杯かな。

「十分だ。よし。そろそろ戻るか。」

「うん。缶ちょうだい。捨てとくよ。」

「サンキュ。」

一緒に戻るのが少し恥ずかしくてゆっくり缶を捨てて距離をとりながら店内に戻った。

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