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第69話 夜の父

これでっと。今日の仕事終了。

「お先失礼します。」

「お疲れさまでーす。」

んー。今日も疲れた。まだ18:00。これは打ちに行ける時間だな。

さて、駅の近くのいつものパチ屋は・・・。あちゃ~。まだか初代は満席だよ。まぁ他の台も見てみるか。うーん。結構稼働が多くてあまり空き台がないな。とりあえず帰りの電車に乗って電車の中で考えよう。


>「まもなく電車がまいります。白線の内側に下がってお待ちください。」

まだか初代の設置が複数あって駅からあまり離れてない店は。へー。駅からは少し距離があるけどこの「サンシャインZ」ならまた電車に乗る必要もないし設置台数もいい感じ。この距離なら家族に目撃される可能性も高くはないだろう。よし決めた。今日はここに行ってみよう。

>「まもなく〇台、〇台~、〇〇線はお乗り換えです。お荷物お忘れなきようご注意ください。」

うし。戻ってきた。少し大変だけど歩きで向かうかな。

夜の明かり。居酒屋から漏れる大声。明かりも音もだんだんと小さくなる頃、その店の看板が姿を現した。さぁ、まだか初代は6台設置。空いてるかな。お。空いてそうだ。ん?あれ。今そこで初代まだかを打ってるの、娘じゃない?

まじで無の時間だった。たった数秒が数分、数時間にも感じられ、気持ちが追い付かない。「マズイ」なのか「なんで?」なのか。けどこのまま固まっているわけにもいかないんだろう。このまま立ち去る?声をかける?どっちが正解か。答えが出るより早く鉄塊のように重い足は勝手に動きその場から静かに距離をとっていた。多分気づかれてないはず。


足が勝手に動いた先は奈落の底ではなく喫煙所。ふー。少し冷静になって考える。娘がスロット打ってることは別に何も悪いことじゃない。ここ最近の帰りが遅い理由も多分これが原因だろう。なにをかくそう自分も大学の時、同じようにスロットにハマっていたわけだしな。むしろ親近感。悪いとすればこの俺よ。嫁や娘にスロをまた始めたことは黙っている。娘にこのことがしれれば帰りが遅い時は「どうせスロットを打っている。」という烙印を押されてしまうだろう。嫁ともいい関係を築けているつもりだがふとしたことで無に帰すことがあるかもしれない。リスクなんだよな。

・・・けどさ。もし。もしだよ。娘と一緒にスロット打てるってなったら幸せじゃないか。今お互いがなんとなく抱えてるモヤも晴れるんじゃないか。帰宅時間から察するに娘もがっつりスロットにハマっているみたいだし。今でこそなんとなく険悪になっちまったが昔は一緒にゲームやって盛り上がったもんよ。しばらく忘れてたけどあの頃は仲よかったよな。うん。決めた。声かけるか。そうと決めたらさっさと戻ろう。

あれ、もうまだか初代の台にいないな。どこだろう。


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