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第29話 何度でも繰り返す

すまん。若者よ。私の心の声がフラグだったか?お菓子の魔女に食われたようなグラフになっちまって。そろそろ止めといた方がいいと思うが・・・。


「・・・大丈夫か?」

「あ~ 駄目っす。」

「おれはやめどきなんだがまだ戦う?」

「打ちながら調べたんですがこの台には打ち手が不利なことが起こると「穢れ」が貯まって100まで貯めた後にボーナスを引くとラッシュ確定+αのボーナスがもらえるらしいんですよ。そうとう貯めこんだと思いますのでそれを引くまで打ちたいっす。」

「んー天井みたいなもんか?発動するまでの投資額が不透明なのは怖いが打つ理由があるなら頑張ってくんろ。・・・おれはどうっすっかなぁ。」


・・・。声をかけたい。まだまだだからやめておいた方がいい。と。細かいことは忘れていてそれなりに新鮮な気持ちで打てたがこれだけは覚えている。まだかでタコ負けかます時は中途半端な「穢れ」を追った時だ。私もあいつも穢れに騙されてつらい思いをしたっけ。かといって負けてる時にいきなり隣のおっさんに話しかけられても気分悪いだろうし・・・。どうする?


・・・「穢れに騙される前のばかな打ち手を救ってやれよ」また声が聞こえた気がした。仕方ねぇな。なんかいざこざになったらお前のこと恨むからな。

「急にごめんよ。隣で話を聞いていたけど穢れを追うつもりならやめておいた方がいい。おっさんはこの台を昔めっちゃ打ったんだけどタコ負けする時は穢れを追って失敗した時なんだよ。」

「え!?」

やっぱ驚くよね。「いや単純に勝ち負けを無視してまだ打ちたいのであれば続けてもいいけど穢れの解放を求めて続けるのは危ないと思ってさ。余計なおせっかいだったら勘弁な。」

「・・・いえ。少し考えてみます。」

「そうだね。それがいいと思うよ。」

若者は無言でうなずいて席を外した。


「馬鹿な打ち手を救ってくれてありがとな。」

「!?」

「よ。まさかホールで再開する日が来るとはな。」

「おい。生きてたのか。」

「おう。なんとかね。そっちこそ全然見ないからてっきり引退したと思ってたが。」

「とっくに引退したよ。ただまだかの初代復活みたいな広告みて久しぶりに打ちたくなってな。」

「そっか。なにはともあれ久々の再開だ。このあと飯でもどうよ。」

「そうだな。200前半のゾーンみたらやめるよ。ただ今は家族がおるから21:30までな。」

「はいよ。」

そのころ若者が戻ってきた。

「先ほどはありがとうございます。けどそれでも諦めきれなくて。続行しようと思います。」

「そっか。決めるのは君だからね。それじゃ頑張って。」

「・・・何度でも繰り返すんだなぁw」

「この子はお前ほどあほじゃないけどなwそれにしても穢れ考えた奴は天才だな。」

「違いねぇw」

「はいよ。ゾーン抜けだ。飯向かうか。」

「おう。この20年色々あったんよ。よければ聞いてくれよ。」

「・・・手短にな」

「相変わらず冷たいなw」


おっさん二人、過去の穢れが、年月を経た再会によって綺麗に浄化されたことを願う。


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