第1話 お仕事
「あー 働きたくねぇな。」
何で日本人はこんなに働かなくてはいけないのだろうか。心を壊して 体を壊して。
「生活するためには仕方ない」「仕事があるだけありがたい」本当にそうかねぇ。
どこも簡単な仕事はAIがやる。キツい仕事が人間。機械の進歩は経営者側にはよいが、労働者からするといい面ばかりではない。
「あー ホント働きたくねぇな。けど生きるための金は必要だしなぁ・・・」
いつからだろうか。「やりたい仕事」を希望をもって始める人数が減少し、「他と比べまだましな仕事」を仕方なく始める人が増えたのは。
この青年も「やりたい仕事」はない。趣味はゲーム。もちろん幼少時は「ゲームのプロになる!」なんて言い出したこともあった。けれどその世界で稼ぐ実力がない一般人であることもすでに思い知った身である。高校卒業後、彼にとって「他と比べまだましな仕事」であるゲームセンターでバイトしているが、一人暮らしは金がかかる。なんとなく開いた求人情報サイトを、スワイプしながら
「あー ホント働きたくねぇな。」
出勤日 平日の朝はほとんど客がいない。バイトの後輩との雑談を楽しむ。
「そういえば最近「ハート様」みないですよね。」
「まじで助かるわ バーガー食い散らかしながら遊んでる際に注意しにいったら逆ギレされた時はたまらなかったな。」 「ハート様」ってのは後輩が名付けた。似てるらしい。
「金にならないパチスロなんて何が楽しいんですかねぇ。」
「ホントに あいつ以外誰も遊んでないもんなぁ。」
「まぁハート様は違うでしょうが数年前までパチスロで安定して稼ぐ連中もいたらしいですよ。」
「マジかよ 楽そうでいいな。まぁ今じゃあニートだろうけどw」
「まぁそれはそれで大変なこともあったかもしれませんよ。怠惰を求めて勤勉にいきつくともいいますし。」
「そんなもんかね。」
「そんなもんですよ。」
「そういや最近新しい仕事も始めてみようと思うんだけどオススメない?」
「おれはきつい仕事したくないから流行のトレカの価格変動で少し稼いでますけど1から始めるのはオススメできないですね。ゲーム結構好きだったんならゲーム内の資産を売買で収益を狙ってみたらどうですか?それこそ最近スロット関連のゲームの通貨がかなり熱いらしいですよ。まあニュース記事でざっと見ただけですが。「オリスロカードバトル」だったかな。」
「ふーん スロット関連のゲームね。まぁ一応ダウンロードしてみるかな。」
「面白かったらおれもやるんで来週感想教えてくださいね。」
「おけ。」