第25話 まだにい
ツンツン
なんだ?
「よ。今日もかよ。」
「お前もなwおつかれ。見てくれよ。ワルプル事故って残り380もラッシュ抱えてる。」
「マジか。羨ましすぎるわ。昨日8万負けたおれにも少し分けてよ。」
「自分で出しなさい。勝負師に優しさは不要。」
「違いねぇ。おれも今度こそ決着をつけるわ。」
ん。また懐かしい記憶が。
「見てくれ。1000円で穢れ小出現。とりあえずラッシュまでは打てる。」
「ん。たしかに期待値はあったと思うが大けが報告もあるから喜ぶには早いと思うぞ」
「ここ数日で15万も負けて運を貯めたんだ。もう何も怖くない。今日こそは勝てるだろうよ。」
「wwまったく根拠になってねぇ。」
「まぁ見てなって。二人で箱積もうぜ。」
そっか。この時はまだ笑ってたな。
ツンツン
なn
「頼む。1万ほど貸してくれ。」
「やだよ。天井でも近いのか?」
「いや、完全に6挙動のまだかで展開悪くて・・・6をツモっておいて負けたまま終わるなんてそんなのおれが許さない。」
「6挙動ってのも本当かよ。貸してもらう理由づくりじゃないのか。」
「ホントだって。弱チェの落ちも優秀で直撃も確認してる。頼むよ。」
「悪いな。パチ屋での金の貸し借りはろくなことにならないからな。他を当たってくれ。」
「なんだよ。冷たいな。昨日たくさん勝ってたくせに。」
「お前は勝った日には募金でもしてるのか?」
「・・・もういいよ。」
ちなみに「6挙動」だと言ってた台はその後も沈み続けていたっけ。
「なぁ。なんでおれだけこんな不幸なのかな。」
「どうした。唐突に。金なら貸さないぞ。」
「いいんだ。お前は結構勝ってるもんな。普通の運を持ってる奴が羨ましいよ。」
「なんかうざいな。お前ほど負けてないが結局ちょいマイナスだぞ」
「・・・彼女に別れようって言われたわ。金がないからってそりゃないよ。」
(どうせ出かける予定を二人で立ててたのにスロットに使い込んでいけなくなったとかだろうな)
そもそもなんであいつに彼女いたんだろうw
「おれってホント馬鹿。もう駄目かもしれん。借金もかさむ一方だし。」
「(こいつのいう借金は家族・友人ってレベルじゃないんだろうな)もうスロットやめた方がいいんじゃない?」
「今までこれだけ不幸だったんだ。このままやめたらもったいないだろ。せめて半分くらいは取り戻してからじゃないと・・・」
「んーキツイこと言うけどここまでの不幸とこれからの勝敗は一切関係ないから。向いてないからやめた方がいいと思う。」
「・・・お前だけには慰めてもらいたかったなぁ」
今まで見たことないような悲しい顔で笑いやがった。
そこから奴は退学して連絡取り合うこともなくなったよ。
どうしようもない奴だったさ。
金せがみにきてウザいとも思ったさ。
ただ一緒に打ってた時は・・・楽しかったなぁ。
幸せな人生は送れてないかもしれないが元気でいてくれると嬉しい。
<「ボーナス確定」
おっと一発目の当たりは448Gゲーム数当選。せっかくの休みなんだ。昔の思い出より今を楽しまないとな。