第17話 誤算
「いらっしゃいませ~」入店したのは並んでから5分後。
抽選入場と一般入場があって事前に抽選を受ければ一般より早く入れるらしい。なるほどね。
「あのすばはどこですかね。」
「わからんから端から見て回ろう。」
2分後 見つかった。よかった。空いてる。
「これだね。どの台打ちたい?先選んでいいぞ。」
「え。なんか違うんですか。」
「いや。おれも前回勘で選んだだけだけどw」
「wじゃ勘で右の台。」
「ん。そしたらおれは隣の真ん中の台で。」
「プラスの連動やカードセットのやり方は分かるか?」
「動画みましたから。余裕です。」
「おけ。(やるじゃん おれとは違うなw)」
さぁお互いセットが完了し遊技開始!・・・と同時に
「あれ?」
「ん?」
データカウンターは0ゲームだったから1周期目のはずなのにケリスじゃなくてウリスだ。
「これってどうゆうことですか?」
「わからん。ちなみにそっちの今の周期はだれになってる?おれのはめぎゃみんだ。最初の周期のキャラ、ラクアじゃない」
「こっちはラクアですが右下がケリスじゃないですし。そもそも動画だとお風呂ゾーン(キャラポイントが成立役に応じて倍増していくゾーン)から始まってましたよ。」
「わからん。ちょっとロック外して一旦外出よう。友人に聞いてみたい。」
「たしかに。このまま分からないまま打つのは危険ですよね。」
ちょっとしたアクシデント。ケリスから打てるかどうかは収支に直結するからな。
友人に電話をかけながら喫煙所に。
「ちょっと一服してくるな。そっちも原因を調べてもらえると助かる。」
「了解です。」
・・・電話には出ないか。あっちも打ってる最中かもしれないしな。メッセ送っとくか。
「なぁ今日「あのすば」って台を打ちに来たんだが、本来だったら最初の周期だと右下のキャラがケリスのはずがウリスだった。なんでか分かる?」と。
「うーん。仮に残りの1台がケリスだとしてもどちらかはウリスの状態から打たなきゃあかんのか。どうしたものか。」
タバコを持つ指が熱を感じる。そろそろ戻るか。お 既読がついた。
「電話は繋がらなかったが既読がついた。もうしばらくしたら返信来ると思う。」
「こっちも少し調べてみたんですが「据え置き」ってやつだと思います。」
「それは?」
「前日の営業から設定を変更せずに放置した場合、開店後の状態は前日の状態を引き継ぐようです。これを一般的に「据え置き」と呼ぶみたいですよ」
「・・・。あー。」
「多分前日打ってた人がケリスの周期が終わってヤメた状態が、設定変更されないが故に引き継がれて今の状態ってことだと思われます。」
このタイミングでRINEに返信が来る。まさしく「据え置き」で起こりうる現象ということだった。そっか。そういうこともあるんだな。とりあえずお礼の返信をしておく。
「どうしましょうか。・・・先輩には申し訳ないですがせっかくケリスのカードを購入したので効果が発揮できる店に移動して打ちたいです。」
「ん。そうだな。そうしよう。次は店だけじゃなくて据え置いてないかも調べておくべきか。」
「わがまま言っちゃって申し訳ない。」
「いいってことよ。金が絡む以上、最善は尽くすべきだと思うし。」
「ありがとうございます。そしたらこの店は移動ですかね。」
「せやな。とりあえず車に向かおう。」
お互い開店前の高揚感は今はない。
たんたんと設置店を調べ、あのすばが複数設置されている店が見つかればその店の口コミを見て据え置いていないかを予想する。
「ん。ここなんかどうだろう。現在地から20分くらいであのすばが5台設置されている。口コミによると、通常日の設定にはあまり期待できないが、据え置きが一目瞭然な台は設定変更をしている。(数ゲーム店が回すことはある)とのこと。」
「そうですね。そんな遠くないですしそこにしましょうか。」
「(店が数ゲーム回すってどういうことだ?まぁいいか)よし そしたら向かうか。」
「お願いします。」