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第112話 地下へ

そこからははっきり明暗が分かれる形となった。その後2度入れたARTも全て単発。すでにマイナスは2000枚を超えてしまった。友人は白揃いを起点とするARTからボナを絡めて1500枚ほど獲得、その後一度は減らしたものの、次に入れたARTで再度800程度獲得し持ち直している。時刻は20:00。ラストスパート。少しは戻ってきてほしいものよ。

「よし。十分楽しんだわ。」

その後まもなくARTを終えて100ゲームほど回した友人が遊技終了ともとれる言葉を発する。

「終わりにする?」

まぁおれは大分下手くそだったが友人の気晴らしという目的は達成できてよかったよ。

「そうだな。最後にちょっとおれのおすすめ台打たないか。」

「おけ。何の台よ。」

友人からの提案ははじめてかも。プラスの連動を解除しながら聞いてみる。

「まだ決めてないんだがとりあえず下の階行こうか。」

え。おすすめの台なのに決めてない?どういうことよ。

「地下ってレトロスロットコーナーかい。」

そう。このヨーケイ、今では比較的珍しい個人経営のパチ屋だ。客入りのためにこうしてオリスロを置いてはいるがオリスロの遊技では店に利益は発生しない(プロローグ参照)。たしかに店のことも考えると少しは地下のスロットを打ってあげるべきかもしれない。

「まぁまぁ。その様子だと入ったことないでしょ。遊ぶ金はおれが出すからさ。」

まじかよ。こんないいやつだったっけ。誘われるがままに地下へ足を踏み入れる。なるほど。意外と人がいてびっくりした。たしか1枚20円というレートはほぼ変わらないのに金景品には交換できない。遊ぶ人なんてほとんどいないのかなって思っていたけどそんな心配は無用だった。

「うわ。全然見たことのない機種ばっかりだ。」

「そりゃそうだろうな。わざわざオリスロでリメイクした人気機種をおいてもみんなそっち打つでしょうよ。オリスロになれなかったスロット。そんな彼らが輝ける数少ない場所がここってわけなのよ。」

そっか。友人にとっての思い出の台もここには結構あるのかもな。そんな歴史を感じる地下空間。何故か不思議な温かさを感じた。

「ちなみに勝っても金にはならないんだよね。爆発しちゃったときもったいなくない?」

「まぁ金景品っていう制度は廃止されたからな。けどおれらってまだタバコ吸うじゃん。タバコと交換する分はほぼ損しないよ。」

そうか。換金できる景品との交換が廃止なだけで普通の景品とは交換できるのか。その交換できる普通の景品の選択肢の中にタバコがあるってことだな。

「理解した。1年分のタバコ手に入れるつもりで頑張るわ。」

「おい。この店つぶすなよw1か月分くらいにしとこうぜ。」

時代にそぐわないヤニカスが二人。時の流れに抗う地下がよく似合う。

「それで何打つよ。」

「まぁとりあえずどんな台が空いているか見て回ろうか。」

ゆっくり歩く。その様は荒野の救世主、通常時のごとく。

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