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禍津日神の世界で仇するモノ  作者: はにわ少佐
第一章 生者共の行進
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第八話 アストロベニア防衛作戦 2

神罰の姿は様々ある、四足歩行だったり二足歩行だったり翼生えていたり動物みたいな形をしていたりと、多くの姿、形をした神罰はこの地上に送り込まれている。


姿かたちが違えど神罰には統一したものがある、それは血を流さず丸石のような肌触りをしていること。


一見、様々な形がある神罰でも中身は同じである。


「見つけた」


私は森を駆けながら、逃げていった神罰の道を辿っていくとお目当ての奴を見つけた。


今回のアストロベニアの進軍を指揮系統を持っていたと思われる、赤級の神罰。


緑級から黄級とは違い、知能があり赤級同士で会話が出来たり、黄級までの神罰を操ることができると呼ばれる厄介な存在、それが赤級の神罰。


「一体か」


私が木の後ろで隠れて赤級の数を目視で確認したところ数は一体、複数体いるかと思ってはいたけど的が外れた。


でも嬉しい誤算でもある


「一体だけなら比較的に簡単に倒せる、隙を見て一撃で仕留めよう」


腰に携えた刀の鯉口を切り、少しだけ鋼色の刀身を出す。


奴の身体は目測で二三メートル、二足歩行型で両腕が異常に発達していて大きい一発でも喰らえば一溜りもないだろう。


「でもなにか不気味」


冷や汗と共に唾が喉を嚥下する、神罰という化物は不気味な存在ではあるが奴は他の神罰よりももっと不気味な雰囲気を漂わせている、異常に発達した腕もそうであるし胴長で足は短い、それよりも不気味なのがお面を被ったような顔をしている、


皺だらけの老人のお面を被っている神罰、それだけで不気味の度合いは上がっていく


「さっさと片付けよう」


この居心地の悪い雰囲気早く逃げたい、私は刀を握りながら赤級の神罰が後ろを振り向いた時を狙って駆け出す。


「出だしは良好」


初速はかなり早い、奴も今気づいた。これなら一発で仕留められそう。


私は腰を振り抜き赤級の神罰へと刀を振るう


「ッチ、防がれた」


斬撃音、私の初撃は腕に挟まれて防がれた、結構反射神経いいのかも、でも腕は綺麗な断面を残して切り落とせた。 私は神罰の巨体を蹴り上げて一度後方へ下がり刀を構える


片腕が使えないなら、使えない方から攻めるまで


私は『(ストレングス)』を使い躰力を上げて距離を縮めようとする


「‥ミツ‥‥ケタ‥」

「は?」


喋った神罰が、いやそんなわけがない。さっきのは気のせいだ奴らが人の言葉を発することはない、赤級同士で会話をするのは見たことがあるがあれは会話というよりかはモールス信号に近い、光や物音を立ててでの会話。


神罰には発声器官がないのは間違っていた、でも赤級なら有り得る。


いや、知能が高いと言っても発声器官がない化物が人の言葉を喋れるわけがない。


いきなり喋り出した神罰のせいで、二撃目の攻撃を入れ損ねた。


でも奴は私が隙を見せたはずなのに、何も行動はしてこない、なにこの神罰。


また神罰の口からまた人語が紡ぎ出される。


「タ‥スケ‥テ」


言葉が不安定で片言それにノイズが単語の一つ一つに入っていて聞き取りづらい、辛うじてこう言ってるのかなと予測は付くけど確証はない。


あの口角がかなり吊り上がった皺だらけの老人のお面、その真っ暗な瞳の奥、奴は何を考えている、なんのためにこんな行動をしている。


これは罠か、それとも本気で命乞いをしているのか。罠の可能性は頭の片隅に入れておいた方がいいはず。


私は目線は離さず、大腿に巻いてあるホルスターから一丁の拳銃を引き抜き構える


「タス‥ケテ‥ネガイ‥」

「動かないで」


言葉のレパートリーは少なそう、命乞いしか出来ないのかな。


一応、私の言葉を理解してるか分からないけどあそこから一歩も動いてない、本当に助けを乞うているだけなのか。


良心を揺さぶってその隙を狙って襲うとか、赤級ならこういう行動取れそうだし有り得る


「タスケテ‥‥ネガイ‥」

「それしか言えないの‥」


拳銃を構えながら少しずつ、神罰との距離を詰める。敵意があるようには見えない、鋭い殺気を放っている訳でもない。ただ、ノイズが走っている言葉を何度も何度も繰り返している。


涙は流さない、ただ言葉を繰り返しその場に突っ立っている


私の言葉が分かっているのかまだ分からないから、指示などはしといたほうが良いだろうし。理解してその通りに動けば本当に助けを乞うているのかもしれない、それに命を乞う者に対して私は無闇な殺生はしたくない、例えそれが神罰であってもだ。


これだから私は甘いのでしょうね。


奴の攻撃範囲ギリギリの所まで来たが、神罰は変わらず同じ言葉を繰り返している


此処まで来て何もしないのは本当かもしれない、でも最終確認は必要だ。


「伏せて、言葉の意味わかる?」

「タスケテ‥ネガイ」


私は奴の足を拳銃を放って砕いた、一瞬奴が地面を蹴り上げるような動作が見えたので打ち砕いた。神罰は足を打ち砕かれ地面に倒れ伏せる。


赤級は知能がある、完全に私は騙されていた、でもこれで容易に殺せる、もう遅いこいつには情けは要らない。


無情に撃ち殺す、騙し討ちをする奴には容赦は要らない。


私は拳銃を構えて奴の頭を打ち砕くが如く弾薬を放とうとした


「タス‥ケテ‥タ‥ス‥ケテ」

「ごめんなさい、無理‥‥ッ!?」


引き金を引こうとしたその時、私の右側から奴と同じような異常に発達した腕の拳が飛んできた。私は咄嗟に飛んでくる拳を腕を挟んで防いだがそのガードごと身体を吹っ飛ばされてしまう。


「――グッ!」


思った通り、奴の発達した腕から放たれるダメージは大きかった。突然の攻撃で『結界(シールド)』出せなかったせいで防いだ右腕は骨折しているだろうし、背骨も強く樹木にぶつかったから少し罅が入っていると思う、でも背中は正面よりも丈夫はずだからこれぐらいなら大丈夫なはず


さてと、二体目ですか。目視で確認した時は一体しかいなかったからかなり油断していた。


でも、状況は一対一、命乞いをしたいた奴は足と腕を砕かれ真面に動けない、あの神罰があんなに命乞いをしていたのはもう一体いることをバレさせないための罠だったのか。


相変わらず赤級は聡いね


「治癒出来る時間は、ないみたいだね」

「ァアァアアァアアアァ!!!!」


ノイズが入り混じった咆哮と共に私に攻撃を喰らわせたもう一体の神罰は拳を振り上げ叩きつけてくる。右腕に痛みを感じながら私はその攻撃を避けて使える左腕で刀を握り振るう。


「イ‥・タ!」

「―――ッ!!」


もう片方の腕での攻撃、さっきの叩きつけはブラフというわけね、でもその鈍間な攻撃なら刀をぶつけて防げる。


火花が散り、刀とその神罰の拳が硬化を地面に落とした音を出す。私は力が籠った拳の攻撃に身を任せて身体を浮き上がらせ、宙に体躯が舞い神罰の頭上に移動する。


老人の仮面の真っ黒な目と視線を交え、そのまま地上へ垂直落下していく


「避けられた‥」


あの不気味な仮面をぱっくりと真っ二つに割って上げようと思ったが避けられて腕一本しか斬り飛ばせなかった。でも一本堕とせただけでも攻撃のバリエーションは減らせたし満足ですね


「ケホッ‥流石に舞いすぎ」


垂直落下しただけなのに結構土埃が舞いましたね、まだ奴は視界に捉えていますが、少し見えずらい、このタイミングでの攻撃はかなり不味いかもしれませんね


「言った傍から!」

「アァアアァアア!!」


ノイズが奔った咆哮と共に神罰は土埃を割って私に襲い掛かってきた、片腕なのに勇猛果敢に戦う。これはまるで先の戦いの私、所謂蛮勇のようです


私は『(ナガレ)』を繰り出し、その攻撃を弾くと神罰のもう片方の腕を斬り付ける、


甲高い斬撃音と共に奴の腕は斬り飛ばされ宙を舞い地面へと鈍い音を出して落ちる。


二本目の腕を切断、刀を振り払い赤級の神罰を見上げる。どうやら奴は両腕を斬り飛ばされ攻撃の手段が無くなったせいか後方に二歩下がりこの場からの離脱を試みようとしているようだ。


まるで人のように死を恐れるように、今目の前にいる強敵から尻尾を巻いて逃げるようにこの神罰は他の神罰より違う、この眼ではっきりと理解した。


でも、神罰の目的本質は同じである。

だから、ここで仕留める。



「私と戦ったのが運の付きですよ」


一閃、『(ストレングス)』を使用し躰力を強化してからの一太刀、それは一体の赤級の神罰を横一文字に斬り倒した。二三メートルの巨体が地面に倒れ伏せる、上半身と下半身を真っ二つにされて、


耳にまたあのノイズが混じった声が聞こえる。


「タスケテ‥タスケテ」

「まだ生きてたんですか、今楽にしてあげますね」


驚いたまだ生きていたなんて上半身と下半身を横一文字で切られても尚、生を持っているとはね。


奴は生にあがこうとして体を必死に動かしている。普段なら斬り飛ばしたら死ぬはずなのに、まだ死なないのか


何も抵抗出来ずに命乞いだけをする神罰に少々心を痛めそうだが、先の戦闘の後でのこの行動は余りにも虫が良すぎる。


「ごめんね、死んで」


私はそう言って胡散臭い仮面ごと叩き切った、そうすると最後の叫び、ノイズが入り混じった叫びと共に一体の神罰が死んだ。


この死因に対して少し気になったので私はまだ生きながらえている最初に合った神罰の前に立ち仮面だけを斬ってやると、先ほどと同じような叫び声を上げて亡くなった。


「なるほどね」


まさか、発声器官を手に入れた代わりに弱点が出てきたという訳、新しい発見ですね、これでトロス様に報告することが増えた、今日の防衛作戦でかなりの数の未曾有の事態に遭遇した。ほんとやってられませんね


「気持ち悪い」


私はやれやれとため息を付きながら、刀を鞘にしまい踵を返す。


やっぱり変わらず神罰を斬り殺した感覚は気持ち悪い、でも今回の赤級神罰の殺しは本当の命を斬っているようで尚更気持ち悪かった。


「帰ろ」


私は気分の悪さを感じながら片腕の治療を施してアストロベニアへと戻った。


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