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2.社畜賢者に任命される


ペットボトル(水入り)と地面(砂)の謎の化学反応により光が発生し、そいつに包まれ目が覚めるとどっかの立派なお城でした。

ふむ…


ついに幻覚まで見えるようになったのか…これはいよいよ心理カウンセリング受けた方が良さそうだな…

取り敢えず、目覚まさなきゃなあ…うん。










…スゥ、パァンッ


一つ息を吸い、思いっきり自身の両頬を叩いた。生憎、メロスもセリヌンティウスも居ないのでセルフサービスだ。頬はビリビリしてとても痛い、が目の前の現状は変わらない。何やらザワザワ聞こえるがまずは身の回りの事から確認しなければ。服装は…飲み会の時のまま。持ち物は…ポケットに入ってた定期券とスマホ。因みにスマホは…何故か電源が入らない…し、鞄も…見当たらない…


…詰んだな。




ふと、近くに横たわる安藤さんが目に入った。うわぁ、むにゃむにゃ寝言言ってるー。いいなー毎晩気持ちよく寝れてるんだろうなー私は、毎晩課長と書類にウサインなんちゃらさん並のスピードでひたすら追いかけられる夢見るよー悪夢だねえ。うん、今はそんなこと関係ないな。

気持ちよく寝ているところ、申し訳ないが起きてくれなきゃ困る。状況把握に協力して貰わなければ。


幸せそうに寝続ける安藤さんの肩を揺すろうと手を伸ばす…


すんでのところでどっから湧いてきたか分からない男性が安藤さんの傍に膝をつき、優しく揺すった。




え、誰。てか、居たの?








……えぇえぇええ誰誰誰誰誰誰??????ねぇ!!居たんなら!!!なんか声掛けてよお!!!!私が!焦ってたの見てたでしょ?????無視かよ!!!!


その男性は、某有名男装歌劇団の衣装のような(本家ほど派手では無いが)煌びやかな服を身にまとっている。


うーん…コスプレ???いや、それにしては着こなしすぎでしょ…。


はっ!!それより、安藤さんは…???


安藤さんはというと、キラキラした装飾の服を着た男性に優しく揺さぶられお世辞にも乙女とは言い難いような顰めっ面をしながら、ゆっくりと目を開けていた。


「ゔゔん…何?もう、朝?」


安藤さん、すっごい不満げな顔でいらっしゃいます。これは、毎朝二度寝してる人種だな…?なんて憶測をしていると、次の瞬間「は?」という声と共に彼女の運命の出会いが果たされる。


素っ頓狂な声をあげた彼女は、傍に膝をつくキラキラさん(勝手に命名)を食い入るように見つめていた。そして、













「…王子様?」




…っっっっ!!????あっっっっぶない…あと少しで盛大に噴く所だった…

この歳で、王子様発想はなかったな…

そうか、王子様ね…確かに、やけにサラッサラのパツキンに、先程はしっかりと見ていなかったが、よく見ると物凄く整った顔をしてらっしゃるようで。まさに、絵本から出てきた超典型的な王子様に…見える。


そして、安藤さんに『王子様』かと問われたキラキラパツキンさんはというと…



「…いかにも、俺はここ“メア王国”の第一皇子だが。」


ほぅほぅ、そういう設定かー。いやー、建物もだけど服も周りの装飾も凝ってるなー…本物みたい…っと、安藤さんのこと忘れかけてた。


「あ、安藤さぁーん…?大丈夫…かな?」


ひとまず声を掛けてみるが、これは…うん。耳に入ってないな。


彼女は今も尚その第一皇子とかいう人をまじまじと見詰めている。


というか、この二人の様子傍から見たらなんかのワンシーン見たいだな…この出会いから始まるラブストーリー…みたいな。

…うわっ、我ながら寒いぞ。




…まだ見詰め合うかこの二人。





……パンッ!!!


「安藤さん!!」


手を叩き彼女の意識を引き戻す。手を叩く音にビックリし、『はっ』とした様子でやっと私の方を向いた。


「た、高木先輩???何してるんですかぁ?」


「…ごめん、私もわかんない。」


『突然ペットボトル(水入り)と地面(砂)が…(以下略)』など説明したって現実的に有り得ないのだから到底信じては貰えないだろう。

んーどうしたものか…


非現実的なこの状況をどう説明しようかと頭をフル稼働していると、先程セルフ両頬ビンタをした時にザワザワしていた方から神父のような格好をしたご老人がゆっくりとこちらに歩いてきた。


ザワザワしていた、といえば改めて周りを確認すると第一皇子のようなとは言わないがそこそこキラキラした服を着た人達が私達を囲むように立っていて思わずギョッとした。


え、そんなに沢山の人居たの??


と、周りの様子に驚いているとご老人がやっとこちらに到着した。そして、ゆっくりと膝をつき…ああぁぁ、ご老人に膝をつかせるなんて…申し訳ない…。


ご老人がふっさふさの長い髭垂らしながら口を開く


「我がメア王国に、ようこそ。賢者様…。」


いかにもな杖を右手に、左手を胸の前に持っていき綺麗な所作でお辞儀をする。それに伴い、近くにいた第一皇子も周りに居た人々も礼をしだした。


突然の『賢者様発言』に加え(多分)私達に向けられるお辞儀。もちろん、私の頭は混乱大フィーバーだ。


????????!!!!????け、けんじゃさま???賢者様って言った???え?まさか、私達……



なのねぇぇええええええ???



目を見開き、口を半開きにし『賢者様』と言ったご老人に向かって『賢者様って、私達とかじゃぁ…』とジェスチャーすると、無言で頷き返された。思わず頭を抱える。なんだよ、賢者って。


安藤さんは


「賢者様って…私達???」


「はい、もちろん左様でございます。」


当然の事のように答えるご老人。うーん、取り敢えずもっかい頬叩いた方が良さそうかな…?


静かに手を構えると


「賢者様、これは現実でございます。」




なるほど…って信じられないよ????なに、この世界観??メア王国って初めて聞いたんだけど???どこの国よ!!??てか、もしそんな国があるとして言葉通じてるのなんで???


「こちらの言語が通じているのは、賢者様がこちらに召喚される際に魔力を与えられたために理解できるようになったのです。」


…魔力って、あの物浮かせたり『ヴィ〇ガー〇ィ〇ム・レ〇ィオー〇ー』とか言うやつ???あれ?てか、私さっき口に出してたっけ??


「言葉に出ずとも、お顔に出ていらっしゃいますよ。」


やだ、恥ずかしい(照れ)。…違う、違う。え???魔力???ファンタジーかな???おかしいでしょ、おかしいって!!魔力…とか、現実的に有り得ない…し!!非科学的だって!!!



「うむ…信じていただけない様ですね…では、僭越ながら…」


と、ご老人は私の肩に着いていた髪の毛を私の右手に乗せ、三本指で握らせた。安藤さんの方は、第一皇子に握らせて貰っている。その表情は言わずもがなうっとりした様子で熱い視線を第一皇子に向けていた。


「賢者様、火が燃える様子を思い浮かべてくださいませ。」


思い浮かべる…???火が燃える様子って大雑把だな…んーボッて感じで…


言われるがまま、頭の中でライターなどの小さな火が燃える様子を思い浮かべると










ボワァッッッッ!!!!






いきなり、つまんでいた髪の毛が消え代わりに炎が勢いよくあがる。よく、お高めのイタリアンかフレンチのレストランなどの調理場でやってるような、勢いのある炎が突如燃え上がった。



!!!!!???????…

アッツッッッッッ!!!!????



火はすぐに消えたが、急な熱さに驚き手をヒラヒラさせたりふぅーふぅーして冷めるように頑張る。安藤さんの方は、私程勢いのある炎とまでは行かないがそこそこ大きな炎が上がっていた。


「これで、ご理解して頂けましたでしょうか?」


口をキュッと結び、ブンブンとひたすらに頷く。何も無いところから火があがらない事など、分かりきっていることだ。私は、己があげた炎の勢いに萎縮していたが安藤さんの方はキャッキャと楽しそうだ。


「すごぉーい!!マジックみたぁい!!!ひょっとして、桃花の隠れたさいのう開花的な?」


なんてマイペースなんだろう。いっそ、尊敬に値する。信じられない光景を、現実だと頭に押し込めた所でそっと挙手をする。


「ん?どうかされましたか?」


「あのーすみません、私のいた世界にはいつ頃戻れますでしょうか?」






「その…申し訳ございません、賢者様の世界に戻れるのは千年後になりますので…。」


センネンゴ…????せんねんってあのせんだよね???一十百千の千???それって…


「も、もももう、もど、戻れない…と??」




「はい、左様でございます。」











さようでございますぅぅうううう!!!????









サヨナラ、録画してた韓国ドラマちゃん達…


少し話が長くなってしまいました。加えて、話の進みがとてつもなく遅いですがどうか見守っていただけると幸いです。

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