そうぐう
流石にこれなら十分か。
なんでわかるんだろう…そもそもスライム(仮)って意思疎通できるの!?
とりあえずここは穏便に…
「僕は敵じゃないし、餌でも無いよ!」
『…ワカラナイ、コトバ、ムズカシイ、モット、カンタン』
「…わかった。みかた、ぼく、へいわ。おけい?」
『ワカッタ。ナカマ、オソワナイ、ヘイワ』
そういうとスライムたちは草むらの中に戻っていった。
ふぅ…僕は不殺生と決めているからな…争いなんて何も生まないもの…。
僕は草原を抜けて歩いていった。目指すは町だ…
ここがどんな世界か分からないままじゃ不安だもんな…。
って、まてよ…僕方向音痴だし何より地図も無いじゃないか…。
重要なことに気づきあたふたしていると、前方から
ガタ…ガタ…
という音とともに馬車のようなものが迫って来ているのが見えた。
おっとぉ…これは…結構ツイているのかもしれない…頼るしかないな。
「おーーい!助けてくれーー!!」
すると馬車は僕の前に止まって、中から気の良さそうなおじさんが降りて来た。
「おぉ…こんなところでどうしたんだい?少年。」
「すみません…僕どうやってここに来たか憶えていないんです…」
僕がそういうとおじさんは不思議そうに顔を傾けて
「大人をからかうものじゃ無いよ少年。
いったいここから町までどのくらいの距離があると思っているんだ。
まぁ…ここにいても魔物の危険がある。とりあえず馬車にお乗り。」
「あ、ありがとうございます。」
こうして親切なおじさんの馬車に乗せてもらった。荷台には色とりどりの野菜が乗っているので、どうやらこの人は農家のようだ。
町に着くまでの間に僕はおじさんに色々なことを聞いた。
僕がいた草原は比較的安全な場所だということ、これから向かう町は大きな町ということ。ステータスオープンというと自分のスキルと情報が見れるということ。
僕は試しに自分のスキルを確認してみることにした。
「ステータスオープン」
【山田晴人 14 ランク1 スキル《だいたいなんでも出来る》《言語理解》《主人公補正》】
んん?なんか雑な気がするけど…まぁだいたいわかるしいいか。
多分ランクっていうのはレベルみたいなものか…?
いやでもこの世界の仕組みが分からないからなぁ…
ううん…分からないことだらけだ…
「どうしたんだい少年?もう少しで町に着くから準備しなさい。」
おじさんの言葉によって僕は現実に引き戻された。
「分かりました!」
ガタン…ゴトン…
…さっきから何か嫌な予感がするのはなんだろう? 盗賊とか現れないよなぁ…?
『ヒヒィィィン!』ガシャン!
突然馬が止まり、馬車が揺れてバランスを崩しそうになったがなんとか踏ん張った。
そしてみちの真ん中にガラの悪い男達が数人立っていた
「ヒャッハーー!!オイラ達【強奪団】のおでましだぁ!荷物だけ置いていけば命だけは見逃してやるぜ!ヒャッハァ!」
……
もしかして…僕のせい?
ヒャッハー!(溢れ出る小物臭)