勇者と聖剣と強者
ラインハルトによって近接攻撃職の戦闘が開始された。
再び柴田が断絶を発動させる為には最低1時間のインターバルが必要になってくる。
それまでの間、俺たちは時間を稼がなければならない。
それにしてもラインハルトさんに気合が入っている。
やはりさっきのことで相当なストレスになったのだろう。
近づいた魔物を容赦なく切り刻んでいく。
「よしゃ 俺もやるか! 主の光は全てを焼べる
サンライトソード」
これは、俺が使えるスキルの中でも特段強いスキルだ。
振るえば、辺りに聖光が降り注ぐ。
傷つければ、その数から聖炎が立ち込め敵を焼き殺す。
が、しかし1日1回さらに1時間という短時間でしか
使えない為普段は使わずに剣技と普通のスキルで
相手をするのだが今はそうも言っていられない。
ラインハルトさんが敵を殺していくのはいいのだが、明らかに強い魔物が出てきている。
今ラインハルトさんと対峙しているクイネラなんかは、普通一個中隊ぐらいの人数の精鋭で相手をして半分生き残るかという、かなり強力な魔物だ。
そんな魔物に1人で挑んでいる辺りラインハルトさんが心配でならない。
案の定足を止められて囲まれ出した。
相手の数が多いのでこの中で足を止めるとすぐに囲まれてリンチを受ける。
最低でも、歩かないといけないのだが……
「ヤバイだろがよ‼︎ 邪魔なんだよ‼︎‼︎」
聖剣を振るうと聖光が周りの魔物に多少だがダメージを与える。
多少は怯んだ先に、満身創痍のラインハルトさんを半ば無理やり担いで救助隊のもとに走る。
「ラインハルトさん……死なないでくださいよ」
聖剣の影響で身体能力も数倍に引き上げられているので救助隊のもとに行くまでにそんなに時間はかからなかった。
「ラインハルトさんが 重症だ 治療を頼む‼︎‼︎」
大の大男人を担いで全力で走ったのに息ひとつ切らしていないのは聖剣のおかげだ。
聖剣発動の残り時間は50分。
ここでなるべく多くの魔物を葬っておきたいので
ラインハルトは、西園寺もいるだろうし死にはしないだろう。
そんなこと思いながら再び戦場に戻る。
今現在、勇者達、王国騎士団と冒険者達は別々に戦っている。
別々と言っても戦場は同じだが完全に戦場は左右に分けた感じで右が冒険者で左が勇者と王国騎士団という図になっている。
そんな戦場の右半分は凄いことになっていた。
既に第二陣の魔物の約1/3を仕留めているのだ。
その先陣に立っているのが、グレイとその姉だ。
グレイは両手剣を装備し、まるで人でないかの様な素早く3次元な動きをして敵を翻弄しながら的確に相手を斬り刻んでいる
一方姉はというと大鎌。それもデスサイズという様な奇妙な獲物を完璧に使いこなし、魔物を殺していく。
この2人に続いて多くの冒険者が獅子奮迅の戦いをしていた。
しかし、勇者達と王国騎士団はというと……
明らかに数が足りていない。
王国騎士団も俺達も人数は勿論、魔物相手の大規模戦闘も初めてだ。
しかし、泣き言も言っていられないので手段として冒険者達に協力も仰ぐことも考えながら、魔物達を死骸に変えていく。
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