街へ
街に入る為には検問がある。
これは、大きな街であればある程厳しくなっていって、中には身分証がないと入れないという街もある。
しかし、小さな街や村はそんなことは基本的にしない。
大きな街と比べると、そんなにヤバイ奴が入ってきたりする訳でもないからだ。
そして、俺……私は、リゼお姉ちゃんと一緒に短い列に並んでいる。
今のうちから多少癖付をしておいた方がいいだろう。
ローズとフェルは私の影の中に、アオイはリゼの従魔空間にそれぞれ帰っていた。
リゼお姉ちゃんになんで移動の時に入れてあげなかったのか聞いてみると、
「そうねぇ〜なんとなく?」
っと疑問系で返された。
アオイも大変そうだ。
どうでもいいことだが、服はダンジョンから持って帰ってきたものの中から適当に見繕った。
いわゆる、着物のようなもので一般的に海を超えないとこれは手に入らないらしい。
ローズも着物を着ているので着付けしてもらった。
ちなみに、魔法付与が付いていて、サイズは、体に合わせて変わる高性能品だ。
他にも色々な効果があるみたいだ。
武器は、一応これもダンジョンから愛用しているスライスの短剣をサブウエポンのして、メインは
自分の体格の2倍はありそうな大剣にした。
この武器は、リゼ曰く使える奴がほとんどいないようなクソ武器だそうだ。
なんで、剣としてもそこそこで、魔法媒介にも使用出来るが魔剣士でもこんな大剣振り回さないし
、魔法使いだったらそもそも持ち上げれないし、
剣士なら振れるけど魔法を使えない。
そんな中途半端な杖であり剣だ。
もちろん緊急時にはウロボロスの杖に変えるけど。
何故かって? 今から俺とリゼは冒険者としてランクを上げる事が必要だ。
地道にコツコツ上げていってもいいけど、それではあれに絶対間に合わない。
なので、わざわざ目立ちそうなバトルスタイルにしてみた。
流石に小さな子が大剣ぶん回していたら、嫌でも目立つだろう。
この剣の長さのものは体格に中々にあっていなくて、実際セットするのに無駄な時間が掛かった。
最終的に剣の鞘を小な魔法袋の中に入れて持ち手だけ、外に出している状態に決まった。
そろそろ前の人が中に入った、私たちの番だ。
「身分証を提示してください」
衛兵の人は定型的にそう言った。
きっと毎日毎日これをしてたらから、疲れているんだろうな〜
「すいません、私の分はあるんだけどこの娘の分がないんですけどどうしたらいいですか?」
リゼお姉ちゃんは、それとなく礼儀通りに返す。
それに合わせて、私は無言で相槌を打つ。
「はぁ〜 分かった一応のことだからそこの娘は、この水晶に手をかざして。
青色なら問題ないから、身分証なくても中に入れるよ」
そういうとそこにある、手のひらサイズの水晶に手をかざすように促してくる。
私とリゼお姉ちゃんは、静かに目を見合わせた。
2人とも今のところは計画通りに事が進んでいてここが難関だからだ。
私は無言でその水晶に手をかざす、すると水晶は
真っ赤に染まった。
『モンダイナイナ ナカニハイッテイイゾ』
そういうと、衛兵は私たちを街の中へ入れた。
中に入ってしばらくして、後ろを振り返ると、
「身分証を提示してください」
覇気のない声で次の人の対応をしていた。
「案外あっけなかったわね〜」
「そうだね リゼお姉ちゃん!」
勿論あの水晶は正常に作動した。
だから、俺の手をかざした時に真っ赤に染まった。
しかし、おかしかったのは衛兵の方だ。
種は簡単だ。
リゼ何あの一瞬だけ精神干渉を行い認識のズレを起こした。
だから、あの衛兵は赤色なら中に入れていいと勘違いしてまんまと中に入る事ができたのだ。
まぁ、念のために記憶消去して、私とリゼお姉ちゃんの記憶は消去さしてもらったけど。
本当にあっけなかった。
そうして、無事に中に入れたので人生二度目の冒険者登録に向かうことにした。




