移動
俺達がリイータ領から脱出してから早1週間が経った。
「ハァハァハァ 待って下さいよ〜」
現在俺たちは、王国と公国の国境を目指してフェルの背中に俺とリゼが跨ってローズが休んで、アオイが走っているという状況だ。
「頑張れ 頑張れ ア オ イ」
呑気な応援をしているのは俺の後ろでフェルに跨っているリゼだ。
流石に汗だけでこの数時間走り続けているのでかわいそうに思えて来るけど、誰か何走らないといけない。
そうなると、フェルの主人の俺は確定で残りは
ローズかリゼかアオイになるわけだけどローズは、俺の影に潜った方が楽なのでと言って影に沈んでいった。
後はローズかアオイだが流石にアオイも主人を差し置いて自分が楽をしようとは思わなかったらしい。
そうして、フェルの後ろには巨大な猫又人間なった、アオイが全力で走って付いてきている。
フェルはアオイに気を使って全力で走れないのが大変不服そうだ。
たまに、首筋をよしよししてあげるとクゥーンという完全に犬のように鳴くようなってしまった。
フェルリン確か狼だったよな?
まぁ、少しだけアオイがかわいそうに思えてきたので休憩することにした。
休憩の間は、女性陣が水浴びに行ったり、食材探しに行ったりして1人の時間多いのでついこないだのことを思い出していた。
思い出すといってもそれ程の事もないのだけど、リザにダンジョンで起きたことの経緯を説明して
種族が人間から吸血鬼になった事とダンジョン攻略をした事を説明したが「ふぅ〜ん」という平静な答えが返ってきた。
あいつほんとに、驚くことなんかあるのだろうか?
そのついでに吸血鬼について色々教えてもらったりしたが、俺の知っている吸血鬼となんら変わりがなかった。
具体的には大蒜が嫌い、鏡に映らない、聖水が苦手、銀が苦手、太陽光に浴びると灰になる、蝙蝠に変身できるそんな感じだった。
後は使用方法がいまいち分からないスキルについても色々教えてもらった。
これは、また後々練習していこうと思う。
1人と1匹でぼんやりしている、女性陣が水浴びから帰ってきたのでサッサっと移動を開始する。
そして、例の如くアオイがまたはしることになった。
まぁ、頑張って欲しいと思う。
何故今王国に向かっているのかというとそれは、俺の考えでは思い至らなかった作戦を意外にも
ローズが発案してくれて、その案がなかなか面白そうだったからだ。
作戦というには、程遠いが最終目標は王国を崩壊させることともう一つあるがそちらは第二目標なので、後は行き当たりばったりなんとかなるだろう。
「しっかし本当に遠いな」
「しかたないんじゃないの? 1人足手纏いがあるみたいだしね?」
「えっ! 元々数日で移動できるほどの距離でもないんですから!そんなに急かさないで下さいよ〜」
「まだ小言言えるぐらいなんだからもうちょっとぐらい頑張れるよなぁ?」
「おい ちょっと待てや サクヤ!」
そういうとフェルは嬉しそうに雄叫びを上げて、さらにスピードアップを行いいよいよ、アオイが
限界速度達したようで、ずっとダンマリになった。
それにしても、こいつリゼ以外に本当に敬語とか使わないよな。
そしてさらに、そこから数日をかけていよいよ国境も越えて、大きな街の近くまでやってきたのであった。
良ければ感想、ブックマーク、評価、誤字報告よろしくお願いします。




