過去編 ローズ❸
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私が村を襲う度に刹鬼と言われて逃げられている。
どうやら、こんな噂が広がっているといくとは、
今まで襲った村の中に生き残りがいたのであろう。
殺気や興奮しないとオーガの象徴である角はでない。
つまりローズがオーガであることがバレているといことは、生き残りがいたということなのだ。
「はぁ〜もうちょっと隠し倒せると思ったけど、そんなに甘くはないか〜」
ローズが襲って壊滅させた村の数はすでに20近くにも登っていた。
何もしない日もあれば、1日で最大4つ村を壊滅させたりもしていた。
最近では、村はあっても村人達がすでに逃げ出した後になっている廃村が多くなってきた。
そうして、人のいる村を探しているとついにローズは、街と言えるぐらい大きい塀が建っている
ところを見つけた。
塀は全て石製で、塀の近くには大砲やバリスタ、
投石機などが完備されている。
そしてその中に向かっている村人達の集団を見つけた。
とっさに襲いに行きたくなったが、こんなところで襲っても無駄死にするだけなのでそんな馬鹿な真似はしたくない。
実際今まで襲ってきた村にも果敢にも私に戦闘を仕掛けてきた奴もいたが、全員例のごとく10秒止まったかからず血溜まりと肉塊に変えられる。
「そういえば、これなんなんだろう?」
それは、ついさっき襲っていた村で戦利品として頂戴したものだ。
「確か…『炎竜刀ファラドーラ』とか言ってたっけ」
その刀は、鮮紅色をしていて燃えるように赤い刀身の刀だ。
「確か、こういう武器は魔力をっと……」
柄から刀身に向けて魔力を流すと刀は真っ赤な炎をあげながら切先に走った。
「やっぱり魔法武器ですか」
魔法武器は魔力を通すと武器に魔力を付与して能力を増やしたりできる優れものなのだ。
この刀だったら炎を刀に取り付かせることができた。
「ふふ、これでいちいち魔法を発動しなくていい良くなったわけですか」
試し振りをすると近くの草木に飛び火している。
しばらく試し振りをしているとだんだんとこの刀のことがわかってきた。
「成る程ね 振る瞬間にだけ魔力を込めると火がよく飛んでいって、火は刀から離れたら自然燃焼しちゃうんだ」
刀に魔力を流し続けるよりは全然燃費がいい。
「よし、今日の夕暮れ時にやりにいくか!」
好戦的なオーガの血が騒いでいる、いったいあの中にどれだけの人間がいるかわからない、どれ程の人間を殺してその表情と断末魔を愉しめるのだろうか。
最高に楽しみだ。
夕暮れ時まで刀を振って手にじっくり馴染ませておいた。
それでも、完全には馴染めなかった。
遂に夕暮れ時が来た。
日がローズの左側に沈んでいく。
日が半分になった頃を基準にゆっくりと街に入るための人の列に近づいていく。
気配は消して、ゆっくりと隠密は攻撃した時点で周りから場所が把握されるので、一回こっきりだ。
そしてローズは、列の最後列に並んでいる人達の真後ろまで到達した。




