18、高校一年生 二度あることは三度ある。いや、もう腹いっぱいなんで遠慮し… 微糖
「ふむ、知らない天井だ」
「学校の保健室な」
「ネタに正論が返ってくるとは…」
「お前の言語が偶に分かんねぇよ」
学校の謎に黄ばんだ天井から声のした方を向けば、呆れた風にこちらを見る大神が居る。窓からは傾いた日が差してるので、四限終わり位だろうか。大神の足元にはカバンが二つあるので、こりゃ早退してもいいのかねぇ
寝っ転がりながらカバンにやっていた目をちろりと上げれば、大神と目が合う。
「後始末ってどーなった?」
「まぁアルファ三人の親が居れば、笑顔と握手で全部綺麗に片は付くな。この学校、今日からリフォーム工事するらしいぜ」
「へ、へぇー」
どんだけ金が積まれたんだろうなぁと思わず遠い目になるが、知らぬが仏であろう。見て見ぬふりも時には大事である。うん。まぁ大神達アルファ三人の両親なら多分悪いようにはしないだろうし、うん、多分。
多分のパうわーを信じてその件から目を逸らしつつ、クラスメイトのことも聞く。
「クラスのみんなは?」
「男はみんな記憶なかったな。多少怪我があれど花を襲ったわけだし、正当防衛兼そもそもオメガの未成年だから正規の事故扱いだ。むしろ学校側の対策不足を指摘しつつ見舞金全部肩代わりもしてるから、弁護士噛ませて恩着せて情報規制させた感じだな。女子たちは気絶してるけど怪我人はお前とエリス以外居なかったぞ」
「待て。むしろそれだと殺りに掛かられた私はどうなる」
哀れみの目で見られた。解せん。聖也くんには後で土下座を要求する。ちなみにお花ちゃん達三人は先に一旦先に家に帰ったらしい。
「学校、今日はもう休みだってよ。お前以外みんなもう起きて帰ってるから」
「そっか。あんたも帰りゃあ良かったのに。ちなみに明日って休み?」
「お前を置いて帰れるかよ。明後日からは普通に登校」
「はぁ、両方気前のいいこって。あー、さぼりたい」
思わず皮肉を効かせたため息が出る。突貫で明日までに教室のリフォームだけまず終わらせるらしい。私たちは何も見なかった。聞かなかった。いいね?
空恐ろしい裏事情にドン引きつつ、ちと固い枕からよっこいせと起き上がる。保健室の枕って固いし、布団は薄っぺらいのは何故世界共通なのであろうか。
「あれ? 体操着になってる? 私の制服ってどうなってんの?」
「言っとくが俺じゃなくて保健の女医が着替えさせたからな」
「待て、何も言ってないから……って、痛た…」
何も言ってないのに、大神が当然のことを言い出しやがったので思わず抗議する。こいつ、私を一体何だと思ってるのだ。この清らかなる愛の美少女天使に向かって酷い話である。
つい睨もうとした瞬間、思い出したみたいに脇腹が痛んで思わず呻いた。うう、忘れてた。思い出したら超痛い。聖也くんめ、土下座させた後に目の前でお花ちゃんといちゃらぶしてやる。絶対後でヤり返されそうだけど。
大神が心配そうに身体を動かしたが、私は自分の傷口の把握で手一杯であった。
あ、やべ、湿布剥がしたら何か見たこともない程どす黒い痣なんですが。脇腹に拳大の痣とか、グロいグロイ。これ背中方面もヤバそうで見たくないんだけど
「痛むよな。悪い。女医は見た目の割には打撲だから湿布貼って安静にって……、ッ! 見せんな馬鹿! 恥じらいを持て!」
「見せてないって。むしろ怪我を把握したいんだから見んなし」
「っぅ」
グルルルと髪色と目と同じ位赤い顔で睨まれる。夕日のせいという割には耳まで真っ赤なので、こりゃ怒ってるというよりは照れてるらしい。女をとっかえひっかえしてそうな見た目なのに、怪我人の腹チラで赤面とは初心過ぎて変な話だ。これでは私が痴女の様ではないか
つい初心な青少年をからかう悪戯心が湧いてにまにまと笑っていると、「へぇ?」とドスの効いた声がした。声を発した張本人は何故か赤面から一転してキラキラした笑顔である。何だその聖也くんみたいな顔は。逆に怖すぎるんだが。
思わず先ほどまで笑っていた顔が引き攣る。やばい、からかい過ぎて尻尾踏んだ。怒気混じりの冷気が大神からひしひしと超伝わる。うひぃ
慌てて降参して両手を上げる。
「じょーだん、ごめん、ついからかっただけだって」
「ああ、知ってる。お前はからかえる程俺を男として見てねぇもんなぁ」
「いやいやいや、見てますって大神さん。女性と思ったことなど全くございませんとも!」
こんな暑苦しい筋肉マンな女性はいないってと全力で否定するのだが、何故か大神のキンキラ笑顔は晴れない。どころか、益々神々しくなって何故か段々身を乗り出して来るので、思わず背もたれまで逃げ腰になる。
背中がついに壁に当たって、後ろを確認した視線を前に戻したら、ベッドがギシリと二人分の体重に悲鳴を上げた。
「あのー、大神さん…。近いんですが……」
「そうか? りこ、前々から言いたかったことがあるんだが」
「ええ聞きますとも聞きますとも。なので一歩後ろに…」
恐る恐る提案してそれとなーく大神を押してみるのだが、むしろキンキラキン笑顔は深まるし体はびくともしない。怖い、めっちゃ怖いんですけど大神さんんん
また一歩、唇が触れそうなくらい大神の顔が近付く。
シーツの上で強張った様に体が縫い留められる。
圧倒的な雄の色気が漂う展開に、我が警報機がようやく緊急警報を鳴らした。
保健室の小さなベッドの上で大神の熱を孕んだ視線と交わる。立てた両足の間に体を割り込まれ、背もたれに手を置かれた状態で視線を合わせた大神が唇を開こうとした。
咄嗟に、大神の胸を押していた手の平をその唇に当てて塞ぐ。目を逸らして誤魔化し笑いする頬に、大神の視線が焼ける様に突き刺さって痛い
「あー、やっぱりちょっと今はしんどいんで後でいいですかねぇ。今すぐ寝たくて寝たくて」
我ながら空々しいセリフを吐いて片手で布団を引っ張ろうとすると、目を眇めた大神ががぶりと噛んで来た。どこかって? 私の手の平だよくっそ! 何だお前はもう! 猛犬か! 狂犬か! 噛み癖直せ馬鹿!
「ったぁ! あんた何して」
「逃がさねぇから」
「大神、やめっ」
伸し掛かられ、抵抗する腕さえ封じられて無理矢理首筋を噛まれる。顔を顰めながら反射的に潤む目で睨み付ければ、大神は好戦的で楽し気に笑いながら私を見下ろした。
「りこ、お前が好きだ」
「っ! あんたみたいな噛み癖野郎はお断りだって」
「じゃあ噛まねぇなら?」
「その全部理由を封じる作戦には乗らないから。さっさと離して」
顔を背け、忌々しいと言わんばかりの可愛げのない態度を取るのだが、両腕を押さえ付けて乗っかる大神は楽しそうだ。この獲物をいたぶるドエス肉食獣め。くそう、止めてやったのに分かってて踏み込みやがった。私より賢いんだから態々私で遊ぶのは止めて欲しい。
苛立ちが湧いて真上から見下ろす大神をもう一度睨み付けるのだが、変わらずむしろ愉快そうになるので諦めて肩の力を抜いた。ため息を吐いてもう一回静かに「離して」と言えば、今度はすんなり解放される。こういう時だけ聞き分けがいいとか逆にムカつくだけである。
あーもう最悪と髪をぐしゃぐしゃにしながら胡坐をかき、何を言うのかと面白そうにベッド上で立膝を立ててこちらを見る大神へと半眼を向けた。
「変態って言ってたじゃん。あんたなら選り取り見取りだろうに、趣味悪いにも程があるよ」
「否定はしねぇな」
「そこは否定して欲しかった」
「我儘だな」
大神が牙が抜けたみたいに朗らかに笑うのだから、益々ため息が出る。
「あのねぇ、あんた騙されてんの。なんか近場にちょっと大人っぽい奴が居るから近視で錯覚してるだけで、世の中見ればもっといいのはいっぱいあんの。張りぼて玩具じゃなくて立派なもんがごーろごろ」
「へぇ、それで?」
「だから、私なんかで済ますなってこと。そりゃ練習台にはいいだろうけどさ。流石にあんたの練習に付き合う気はないし」
「俺が本気以外で簡単に告白するとでも? それ以上言うなら噛む代わりに口を塞ぐぞ」
言い終えると同時に「言ってどうぞ」と大神が挑発的に笑う。自分の唇を親指で拭い色気たっぷりに先を促す様は、思わず閉口させる威力がある。あー、もう、面倒だ。お昼の英雄は午後の強敵。これだから相手に回したくない奴はもう!
「はぁ…。じゃあ幻滅させてあげる。小学生の時にあんたを初めて助けたのだって、担任のゴリ男覚えてる? ゴリ男に内申点上がるからって釣られて家に行っただけなの。あの路地裏のヒートも見捨てたら後味悪いじゃん? それだけが理由。つまりぜーんぶ自分の為。あんたの為じゃないから」
「分かった?」とあぐらに肘を付いてぶっきらぼうに言う。我ながらこりゃ酷い内容だ。この世界を無理に満喫してやろうとか、利根田 理子なら動くだろうとか、後味悪いと夢の寝覚めが悪いとか、つまりはこの世界での”自分”を守る為に行動しただけで、根底に大神だから助けたという思いやりの心がある訳ではない。究極は自分の為の結果なのだ。
こりゃ流石に幻滅しただろうと、少しこの縁が切れることを寂しく思いながら大神を見ると、顔を俯けた大神がくつくつと笑っている。
訝しく思っていると、笑いを堪えた後は呆れ顔で大神が困った風に言った。
「お前それ本気で言ってんのか? 内申のためっつうわりには景気良く人の家で暴れるし、そもそも人間は究極自分勝手で生きてるだろ。そんなんで幻滅してやんねぇから。それに俺じゃなくても同じ状況なら後味悪いから見捨てなかったって、それって何て言うか知らねぇの? 誰でも助けるやつってなぁ、お人好しっつーんだよ偽悪者」
「はぁ!? あんた何処をどう聞いたらそうなるのさ! あんたは色々知らないだろうからそう言えるんだって!」
恋は盲目ということわざがあるとはいえ、耳とか頭まで悪くなるとは聞いてない。憤慨して余裕を失い睨み付ければ、つい言わずともよいことまで口を滑らしてしまう。すると大神はまるで犬がピンと耳を立てる様に、興味深そうに続きを促した。
「へぇ、結構知識はあるつもりだったけど。じゃあ聞いてやるよ」
「それは…っ、言えないけど」
「ふぅん」
今まで誰にも秘密を打ち明けてはいないのだ。異世界のことは簡単には説明出来ない。結果、悔し気に唇を噛み締めるしかない。
話をどう逸らすべきかとうろうろとベッドに視線を逸らす私を見て、大神はあっさりと追求を止め肩を竦めた。そうして片手を上げてまるで決まりきった軽いことの様に口を開く。
「つぅか、例えりこがなんて言おうが俺はお前に救われたんだ。いつの間にかお前に惚れてたし、俺はお前だけが欲しい。りこが好きだ。だから、逃がす気はない」
「ッ! 聞く耳持て馬鹿大神!」
叫べば、くつくつと嬉しそうに笑いが響く。自分でも、耳どころか首まで真っ赤になってるのが分かって全身が熱い。うう、だ、だって告白は正直小学校のぼんたくん以来なんだよ! というか何でそんなこっぱずかしいセリフは照れなく言えるんだよ!? 二次元性能か! そこだけ二次元性能なのか謎メンタルめ!!!
腹いせでお尻の下にあった固い枕をぶん投げるが、それさえも簡単に捕まえられて余計苛立ちが募った。真っ赤な顔だが、悔しさも込めて諦めずに吠える。
「あのねぇ、あんたはアルファなんだから、いずれ可愛い運命のオメガさんと出会うわけよ。ほら、路地裏の子とか正にそうじゃない? だからさ、練習じゃないってんなら一時の気の迷いなんだって。別に恋とかアルファ同士のカップルを否定するわけじゃないけどさ、いずれ別れるのにあんたと未来のオメガさんの邪魔したくないの。付き合ったことはないけど私重いだろうからぜぇったい未来で後悔するよ。そりゃ寝取られとか萌える展開だけど、流石に私も当事者でしんどいのは嫌だし、何より、あんまり立つ鳥跡を濁したくない」
最後はもし元の地球に帰ったらという意味もあるが、それも含めて全部本音である。流石に大神の両親を引き合いに出しはしないが、頭のいい大神なら分かってるはずだ。
全力で正論理論武装を述べれば、拗ねたみたいに唇を尖らせ、そっぽを向いて聞き流していた大神がこちらを向いた。半眼で不貞腐れた様子に、こっちこそいい加減こんだけ言えば分かるだろうと負けずに睨み返す。
すると大神はため息を吐いてベッドから降り立ち上がった。衣擦れと共に床を踏む音がする。夕日が白い保健室を照らした。
「言いてぇことは分かった」
「じゃあ」
「先ずりこが心配してる運命の番か? それは現れねぇから。もし出会ってもお前を選ぶ」
「何の根拠もなく言わないでよ」
「根拠はあるけど、まだ中途半端だって分かったから言わねぇ」
それは根拠がないのとどう違うと睨むも、大神はこの件に関してはそれ以上言わないと決めたようであっさりと話題を逸らす。先ほど異世界の追求をあっさり止められた手前、言え言わないで踏み込み辛い。というかこいつ頑固だから絶対言わないと決めたら梃子でも言わないだろうし。
思わず私が子供の様に不貞腐れていると、ベッドの縁から私の傍まで来た大神は、見下ろしながらにやりと犬歯を見せた。
「あの時の女とはあれっきり会ってねえし、重いのは大歓迎だからどうぞ? 俺のが重ぇから一時の気の迷いかじっくり教えてやる」
「そういう問題じゃない」
「そういう問題だろ。ったく、頑固だな」
「あんたに言われたくない」
「はぁ、分かった。譲歩だ」
このままでは平行線だと思ったのだろう。そう言って大神が降参とでも言いたげ喋るので、つい罠だと思いつつも続きを聞いてしまう。焔色の目を夕日色に染めて、悪魔みたいに大神が私の片頬へと触れた。
「運命の番が現れても現れなくても、俺からりこに好きだと言うのは高校の間だけだ。それ以降はお前が許すまで言わねぇし、りこが望むならなるべく友人関係を努力する。だから、高校の間は俺と付き合え」
温くてカサついた親指が頬のみみず腫れをなぞる。そうしてゆるりと唇に触れたので、顔を顰めて唸った。
「付き合うのが嫌って言ってんじゃん」
「言っとくけど、これを断るなら一生付き纏われる覚悟しろよ?」
お前が折れるまで追い掛けるだけだしそれでもいーけどと、てらい無く楽しそうな大神は何かが吹っ切れてるみたいである。他人には滅多に笑みを見せない癖に、今日この時だけで大盤振る舞いしすぎだ。表情筋の栓か何かが吹っ飛んだに違いない
私は悔し気に唸って唸って、結局悔し紛れに唇と一緒に触れていた大神の親指へ歯を立ててやりながら睨み付けた。
尻尾でも振るみたいに赤い目が爛々と続く言葉を楽しみにしている。
それを見て、目を伏せた私はついに心の中で白旗を振った。
ここまで粘って纏わりつかれては、諦める他ない。
正直、内に一歩踏み込まれることは恐怖しかない。もし生まれた理由を大神に見出しでもして大神に依存したら、もし今の”私が元の世界に帰るまで今は満喫するだけ。布教して少しでも知ってる世界に近付けなきゃという心の拠り所”そんな命綱を捨てたら、その後でもし大神に運命の番が現れたら、もし私が急に元の世界に帰ったら、もし、もし、もしを考え、私は立つ鳥跡を濁さず双方綺麗にしたまま帰れるだろうかと不安が募る。
溺れる者が藁を掴むように、捨てられた時に命綱にしてしまってたら、大神を傷付ける可能性があることが怖い。溺れていてもすぐに諦めて手を離せるか自分が分からないのが怖い。
友人関係の様に気安くはあってもどこかまだ一線があれば、それは逆にもし何かあったとしてもお互いを守る予防線になっただろうに。例えどちらからか分からぬ別離でも、学校が分かれて疎遠になること位は人生においてよくある少ない痛手であろう。
そんな長年張った予防線の一つをいま取り払わねばならぬのである。
それとも、と不意に閃くことがあった。
これは大神をここまで騙した私への罰なのだろうか。濁してしまったのだから、ちゃんと泥をひっかぶって綺麗に後始末していけということか
この世界を恐れながらも中途半端にこの世界に馴染みたがった結果がこれだとしたら、なるほど、大層分相応の罰だ。
最悪、大神に依存した後で運命の番が現れ、あっさり捨てられる都合の良い練習台女となることまで覚悟を決める。まぁこんな覚悟をしても少しも傷を減らせやしないんだろうけど、ないよりマシだ。惚れないよう気張るしかないし、もう、そうして必死にか細い予防線を張るしかない。惚れた盲目さで傷付けたくないし、惚れた盲目さで壊れたくない。
心を渡して惨めに命綱から捨てられた後で、よわっちい内の精神がずたぼろになってもその後この世界で生きていく気力があるかどうか、こんなことで足元の世界さえ揺れる自分は酷く惰弱で愚かだ。大神も、こんな吹けば飛ぶような根無しの不良品だと早く気付けばいいのに
孤独な真っ暗闇を右と左に分ける白線の真ん中で、片方へとつい縋る様にばら撒いてしまった海上の木の葉みたいな未来の約束を見ながら、偽物の耳を外して踏み出すことも出来ず、今も茫然と一人立ち尽くしてる臆病者なんだから。
ゆっくりとまた見上げた私を見た大神は、何故か目を瞠った後、笑みを消して真剣な顔で私を見た。男らしい大きな両手で両頬を包まれる。こつんと額が触れ合った。大神にはどう見えたんだろうか。大神の目に映った自分は、どこか迷子の子供みたいな顔をして見える。
「何か隠してんのは分かってる。いつか俺が見抜くか、安心して話せる位になるから。だから、今は俺と付き合ってくれ、りこ」
「………わかった」
静かな声に、小さく、本当に小さく頷く。すると一呼吸後、噛み締める様に何か感極まった感じの大神に羽交い締めされた。
って、痛いッ!! ガチで脇腹と背中が痛たたたたッ
先ほどまでの考えが全部吹っ飛ぶ痛烈な痛みである。眠気覚ましを一周越えて永眠しそうだ。
「放してくれ大神やめろマジで気絶し」
「絶対後悔させねぇ! ぜってぇ高校以降も付き合いたくさせるから!」
「いや何だその抜け道せこくねぇかというかもう後悔して、るし、痛い…、っつ…って、んで……―――」
ぎりぎりぎりぎりと万力の様に締まる腕に、段々頭がふわふわしてくる。あ、この感覚気絶前の感じだわーと無駄スキル、気絶前感覚を体得した瞬間、意識が落ちた。二度目のゲームオーバーである。三度目はマジで勘弁してほしい。
とりあえず起きたら大神をマジで絞めよう。味わえ、絞め殺し。アルファの馬鹿力で怪我人を絞殺するのはやめて欲しい。あれか? あれが新手の照れ隠しだとのたまうのか?
前途多難でお先真っ暗そうな未来にうなされるりこちゃんと、長年の念願が叶ったあまり浮かれすぎて加減が効かなかった大神くん。
付き合って早々彼女を気絶させてしまい非常に珍しく顔面蒼白になる大神が居たのだが、幸か不幸か乾いた制服を持ってきてくれた女医は興味なかったらしい。
「利根田さんの親御さんが来たみたいだから、制服返しとくわね」
「……はい」
二人の未来がピカピカのホワイトな制服の様に綺麗な未来であればいいのだが、さてはて来年はどうなるであろうか
乞うご期待である。
というわけで、此処にすんごい面倒臭いピカピカの付き合いたてカップルが誕生した。
いえーい、おめでとう?
はい、拍手~
お赤飯炊かなきゃ!(ぇ
微糖なのにここまで来るのさえ長かったよおろろーん(泣き声
大神は高校で仕留める気満々ですけど、りこちゃんは必死で逃げる気満々なので面倒臭いカップルですね。自然界での攻防ドキュメンタリーをポテチ片手に眺めましょう(おい
というわけで高二は来たよ!ついに糖度過多でお送り出来る学年が来たよ!いやっほー!
わいも無糖コーヒーでダメージ軽減片手に砂糖過多内容を目指すので、ツボが合う方一緒にによによしようね…!(ぇ
というかこんだけ書いて彼氏彼女を楽しめるの二学年だけとか…なんでだろう(プロット片手
そしてプロット見たら高校二年生の欄「砂糖過多。ほのぼのしたい。甘いの。甘さをくれ」としか書いてなくて最早プロットじゃねぇんだが。過去の自分よ何があった…。でも切実さは伝わった←
脳内会議でエヴ〇パパ議長が両肘を付きながら進行してるんですが、「お花ちゃん達Wデート派」と「二人だけ出す日常派」が熾烈な舌戦を繰り広げております。こう、健太たちも入れるべきだろー!と、いやいやここは不純物なく糖度98%を目指すべきだー!みたいな(ぇ
あとの2%は高3の伏線小石ですね。気にせずでモーマンタイ。でも何だかんだここまでの総決算というか、映えさせたいメインイベなのでやっぱり最終学年が一番の書きたかったことなのかも(笑)
というわけで、だからこそ高2は頭空っぽで萌えで書くぞ~、お~
とはいえうーむ、ちと忙しくなるので、二週間以上開くかもでさ~。のんびり待ってね~
ではでは、トネリコ