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クライマー  作者: akihu
19/35

六甲山全山縦走2-闇-

気持ちのいい朝だった。

初冬のよく冷えた空気に雲一つない青空から差し込む朝日。

少しだけ潮のにおいのする海風が影一の頬を撫ぜた。


駅前のすぐから伸びる登山道に入り鉢伏山、旗振山、鉄枴山を縦走した後一旦町に降り再び栂尾山、横尾山、東山と縦走してまた町に降り高取山に登った。

この一帯は須磨アルプスと呼ばれ200m~300mと標高こそ低いものの海との距離が近く明石海峡を見て取れて東山のあたりにある露岩帯は馬の背と呼ばれてアルプスの山の様な雰囲気を持っていた。


高取山の山頂は神社になっていて神戸の街並みと神戸港が美しかった。

小説の中でも登場するこの山頂で影一は文太郎のことを思った。


その後も多くの登山者とすれ違ったが誰と口をきくわけでもなく一人黙々と歩き続け菊水山、鍋蓋山、再度山と縦走をし摩耶山に至った。

時々見えるモミジの紅葉の鮮やかな色に目を奪われながらも歩き続けたが若干いつもよりもペースが上がらないような気がする。

また日も少し傾いてきたように思う。


その後も縦走を続けたが徐々に暗くなったいき記念碑台という場所で真っ暗になった。

ここで約30㎞、半分を少し超えたあたり。

まだ先は長くもし帰りたいならここでタクシーを呼べば道路がつながっているので帰ることが出来た。

だが影一にとって夜間行動になるのは想定内だったし文太郎が通った道を自分のあしで歩き通す覚悟があった。


夜間行動は昨日の伊吹山で経験済みだった。

登山道という不整地を歩くのにヘッドライトの限らられた光量では凹凸が分かりずらくて歩きにくい。

疲労のせいか足取りは重く光量不足でなおさらペースは上がらない。


どこまでも続く暗闇の道をわずかな光で歩き続ける影一だった。


こんな時自分の過去を振り返っていしまいそうで怖くなった。


思い出したくもない昔のことを。


そんな気持ちになると無性にペースを上げたくなるが上げたところでまたすぐに落ちて前よりペースは下がった。


そんなことをしていると再び昔を思い出しそうになった。


「あれは中学校一年生の時だった。」






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