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期末テスト

期末試験です。ついに晴樹以外の攻略キャラクターの登場です!

やっと一学期終了。次の夏休みです。

いつものようにゆっくりなので楽しんでいただけたら幸いです。

夏休み目前。

クラスのみんなは殺気だっているようです。

当たり前か。

体育祭が終わり、夏休み目前。補習はみんな免れたい。夏休みなのだから。

期末テストの時期です。


「雪ちゃん、また一緒に勉強しよ」

「うん。いいよ」


寝ないでよ、といいそうになった。

イベントだから仕方ないってことにしたいけど、悠里は意外によく寝る子だ。

授業中に寝ていることがあるのを後ろの席の私は知っている。

放課後図書室で勉強することになった。


中間テストの結果はというと、悠里は真ん中くらいで私はそれより少し下。

1位は我妻晴樹ではなく高遠瑛だった。我妻晴樹は2位だった。

ゲームと少し内容が違ってきていることに気付き始めたのはこの最近。

仲良くならないと呼べない『はる』を悠里は初めから自然と使っている。我妻くんも怒ることはない。

体育祭に自然と二人が悠里のお弁当を食べていたこと。

私というイレギュラーな行動をする人間が紛れたことで物語に支障が出ているとすれば、私は悠里と程よくの距離をとらなければならないのだろうか。

私が目的のために悠里に近づいたから?

モブ子の行動も物語に影響する。

そりゃそうか。ゲーム内に私のようなキャラクターは登場していない。

今のところ、大きな影響はないから気にするまでもないよな。

それにみんな生きてる。自分の考えで動いてるのだからゲームと全く一緒はありえないよね。

深く考えたところでゲーム内の私にはわかるはずがない。


うん。そんなことより、期末テストのことを考えよう。

目の前のことを考えないと。


放課後、悠里と一緒に図書室で勉強を始める。


「悠里、大丈夫?」

「ここが解けなくて」

「あー」


これは私にも無理だな。

高遠くんか我妻くんがいれば……。


「さっすが圭人!わかりやすい」

「少し静かにしないと。他にも人が」


隣のグループがわいわいと勉強している。

その中にいるのは川嶋圭人。このゲーム内攻略キャラクターの1人でガリ勉。唯一のメガネキャラクター。


「あれって中間テストで学年3位だった川嶋くんじゃない?」


わざとらしく悠里に声をかける。


「そうなの?」

「確か、教えるのも上手いらしいから教えてもらおうよ」

「雪ちゃんがいうなら」


なんで私が恋愛イベント進めてるんだろう。

本来、川嶋圭人の登場シーンは悠里が帰り際に圭人にぶつかるんだけど、わからない問題を目の前にしてそんなことを考えている場合ではない。


「あの、川嶋くん。私にも教えてくれない?」

「えっと……」

「ばっか。この子並木さんだよ」

「並木?並木って並木悠里さん?あの高遠瑛と仲がいいっていう」

「あきのことは知ってるの?」

「そりゃそうだよ。圭人は学年トップ目指してるんだから」

「あの、川嶋くん。教えてくれるの?くれないの?」


話が脱線しているので話を戻す。

高遠くんと仲がよくても、悠里自身に勉強を教えない理由にはならないはずだ。

ただ、高遠くんや我妻くんに教えて貰えばいいのではとはならなければの話なんだけど。


「えっ?あっいいよ。僕で良ければ」

「本当?ありがとう。あっ私並木悠里。こっちは仁科雪ちゃん。川嶋くんよろしくね」

「川嶋圭人です。よろしく。仁科さんもよろしくね」


悠里は誰にでも優しい。誰にでも分け隔てなく接することができる。

そんな彼女が少し羨ましく思うこともある。

勉強会は続く。


川嶋くんは噂通り。とても分かりやすく勉強を教えてくれた。すごい。私の成績も少し上がるといいな。

勉強会は図書室が閉まる時間まで続き、


「もうこんな時間」

「こんなって7時だけど」


夏の19時ならまだ明るい。


「雪ちゃん、帰ろう」

「そうだね」

「あの、並木さん。送るよ」


川嶋くんが悠里へ声をかける。

主人公補正だよね。


「え?私雪ちゃんと」

「いいよ、送ってもらいなよ。私の家より悠里の家遠いし」

「雪ちゃんがいうなら……」

「じゃあね。また明日。川嶋くんもありがとう」


悠里に手をふって家路に着く。

校門を出たところで、誰かにぶつかった。


「あ、ごめんなさい」


ぶつかった相手は何も言わない。こちらを気にする様子もない。これが普通。


いるようでいない存在。

前世の私と同じ。


健康な身体。

仲の良い友達。

普通の学生生活。

前世の私が欲しかったもの……。


明日から期末テストだ。

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