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プロローグの裏側で

私たち三人には、もう手が付けられないほど人々の生活の中に、かの神々の影響があるのだから

もう、この世界はもうすぐ滅ぶだろう

だが、私が願うのは、無実な人々を救うことだ

人々を別の世界に転送し、滅びゆくこの世界と一緒に、六人で、笑い合いたい

この世界を支配する力は、幼くて弱かった私たちには、過ぎた力だったのだ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


黒いフードの男が歩いている


『闇』の神である


歩いているのは懐かしい、何万年も前の記憶にある、転生する前の世界である

魔法はないが、摩訶不思議な事がまぁ結構あるようだが、何気なく生活する分にはそんなことには会わない。


『日本』という国である


何故ここにいるのか、それは簡単なこと

神の気まぐれである

本物の


そこで『闇』は歩き出した

ターゲットを転生させる為

借り物ではなく、力を持った人を転生させる為


メモによるとターゲットの名前は『大葉 ゴールド』

北欧人と日本人とのハーフであり、技術者としての素質がある


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


かつて、私たちに課せられた世界を発展させるという使命

それに飽きて、じっくりと弄ぶようにじわじわと滅びの道を歩き始めたころ


「ここもダメだったか」

「はい、気がついた時にはもう時すでに遅く」

白いフードを着た女性『光』が言った

「何故、こうも一団になって火を放ったのか?」

銀色のローブをまとった女性『秩序』も疑問に思っていたようだ

「明らかにおかしい、この森を切り開くような話じゃないな」

「そうですね」

「ああ、跡形もなく焼かれるとは」

「しかもここは、俺の作った精霊ごと焼き払われるとは」

「たしかに…精霊ならば、混乱なんかの魔法は無効化してくれるはず」

「まさか、正気の上で焼き払ったのか!」

「おかしい、今までそんなことなんてやらなかったのに!」

真っ黒になった森は、三人の様に暗闇に紛れて行った


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


暗い住宅街を歩いていく

自分が転生してから約2年だけ経っていたらしい

世界情勢が今では既にうろ覚えになっている記憶とは別物になっていた

向こうで過ごした何万年という月日よりも、こちらのたった2年の方が長い気がした


一般的な瓦屋根の二階建ての家が並んでいる

その中で三階建ての家はかなり目立った


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『生』が破壊側についたのは痛かった

あの焼け野原を修復するには、私たち三人の力だけでは無理だ


黒い焼けた森の中を彷徨っている


「どうしろというんだ、何もできないじゃないか」

『どうやらこの世界は失敗の様です』

「⁈」

『どうも『闇』さん、お疲れ様です。私は本物の『闇神』です』

「本物の……」

『初めから与えられた使命である世界の発展が、崩壊に向かっているようなので注意に来ました。もうじきこの世界が崩壊します。貴方の敵対勢力によって』

「どうすればいいんだ?」

『少なくとも我々の下僕…人間がある程度は成長しているので、まぁ、それを引き取るぐらいですかね?』

「下僕?」

『ああ、我々『神』の使徒…天使なんかに改造するだけですよ』

「貴様なんかにやるもんか!」

『残念…人間に人間を進化させる実験は失敗だ、この世界は『本当の闇』に包まれたあと、破壊神に壊されるのを待つだけだ』

「なっ!」

『お前たちはただ我々から『神の力のほんの一欠片にも満たない力』を分け与えられただけに過ぎない』

「なんだって?」

『ならば、『本物の闇』ってやつを教えてやろう』

足元が真っ黒に染まり、吸い込まれて行った


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ううっ、寒い」

金髪の小さめの少女が三階建ての家から出てきた

本当に殺していいのだろうか、家族は心配しないのだろうか

友達は?先生は?近所の人は?

自分の世界…分け与えられただけの世界を救ってくれるだろうか?

「夜か……」

冬の夜空に輝く星々が、住宅街の中でも見えた

とても心地の良い闇だ

『本物の闇』とは違う


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


前が見えない、何も聞こえない、匂いもしない、力が使えない

怖い

そこに何がありそうだからと言う怖さではなく

そこに何も無いから怖いのだ

酷く恐ろしい

意識だけが残っている

動けるのに動けないのだ、本能的に恐怖を煽ってくる

おそらくたった二、三秒のことが何日かのように感じる


『どうだね?『本物の闇』は?怖いだろ、恐ろしいだろう?』

くくくっと声が笑っている

『この恐怖に耐え抜いた人間には素質がある。どんな方法でもいい。忍耐で耐える、恐怖を誤魔化す、番いで守り合う、力で打ち破る、』

景色が見える

目の前には、黒く神秘的なドレスを着た黒髪の黒白目の女の子が座っている

『素質がない奴は、パァだ。心の病でも体に影響が出てくる』

「まて、どうにかしてアイツらを説得すれば良いんだろう。お願いだから待ってくれ」

『うんうん、真面目だね、でもね、もう無理だ。上司もコレは、この世界は失敗だと思ってる。この私にもまだ上がいるんだ。面白いだろう。それに廃棄するのは決定事項だ』

「そんな」

ヘナヘナと膝をつき、四つん這いになってしまう

『まぁ喜べ、所詮はもうすぐ崩壊する世界だ、人間を逃すチャンスをやろう。そうだな、お前にちょっとだけ良いものをくれてやる』

黒い…漆黒の球体が、体の中に入り込む

『『時空を超える権利』を与えた、ほら、お前の前の世界でもあっただろう、転生って奴だ。今から大体七日間、向こうの世界で過ごしてもらう。転生させる奴を選ぶんだ。ほら、お前の敵を倒してもらえ。分かってるんだろう。そうでもしないと安全に別次元に送れないからな。あと、お前の森林を焼き払ったのは、国だ』

どうにも不自然なのだ、今まで木を切り倒して開拓していた民が、焼き払いをしだすなんて、しかも国でなんて……まさか

「政治的に支配しているのか!」

『宗教的にもな、神の名を騙る愚か者だ。もっともだからといってお前が戦うと人間にも被害が出るのは分かるよなぁ』

「なるほど、国にも宗教にも興味のない魂を入れ、その弱い人間に解決させるという事か」

『ああ、一時的に力を与えればいいんだ。器はまぁ、本来なら産まれなかった体でも使えばいい』

「ありがとうございます」

『期限は今から二千年、その内にこの世界を改革しろ。さもなくば神の使徒としての素質がある者しか生きられないからな』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ふう、満点の星々とは言えないが、綺麗な夜空から視線を下げる

とうとう、本当に手を染めてしまった

『闇神』から貰ったナイフをお腹に突き立てた

幼い子供は、苦しみながら、恐怖で声を上げられないらしく、ただ逃げようと這いずり回っている。

恐ろしい、自分の手が震えている

ナイフを、握り直し、首を切断した


少女の身体は闇に消えて行った


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『ああ、向こうの世界に行く前に、このナイフとメモ帳をやろう、未来からの贈り物だ』

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