真実と修行
ここは、地下都市トウキョーの更に地下
限りなく大地が広がっている
地平線が見える
どうしてこんな地下なのに、ここまで広い空間があるのか
大葉ちゃん曰く、それは単に、地下なのではなく、異空間であるから、ただひたすらに空間が広がっているそうだ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「神が相手となると、それ相応の覚悟が必要になると思うぞ」
「今までの様な斥候兵ではないと思ってください」
金色のロボットのような兵が赤い目になった
『魔金駆動戦闘兵八式』
魔王オーバーの作った魔金駆動戦闘兵シリーズの中で唯一の量産が可能な機種。量産が可能な分ステータスが低いが、それでも魔王四天王レベルの力を持つ
それが今“私だけ”に襲いかかってくる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「神……そうかそろそろか」
『神だとさ』そう言ってクトゥルフだなふざけた会話をしていたら、そう大葉ちゃんが呟いていた
どうも、それが、いよいよ本腰を入れようと決意したような
死を決意したような
そんな声だった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
すぐさま防御魔法を張る
ルールは簡単
向こうを倒すか、こちらの『身代わりの護符』が破けるかだ
身代わりの護符には、私の体力など諸々をまるごと写してあり、それを肩代わりするらしい、破けた時は、自分が死んだ時だそうだ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「えっ⁈大葉ちゃん?」
「あっ!はは、いるじゃないか。可能性はゼロじゃない」
「どうしたんですか?大葉さん」
「話は後だ、とりあえず、大部屋に来てくれ、見せたい映像がある」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この護符はこの大葉ちゃんの作った空間でしか作用しないそうだ
要するに、この護符が破けたら、実際では死んでいるという事だ
『あくまで我輩の作った空間でのみ作用するのだ。世界の法則を改悪するのは不可能だからな。一から作るしかない』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「シアタールームか」
「でかいな、普通じゃ収まりきらないはず」
「空間魔法とでも思ってくれ」
そう言うと、大葉ちゃんは、レバーを引き、出てきたパネルを操作した
すると、目の前の壁に、映像が映し出された
何処かの遺跡のようだ
「これ…見たことあるか?」
大葉ちゃんの指差した先には、三角や直線を組み合わせた文字のようなものが
三角や直線?何処かで見たような
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
防御壁をぶち抜いてタックルしてきた
予め予想していたので、回避する
次の瞬間、『ビリッ』護符が破けた
予め回避される事を予想していたのか、私の足元に蹴りを入れたのだ
不意の一撃が背中にかかり、衝撃によって、背中の骨が全て砕けた感覚がした
「早くないか?」
なんだろうか、今まで本当に手を抜いて…いや、一般市民に操作させてるのだから意図的に手加減していたのか
「もう一回やらせて」
「言わずともだ、『身代わりの護符』起動」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「アイヌ語か?これ?うろ覚えだが」
「私は楔形文字だと思うです」
「二人とも正解だな」
全く違う文字なのに、どちらとも正解だと言った
「「?」」
「二つとも混ざってるということかなぁ?」
「その通り!他の面をみてみてくれ」
するとそこには、甲骨文字、ヒエログリフ、アルファベット、漢字、平仮名、アラビア文字、ルーン文字、マヤ文字、その他いろんな文字が書かれていた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
避ける
追撃
『ビリッ』
魔法を放つ
握りつぶされる
鳩尾に素早く5撃
『ビリッ』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なんで、こんなに前世の文字があるんだ?」
「まぁ、そこは置いといて、大事なのは書いてあるところだ」
急にここに連れてこられて困惑しているのだろうが、私が連れて来た。死の間際、私の姿を見たものもいるかもしれない、私は、黒衣……黒いローブをまとった者だ
「黒い…ローブ?…」
「ああ、今まで、我と同じ境遇の者に会わなかったから、確証が持てなかったが」
「少なくとも、オーバー様はただ理由なく隠してた訳ではなく、まぁ、この続きを読んで下さい」
さて、何故、こちらの世界に導いた、転生させたのか、それは、こちらの世界を救う…要するに滅ぼして欲しいのだ
「へ?」
「滅ぼすのが救いになるのか?」
かつて、この世界に6人、3人ずつの男女が転生した。彼等にはとてつもなく強大な力が分け与えられた。それぞれの人に『生』を、『死』を、『秩序』『無秩序』『光』『闇』を操る力が分け与えられた。彼等に与えられた使命は、世界を発展させること
そこで、我々は、協力し合い互いの力を合わせて人間、動物、植物、微生物など、様々な生物を作った
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うふぇっ」
思わず変な声が出た
攻撃を避けたと思ったら、変な方向へと足が曲がり、追撃してきたのだ
「!ストーップ」
慌ててかけてくる大葉ちゃん
「対神徒用のプログラムだった」
テヘペロと、おどけて言う大葉ちゃん
「すまない、どうりで護符の消費が一人だけ激しい訳だ」
すると上空に3メートルはある巨大なハリセンが
『バチコーン』
『ガキュッ(首の骨が折れる音)』
「そこまで気づいたらわざとやっていたんでしょう?ねえ?」
「痛いなぁ、メイさんよぉ」
「どうせすぐ治るんでしょ」
ハリセンを召喚したのはメイさんのようだ
「全く、いきなりそう言う事をするもんですか?」
「だが、順応したようだぞ」
「全く」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
だが、ある時、『生』と『死』と『無秩序』が「世界を作るのに飽きた」と言い出し、既にある生物を改造し、怪物を作り上げたのだ
それがおよそ三億年前のことだ
それから、私は、破壊を止めるため、『秩序』『光』と協力し、魔法体系を作り上げた
しかし、それを悪用されてしまい、怪物が魔物になってしまった
ならばと、私は、人間により強力な個体を作ることにした、そして生まれたのがエルフであり、魚人であり、羊角人である
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なるほど、たしかに他の3人は対等に渡り合っていた
華さんは、盾を構えて物量で押している。魔金駆動戦闘兵の足には、アンカーもといパイルバンカーがあるはずなのだが、使われていないようだった
スズは、レーザーを使って防御網を作っていた。結構レーザーが細くてガバガバなのだが魔金駆動戦闘兵は攻めてこない
健一さんは、剣を両手に二本持って戦っている。蹴りを入れれば魔金駆動戦闘兵が勝てるはずなのだが、出していない
「私だけ、鬼畜仕様じゃん」
「ごめん、悪気はない」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
しかし、人間はそれを受け入れなかった。あまりにも体が違っていて、怪物のように見えたのだろう、彼等を怪人、魔族と呼び始め、禁忌に触れた邪悪だとした
人間に近い形にしたのに何故だろうと考えた
そして、気がついたのだ。
人間の支配者が、『死』であり、人間の崇める神が『生』と『無秩序』であるということに
彼等は人間を発展させていた。一見そう見えたのだが、違う、貴族などを作り、平民を退け、資源を無駄に消費させ、富のためと偽り森を中に住んでいた原住民ごと焼き払っていたのだ




