魔王国の真魔王城
「どうだ、驚いただろう」
「おお〜」
「なにこれ」
「すごい、大っきいです」
「はは、これはこれは」
「どうだ?東京をイメージして作ったんだが、完成度は高いか?」
さっきまで穀倉地帯にいた私たちは、王都を紹介すると言われ、大きな魔法陣の上に立ったのだが、一瞬で天を貫くほどの摩天楼がそびえ立つところに、転移したのだ
「東京には行ったことがないけど、テレビなんかでみたような気がします」
「見てです、東京天空塔があるです」
「おお、高いね〜」
「すごい、これを一から作るなんて…流石魔王大葉ちゃん」
「はは、すごいだろう、もっと褒めたまえ、讃えたまえ」
「やっぱ、それは定番なのです」
「ほら、真・魔王城を紹介しよう。これに乗りたまえ」
「おお、これは、キャンピングカーじゃないか、それに一億はザラにいく」
「あなた、腕が挙動不審になってますよ」
「すご〜い、かっこよすぎるよ〜」
「キャンピングカー…さすが魔王ね」
「ほら、メイ、運転してくれ」
「了解です、魔王さま」
「なんか、メイさん、淡々としてない?」
「ダイブしたときは、AIによる自動補助機能がついているからな、多分そのせいだろう」
「うーん、なんか納得いかないけど」
「まあ、乗り込め野郎ども」
「一人以外全員女子ですよ」
「そこは律儀にツッコミを入れるんだ」
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「「わぁ、ひろ〜い」」
「すごいです」
「なぜここまで完璧に再現されているんだ?」
「それは、もう毎日ここに住んでいたからな」
「「「「えっ」」」」
「父さんが大手の企業の会長で、母さんが社長だったからな」
「「「「ええええええええええええ」」」」
「えっ、だって北欧系の社長って有名になったじゃん」
「そうだけど」
「それとこれとは」
「別です」
「まさか、あの大手企業の娘だとは」
「よく、母に似ていると言われたんだがの」
「どうりで、地球の知識が豊富なわけだ」
「先生たちもよく気づかないです」
「そもそも、なんなら、その事を公言すればいじめられないんじゃ」
「そうなると、ああいう大人は、急にゴマを擦り始めるからな、そういうのは嫌いだからな」
「はは、まあ、大抵の人はそうするだろうね」
「あんな、くそみたいな人の中心にいたくないじゃん」
「確かに、ご近所づきあいみたいな感じです」
「確かにそれは辛いな」
「なるほど、汚い大人しかいなかったんだね、大葉ちゃんえらいえらい」
「アンタ、そこを褒めるか?フツー」
「まあ、令嬢が取り巻きとともに、いじめをするとかありましたからね」
「自分で言うか?フツー」
「いや、あれは、記憶がないときだから、セーフだから」
「あなたたち二人とも大概です」
「確かに、どっちもどっちですね」
「ほら、そろそろ着くぞ」
「あれは、国会議事堂か?」
「ああ、魔王が政治はしないって言ったからな、ほぼ日本と同じシステムだと思う」
「もしかして、真魔王城って」
「さすがに、それは真似できないでしょ」
「それが、いろいろある程度は公開してるんです」
「なぜ、知ってるし」
「んじゃ、ここだな」
「やっぱり」
「チヨダの一の一、つまりは、ここが真魔王城だ」
「おお〜」
「どうだ?庭が綺麗だろう」
「すごい、日本庭園だ」
「はは、母が日本の文化が好きだったからな」
「ならば、日本全国を作ったんですか?」
「いいや、それはさすがに無理だ。しかし、東京だけなら完璧に再現できたと自負できるよ」
「やっぱすごいです」
「そういえばここってどこにあるんですか?」
「ここは、魔王大陸の地下だな」
「空が明るいのは?」
「あれは、魔力灯だな、魔力を消費して、様々な色に輝くやつさ」
「おお、すごい」
「魔力は何処から稼いでるんだ?」
「おお、流石ゆういつの男、いい質問だ、これらの魔力は全て、魔族たちから集めているんだ」
「ほう」
「このブレスレットから、魔力を吸収して、この真魔王城に送られる、そしてそれらを溜め込むのが、私の身体だ」
「えっ」
「魔王というのは、最終決戦用の兵器みたいなものだと言っただろう」
「ええ」
「魔族というのは、少数民族の集まりだからな、それぞれの優秀な人から集めて戦わせ、リーダーを決める、そしてその優秀な人材に更に強くさせる為のものを入れる、それが魔王石というもので、魔力を溜め込む働きがあるんだ」
「ほう」
「代々の魔王がそれを受け継ぎ、溜め込んだ魔力を我々魔族を守るために使うのだ」
「なるほど」
「そこで、我は、平民からも集めてみればいいのでは?と思い、このブレスレットを作ったのだ」
「それが、街を照らしていると」
「それは、すべて我の魔力だ、平民から集めた魔力は実際には、ダイブシステムに使われているんだ、死ぬ必要がない兵器だからな」
「ならば、私たちが戦ったのも」
「ああ、平民たちだ、まぁ、あの魔族の義体ロボットのおかげで、だれも死んでないからな」
「何か弱点とかはありますかね」
「ああ、協力する仲間だからな、教えてやろうと思っていたところだ」
「お願いします」
「ズバリ、彼らの弱点は、魔法が使えないじゃ」
「えっ」
「無論、魔法が使える型はあるが、消費が多い、つまり、乗れる人数が少ないのだ」
「なるほど」
「そこで、魔力を使わない銃を開発しようとしたのだが、先程も言った通り火薬がないし、金属の粉から作るという発想が出来なくてのう」
「そうでしたか」
「レールガンもあったが、電気を流すのに、結局魔法に頼ってしまうからな」
「ならば、モーターから稼ぐのは?」
「それを先程思いついたのだ」
「ふむ、魔法が使えないのは、遠くに魔力を飛ばす際に抵抗がかかるからですよね」
「ああ、そうだな」
「ならば、乗せればどうでしょうか?」
「乗せる?人を?どうやって?安全性は?」
「まず、空母みたいなものを作ります、その中にダイブする用の機械を乗せれば、ロスも押さえて、かつ安全性が高くなると」
「なるほどのう」
「更に、空母にダイブシステムのロボットを収納できれば」
「おお、持久力が出るな」
「更に更に、空母みたいなものからも、兵器を取り付ければ」
「ヤーマートー」
「それは戦艦、まぁ、護衛艦みたいな立場も要りそうですね」
「ヤッホイ、これで魔族は安心じゃ」
「しかし、戦場に市民を連れて行く訳にはいかないので、あくまでも軍隊だけにしてくださいね」
「わかっておる、あくまで平民は歩兵だからな、軍人を香車や飛車、角行にするさ」
「将棋ですね、しかし今回は、敵は生身の人間たちですね、なので香車や飛車、角行は要りません、桂馬です」
「そうだな、確かに元人間として、魔王として、平和条約のために惨殺は避けたいな」
「ここで怪しいのは、グランド王国の国王と女神なので、諜報員が欲しいですね」
「魔族の義体だと、遠くに行くほど、ロスが大きくなるんだぞ」
「ならば、ロスの少ない小型にすればいい」
「その小型にするのは、あのロボットぐらいしかない」
「それは、ダイブシステムだからでしょう」
「まさか」
「ええ、ラジコンですよ、小型のね」
「なるほど、逆の発想だな、あえて下位互換を使うと」
「ええ」
「しかし、ラジコンだと見られたら気づかれるのでは?」
「ふふ、そこでですね、ありきたりな生き物で、かつ見たら逃げ出すような」
「まさか」
「グレートのG、ゴットのG、ジャスティスのGさ」
「おお、ジェノサイドのGだな」
「「ははは、あははは」」
「何あの二人」
「たしかに、怖いです〜」
「本当に何を考えているんですか?最近夫が若くてヤバいです」
フラン(華)は、自分の夫が若くて、困っているようだ