プロローグ
暖かな目で見てもらえれば幸いです。
永山薫、ちょっとオタクな大学生。
ラノベやらアニメやらに影響されて、「異世界召喚」なるものに憧れを持っていた彼は、実際に起きるわけはないと考えながらも、どこかで期待していた。
それが、期待とは全く違う結果になることも知らずに。
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休日は、大抵の人にとって一番心が満たされる日だろう。オレ、永山薫もその1人だ。
オレはいつも、休日を録画がしているアニメを見るために使う。大抵は外に出ずに一日中家だ。外に出て遊ぼうにも、遊ぶ友達もいないし。一人で遊ぶとか虚しいことするなら、オレは家にいたい。
なのに、この日に限ってコンビニに行くために家を出た。昼飯を食べようと思ったら、冷蔵庫に何もなかったからだ。くたびれたサンダルを履き、玄関を出て古いエレベーターに乗る。ガコン、と頼りない音とともにエレベーターが動き始める。オレが住んでるのは3階だから、エレベーターでは直ぐに一階に着くはずだったのだが、
「あれ?おかしいな。」
エレベーターの表示は一階に着いた。なのにドアが開かない。
「はぁ、まじかよ。ついてねーな。」
エレベーターが故障したんだろう。なにせ結構古かったしな。この機会に是非新しくしてほしい。とりあえず、エレベーターにある電話マークのボタンを押す。
「まさか、人生でこれを押す日が来るとはな。あれ?もしもーし、聞こえますかー?」
少し待って見たが返事はない。これは本格的にヤバめのやつではないだろうか。
「おいおい、どうすんだよこれ…」
とにかく、他のひとがこのことに気づいてくれるまで待つしかないか。そう思い、座り込もうとした時エレベーターが大きく揺れた。思わず尻餅をつく。
「うおぁ!」
ここ一階だろ、なんで揺れんだよ!心の中でそんな悪態をついていると、揺れは直ぐに止んだ。
「なんだったんだ今の…うおぁ!」
落ち着いたのも束の間、今度は床が光り始めた。
床が光ってる?もう意味がわからない。それと眩しい!今ならム○カの気持ちが分かるくらいに眩しい。
「何なんだよ⁉︎」
とにかく立ち上がろうと壁に手をつこうとしたが、それは叶わなかった。そこで初めて自分に起きていることに気づく。右手の指先が光る粒子のようになって消え始めていたのだ。ハハッ、もう乾いた笑いしか出てこないねこれ。
しかも、その変化は右手だけじゃなく、全身で起きていた。オレの身体のそこかしこから、光の粒子が立ち昇っている。あ、これ周りから見たら結構綺麗かも。
なんて、下らないことを考えている間にも消失?分解?は進み、オレは意識を手放した。
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『肉体ノ分解カンリョウ、再構築ニ移行シマス。』
この不思議な声誰だ…
分解?再構築?何を言ってるんだ。
まあいいや、ものすごい眠いし。
『希望ニソッタ肉体ニ構築シマス。希望ヲ仰ッテ下サイ。』
希望?なんだそりゃ。
オレは今寝たいんだよ。
なんでもいいから寝かせてくれ。
『ナンデモ……此方ニ一任、デ宜シイノデスネ?』
ああもう、なんでもいいって言ってるじゃん。
そっちで勝手にしてくれ。オレは寝る。
『誘導スル必要ワ無イヨウデスネ。デシタラ、魔王二致シマス。他ニ希望アリマセンカ?』
だから勝手にやってくれって言ってんだろ。オレは寝るの!
『承認シマシタ。オプションハ此方デ厳選シ、付与サセテモライマス。コレヨリ再構築ヲ開始シマス。』
はいはい、どうぞ。
…ん?待って。それはまさかオレの身体の話してる?
『………』
待って、お願い返事して!
すみません話を聞かなかったオレが悪かったです。
認めますから、返事プリーズ!
『…再構築カンリョウ。意識ノリンクニ移行』
ちょ、待って待って!
リンクって何⁈何と繋がるの?
『以降、此方ヨリ貴方ヘ干渉スルコトハ原則アリマセン。ソレデハ…』
そんな、せめて身体の説明だけでも!
うわっ、なんか意識が朦朧と……
そして、オレはもう一度意識を手放した。
なるべく早く更新していこうと思っています。これからもよろしくお願いします。