面倒な事は避けたいのですが…無理なようです。
久々更新の為、矛盾点とかあったらすみません…!(時間ある時に修正します!)
「は、はあっ!? ママ、マリエラ様っ、な、何をおっしゃってますの!?」
うん、動揺しすぎ。バレバレだよね。
「そっかー、あのユリに好きな人がねぇ…」
生温かい目でユリを見ている僕と違い、純粋に目をキラキラと輝かせているマリーは、ユリにズイッと詰め寄り――…
「まあっ! ユリエラ様! フレイのどんなところがお好きなのかしら!?」
お、おお。マリーは恋の話とか好きなの?
「え!? いや、その…えっと。一番好きなところは…や、優しいところ、です」
…――恥ずかしそうに視線を彷徨わせながら。ユリは小さな声で答えた。
「え、優しい…の?」
僕とフレイはあまり話をした事がないから、まあ…こういう人だと決めつける訳には行かないけど。
僕のフレイに対する印象は、自分の事が大好きなキザな男…なんだよね。
「あら、フレイは優しい人よ」
「そうよ! フレイ様は優しいわよ!」
「へ、へー」
あれかな? キザそうだし、女の子には優しいのかな? なんて、考えいると。
「おーい、マルロー! お客さんだよー!」
コンコン! と。扉を叩く軽快な音と明るい少年の声が外から聞こえてきた。近所の少年、ルウの声だ。
「あら? ルウかしら?」
「うん、そうだと思うよ」
僕が椅子から立ち上がりかけると、マリーが『私が出るから、マルローは座ってて』と言い、ドアの方へ向かう。
「ルウ、こんにちは」
「あっ、マリーちゃん! こんにちはっ! マルロー居る? おれ、マルローの家を訪ねて来たって言うお客さんが居る事を知らせにきたんだ!」
「まあ、そうなの? ルウ、どうもありがとう。お客様…誰かしら? 今、マルローを呼んでくるから少し待っていてね」
パタパタと小走りでマリーが戻ってきたけど…うん、家小さいからさ、会話ほぼ全部聞こえてた。
「お客さんだって?」
「ええ、そうみたい。今日は特に誰かが訪ねてくる予定も無かったし…誰かしら?」
「そうだね、まあ…ちょっと行ってみるよ。ユリ、悪いんだけどちょっと待ってて」
「へ? あ、うん」
「じゃあ、私はユリエラ様と待っているわ。ユリエラ様、お茶のおかわりは如何ですか?」
「えっ!? あ、はいっ! 頂きます!」
さて。ルウには特に警戒した様子も見られないようだし(そもそも怪しい人なら、ルウの家の人がルウを一人で、お使いに出したりしないだろう)とりあえず。うちを訪ねて来たという“お客さん”に会ってみる事にした。
「あ、待って。マルロー」
「うん?」
「これを」
マリーはバスケット(先程お茶をするのに用意して来てくれていた物だ)から、焼き菓子を幾つか取り出すと白い綺麗な紙に包み――…
「ルウにあげてくれる? よかったら、おやつに食べてねって」
『お使いのお礼に。少しだけれど』と、マリーは笑みを浮かべていた。
なるほど。マリーは家に来て割とすぐに近所の子達に懐かれていたんだけど、こういう気遣いが出来るからなんだろうなぁ…と密かに思った。
「ルウ、お待たせ。知らせに来てくれてありがとう。あ、これマリーからルウにって。中身はお菓子だからおやつに食べてねって」
包みを渡し、受け取ったルウは『ありがとっ! マルロー、マリーちゃん!』家中に響くような大きさの声でお礼の言葉をくれた。
それに対し、奥に居たマリーからも『どういたしましてー! こちらこそ、ありがとうルウ!』と返事が返ってきた。
「んー、それにしても誰が訪ねて来たんだろう?」
「父ちゃん達が話してたから、おれはわかんないよ? でも、豪華な馬車に乗って来ていたから貴族様なんじゃないかな?」
“お客さん”はルウの家の前に停まる馬車の中で待って貰っているらしい。
最初はマルローの家に案内するよって、ルウが言ったみたいなんだけど、馬車の中に居るだろう人物が、『心の準備が』とか『いや、僕が訪ねたら…』とか何とか言って、モジモジとしているらしい。(本当、誰が来たんだろう…)
面倒な事にならなければ良いなぁ、と。
さっきも考えた事を思い出しつつ。ルウの家の前まで行ってみると、僕に気がついた御者が中の人に声を掛けて、扉の前に踏み台を用意してから馬車の扉を開いた。
そこから出てきた人物を見て。
「やあやあ! 学園卒業以来かな? 久しいね、マルロッド・グラス君!」
そして、笑顔で声を掛けられて――…
「ははは…久しぶり。フレイ・バース君」
(あ、これは面倒事だ…)
…――そう僕は心の中で思った。
もう少し続きます。ここまでお読み下さりありがとうございます。




