1話 夢と妄想と僕
土と草の匂いがする。
暖かく、日向ぼっこをしているみたいだ。
とても気持ちがいい。
そんなことを考えていると、だんだん目が覚めてきた。
目を開けると綺麗な青空が視界いっぱいに広がっていた。
もし、天国という所があるのなら、こういう所なのかなと思った。
もし、神様というものがいるのなら問いたい。
「神様、ここはどこですか?」 と。
『ここは夢庭だよ』
長い藍色の髪を後ろで一つに束ねた女の子が、僕の横に座っていた。
「えっ……?」
彼女は人差し指を僕の唇に当てた。
『これ以上喋らないで。声を出すと魔神たちが集まっちゃうから。』
よく聞くと、彼女の声も頭に直接話しかけている感じに聞こえた。
なので、聞き取りずらいということは無かったのだが、
ちょっと待て、それじゃあこれからどうすれば……
『頭の中で強く念じるの。そうすれば私クラスになると意志を読み取ることができるのよ』
彼女は、フンスとはなをならし、すごいだろ!と言わんばかりに胸を張った。
あ、はい。スゴイです。いろんな意味で。
『それで、僕はこれからどうすればいいんですか?』
『あなたには宝玉を集めてもらいます。』
話が速すぎてよくわからない。
『宝玉、ですか?』
『はい、宝玉です。』
彼女は笑顔でそう答える。
とりあえずこの状況をどうにかせねば。
『あの…』
『はい、なんでしょう?』
『僕はいつまでこうしておけばいいのでしょうか?』
『そうですね…まだここから動けないんですよねぇー』
『どうしてですか?』
『ま、まぁ、それよりも宝玉です!』
彼女は、パンッと手を鳴らし話をはぐらかした。
『……あ』
『え?どうしたんですか?』
彼女の顔色がみるみるうちに青くなっていた。
これからどうぞよろしくお願いします。




