プニルツタヤちゃん
「ユズ、こんな所で何してるの?」向こうから、女の子の声が聞こえてきました。
色は僕らよりずっも白くて目は青く、美しい金髪です。おそらく日本人の誰かではありません。異星人でしょうか?
「よかった!私、ずっとユズとまた会いたいと思っていたの!選手権が終わって、しばらくもう会えないと思ってたから・・。
本当に、よかった!」
そういって、女の子は僕に勢いよく抱きつきました。爽やかなシャンプーのいい香りにクラクラしそうでした。
「あ・・あの・・貴方は?」恐る恐る僕がきくと、女の子は少し悲しそうな声で言いました。「えっ・・もしかして、私の事忘れたの・・」
どうしよう。忘れたもなにも。僕、会ったことないんだけど・・。
いや。まてよ?もしかしたら。あっ、そうか!僕は、父さんに顔が瓜二つ。父さんと年齢も背格好も同じだ。
(なぜ、父さんなのに僕は父さんと年齢が同じかというと、喪女がフィギュアスケーターの羽仁ユズオの事が好きすぎて、想像妊娠で産まれた子供の為。
喪女にはユズオ選手の若い頃の記憶などなく有名になってからの印象しかない。
あくまで、喪女太郎は喪女のユズオへの煩悩から産まれた化身であるため、彼自身の年齢は父親であるユズオと同じ年齢なのである。)
「私。ロシアのプニルツタヤよ。プニちゃんて、いつも呼んでくれたよね?
あんなに、ユズと選手権で沢山お話したし、仲良くしてくれたのに・・」
そういって、プニちゃんは目に涙を浮かべた。
「ごっ、ごめん!いや、違うんだ!君は父さんの知り合いであって、僕の知り合いでは・・い、いや。ごめん!そうだ、うん!あ、あってた!あってた!プニルツタヤちゃん!
プニちゃんね!うん、覚えてるっ!覚えてるよぉーっ!半端ない金髪ぶりとかっ、色の白さとかっ!ぜんぶ、ぜーんぶ覚えてるよぉぉ!」
プニちゃん泣きそうになったので、とりあえず知人であるという事で演技することにしました。
おそらく、プニちゃんは僕の父さんの知り合いなのでしょう。残念ながら、僕は父さん自体も会ったこともなければ・・父さんからすれば僕は知らない人なのですが。
(喪女の煩悩から想像妊娠で産まれてるから)
でも、ここは父さんの為。
プニルツタヤちゃんの為。
必死で、嘘をつくことにしました。