さよなら太郎
最終話です!
そして、消えていったのはプニちゃんだけではありません。
勿論、僕自身も消えていってしまいました。
もし、あの時躊躇せずにプニちゃんを抱きしめていたならば……。
ああ。やっぱり、僕が消える前にチューの一つ位しとけば良かった!
僕、今更ながらやっとわかったんです。
「したいと思った時が、する時」なんですね。母さん。
僕は今、大変後悔しています。
ちょっとイイ子ぶって躊躇ってる場合なんかじゃなかった…。
金髪美女にキスをせがまれるなんて、もしかしたらこの先無いかもしれないんです。
今は、煩悩の化身ですが。
もしかしたら、今度は人間に生まれ変わる事ができるのかもしれない。
でも、もしかしたら蟻かもしれない。ミジンコかもしれない。ノロウイルスかもしれない。殺菌消毒されるかもしれない。
やっぱり。
このチャンスは、これから先無い可能性のが高いんですよね?
「喪女のお腹には、どうやら本当の赤ちゃんがいるみたいです。
アナタはこの「俺が島」で喪女の為を思ってとても良く頑張りました。
金髪美女が来ても、貴方は自分の欲望よりも両親の事を第一に考えて行動しました。
その敬意を称え、貴方にはご褒美があります。」
そう言って、煩悩の神は僕に魔法をかけたのです。
僕は、やがて金色の鮮やかな光に包まれました。
生暖かくて、温かくて。心地良くて・・。
金色の光は、やがて薄暗いピンク色に変化しました。
僕の心から、聞いた事の内容な「ドクンドクン」という音が聞こえてきました。
煩悩の神はいいました。
「ご褒美に、貴方には命を与えてあげましょう。
貴方の大好きな、母さんのお腹の中です。
喪女、どうも出来ちゃった婚しちゃったみたいです。
ちなみに、父さんは貴方が思い描いていた人ではありません。
天才フィギュアスケーターでも、ハンサムでも何でもありません。
もしかしたら、もうちょっと冴えないかもしれませんし、
貴方の顔も、今度はそちらの父さんに似てしまう為。
顔には期待しないでくださいね。
でも、喪女と貴方の事を第一に考えてくれる心優しい男です。
喪女太郎。
あなたに、本当の命を与えましょう。
平凡かもしれないけれど、地に足のついた囁かな幸せを大切に。
そして、どんな時も感謝の気持ちを忘れないでくださいね」
そう言って、煩悩の神はすぅっと消えていなくなりました。
僕は、母さんの胎教の中にいます。
今度は、もう偶像の化身でも何でもありません。
人間界で、生を受けて。生きるのです。
僕は、母さんから産まれる事を今か今かと楽しみにしています。
早く、母さんに抱かれて本当の意味で愛されたい。
成長したら、勉強、仕事もしたいし恋もしたいな。
産まれる前から、僕は夢がいっぱいです。
2017年5月25日
僕は、この地に産声を挙げたのです。
本当の僕のスタートは、これからです!
終わり
ご愛読ありがとうございました




