2
始まりは一本の電話だった。
「梨々子、研究も成功したけぇ鞠子と一度家に帰って来ね。」
学会に発表するための論文を徹夜で書き上げて、太陽がとても目に染みる朝、
さあ寝ようかとベットに横になりかけた瞬間に、鳴り響く電話。
――――タイミング良すぎではないでしょうか、お母様・・・
まぁ研究もひと段落したし、学会が始まるには時間に余裕がある。そろそろ鞠と一緒に帰ろうと思っていたころだし丁度いい。
ああ、だんだんと早く帰りたくなってきた。
実家の稲刈りが終わって、魅惑のホワイトレディ(梨々子命名)福井のコシヒカリたんが私を待っているのよ。ハァハァ、早く白く輝く艶やかなナイスボディにむしゃぶりつきたい!!何から攻めてやろうか?いやまず白米からいって、卵にへしこに納豆にあそこのタラに醤油で垂らしいじめて焼きおにぎりもいいし後ちょっと贅沢に雲丹とか良くネ?さらにお酒でちょっと溶いたのとか・・・よ、よだれが止まんな
「梨々ちゃん、キモチワルイ、ウルサイ、ネロ」
………そうだ、早く寝よう。
―――2日後、私たちはいつもの通り夜行バスで家に帰る。
しかし、二度と生きたまま実家の敷居を跨ぐことはなかった。
私たちは死んでしまったのだから・・・・・・
なんとなく福井県出身です。
ここで登場人物紹介
酒井梨々子25歳
酒井家の長女。双子の姉。
大学院で品種改良などの研究をしている。将来有望な人材。
食べ物(主に米)が絡まなければとても冷静な性格。
在学中に伝説のジャーマンスープレックス事件を起こした。
酒井鞠子25歳
酒井家の次女。双子の妹。
実家の農家を継ぐ予定。奨学金で大学に通っている。(浪人ではない)
温和で誰とでも仲良くなれる性格。
だが、睡眠を邪魔されると魔王が降臨する。