第5話 彼女のフルネーム
某日……
沖田、由紀子、山崎、秀三はいつものファミレスにいた。
さらに北斗もやってきた。
どうやら彼をヴォーカルにするようだ。
「秀二が恋をしているのは本当か?沖田」
「押忍!秀二さんのブログ読みましたから」
実は「武蔵」というハンドルネームで、秀二に励ましのコメントをしたのは、沖田であった。
「しかも職場恋愛か」
「どうりで、この頃、兄ちゃんが、楽しそうに仕事に行く訳だ」
「このことは、秀二さんには内緒ですよ」
「分かってる」
「さて、本題に入りましょうか。まずバンド名はダイアナでいいですね」
「ああ」
「自分もそれでいいです」
「私も」
「アルテミスにダイアナか……ルナシーのコピーをやるにはいいバンド名です」
秀三はアルテミスというバンドに所属しており、ダイアナにはヘルプでサポートドラムをやることとなっていた。
その頃、秀二はバイト先の映画館にいた。
今日は彼女もいる日だ。
彼女の上の名は如月で、年は27歳だ。
「やっぱ綺麗だな如月さんは……下の名前を知りたいが、堂々と名札を見ることができん」
その時
「どうしました河村さん」
と、如月が話しかけてきた。
「えっ!いや、仕事覚えがいいですね」
「そんなことないです」
「(名札を見るチャンスだ!)」
ふと、秀二は彼女の名札を見た。
そして驚いた。
「如月さんの下の名前、美奈子っていうんですか」
「はい、そうです」
彼女の下の名前は美奈子。
秀二の初恋の相手で北斗の亡き妻と同じ名前であった。
「河村さんは秀二さんというんですね」
「えっ!?うん、河村より秀二で呼んでよ」
「あっ!?はい」
「(ちょっと馴れ馴れしかったかな……)」
仕事終え、帰宅した秀二はブログを書いた。
タイトルは「彼女の名前」
生きる時です^^
今日彼女のフルネームを知っちゃった!
なんと下の名前が、僕の初恋の人と同じ名前だった。
その人とはうまくいかなかったけど……
もっともっと仲良くなりたい。
彼女と一つになりたいな~
ではノシ
ブログを書き終えた秀二は、ルナシーの昔のライブをネット動画で見ていた。
それから3時間後……
ルナからコメントが届いていた。
生きる時さん、どうもです^^
初恋の人と同じ名前とは驚きですね(もしかしたらその人が運命の人かもね)
前はうまく行かなかったけど、今度はうまく行くといいね(^^)
でも焦っちゃダメだよ。
ではまた
秀二はすぐに返事を書いた。
ルナさんどうもです^^
いつも励ましのコメありがとうね。
焦らないようにゆっくりと頑張ります。
まずは職場仲間から、友達になってもらう。
そして告白してみます。
ではノシ
それから30分後……
今度は武蔵(沖田)からコメントが届いた。
生きる時さん、ちわ~す!
告白する時に一つになりたいなんて言っちゃダメでよ。
とにかく応援しています。
「ありがたいね~ホント嬉しいよ。真奈ちゃんも応援してくれてるかな?」
今は亡き秀二の彼女、真奈の写真を見てそう呟いた。
果たして彼の恋愛はうまくいくのだろうか?
そして新戦会にある事件が起きようとしていることを、今は誰も知らない。
どうも生時です^^
「生時のコメディー短編集」を更新しましたので、良かったら読んでください!