第20話 心太の過去(前編)
2年前、心太は東京で美奈子と会うまで死神と名乗っていた。
彼女に会うまで、毎日喧嘩をし、修羅場の中で生きていた。
「ぐは~」
「ば、化け物だ」
この日も3人の不良たちと喧嘩をしていた。
3人は地元では有名な暴走族「爆風」というチームのメンバーであった。
「お前らも殺す価値がない」
そう心太は言った。
彼は自分が本気で戦える相手を探していた。
「ま、まさか、お前があの伝説の死神か?」
「フン……」
「死神上等だ!俺ら爆風は喧嘩で負ける事を許されね~」
「爆風だと!?」
「そうだ!爆風の看板背負ってんだよ。チームの名前まで出した以上なおさら負けられん」
「爆風の大将って徳田って奴だろう。ならソイツに伝えろよ。俺が殺すってな」
「なんだと」
「死ぬのはてめ~だ!」
3人は一斉に心太に攻撃をした。
だが、一瞬のうちに3人を杖で叩き倒した。
そして心太は去っていった。
その日の夜……
ファミレスで昼間心太にボコられた3人が、爆風の15代目総長、徳田慶喜に昼間の一件を話した。
「すんません。チームの名前まで出して……自分達……」
「今回は許してやるよ。なにせ、相手があの伝説の死神なんだろう」
「押忍!」
「俺を殺すとは……面白れ~」
そう言って席を立った。
「行くぜ、お前ら。死神を殺しに」
「押忍!今仲間集めます」
「必要ね~」
「えっ?」
「コイツはタイマンでけじめをつけてやる。奴に爆風の強さと恐ろしさを教えるためにな」
「押忍!」
その頃心太は公園のベンチに座り夜空を眺めていた。
それから1時間が過ぎた。
近くで爆音が聞こえてきた。
そして四台の単車が公園の前で止まった。
「アイツです」
「女みたいな奴ですが、噂以上の強さです」
4人は単車から降り、心太に近づいた。
心太はまだ夜空を見ていた。
「死神、俺が爆風の15代目、徳田慶喜だ」
すると心太は立ち上がりこう呟いた。
「ルナティック……今夜の月は我を狂わせる」
そう呟き、鋭い目で徳田を睨んだ。
「徳田は俺を本気にさせることが出来るか?出来たら約束どおり殺してやるぜ」
「上等だ!お前らは下がっていろ」
「押忍!」
「タイマンかい?上等だよ徳田……今まであったクズの中で、お前のような奴は始めてだ。どうやら本気で戦えそうだ」
「じゃあ、行くぜ死神」
先に攻撃を仕掛けたのは、徳田だ。
殺す気で心太の顔目掛けてパンチを放った。
だが、紙一重で交わされた。
だが、徳田の攻撃は終わっていなかった。
心太の鳩尾に前蹴りが決まった。
「ぐは~」
だが心太も負けていない。
杖で袈裟蹴りを仕掛けた。
徳田は白刃取りをしようとしたが、これはフェイントで、今度は心太が徳田の鳩尾に前蹴りを放ち決まった。
「これはさっきのお返しだ」
そして今度は横薙ぎをするが、徳田は後ろに飛んだ。
徳田は徐々に間合いを詰め、右上段回し蹴りを放ち、見事にヒットした。
だが、心太は微笑んだ。
「強いな~。徳田。だが、今の蹴りじゃ俺は殺せないぜ」
そう言って、今度は心太が右上段回し蹴りを放った。
徳田は両腕でガードしたが数メートルも吹っ飛んだ。
「お、おい、嘘だろう。徳田さんの体重は80キロはあるんだぜ。それをあんな華奢な体でしかもガードしたまま吹っ飛ばすなんて」
「(クソ……化け物が……腕がおしゃかだ)」
「徳田。お前は強いぜ。だが、俺が本気を出せる相手じゃない。だが、その強さに敬意を示し、殺してやるぜ」
そう言って、仕込み杖を抜いた。
「俺に殺されるのが嫌なら、目の前で死んでみろよ」
「けっ、殺すなら殺せ」
「いい覚悟だ。死ね!」
刀を振り落とそうとした時、女性が叫んだ。
「そこまでよ」
現れたのは美奈子だ。
「あなたが噂の死神ね」
「誰だ?お前は?」
「あなたと同じ。戦うことしか知らない修羅よ」
「今日はいい日だぜ。強い奴に2度も会えたんだからな。お前は俺を本気にさせることが出来るか?出来たら殺してやるよ」
これが心太と美奈子の出会いであった。
どうも生時です^^
明日2月22日は私の誕生日です。
でもこの年になると嬉しくないです><
ちなみに今年でクローン病暦十五年になります。
ではノシ