第19話 殺し合い
「それにしてもまさかこんなところで偶然、心太さんと会えるなんて」
「偶然じゃないかもね」
「えっ?」
「本当は……」
彼は何かを言う気だったが、クスッと笑って去っていった。
「くそったれ」
美奈子を睨みつける芹沢。
しばらく睨んで新見と去っていった。
二人は近くの喫茶店で美奈子をやっつけれないかと、話しっていた。
すると二人の席に男が二人近づいた。
「面白い話だな」
男の一人が言った。
「何だお前ら?」
「俺は織田信二だ。親父は織田グループの会長だぜ。で、コイツは俺のボディーガードの木下秀吉だ」
「で、でかい」
2メートルはある木下という男は昔キラーマスクという覆面レスラーだった。
だが、試合中に明智光という相手を殺してから彼は引退した。
そして行く場のない木下を用心棒兼世話係として織田会長に引き取られたのだ。
「俺は木下の殺し合いを見たいだけだ」
「どうします芹沢さん」
「フン……同盟成立だ。あの女を殺してくれ」
次の日の昼頃、秀二と美奈子、悟、秀三の4人でスタジオに向かっていた。
すると美奈子の携帯がなった。
相手は由紀子だ。
だが、電話に出た相手は由紀子ではなく芹沢だった。
「由紀子は拉致した」
「何ですって!」
「俺たちのアジトで預かっている。返してほしければここまで来い」
「あんた達のアジトの場所を私は知らないは」
「沖田にでも聞けばいいだろう。まあ、場所は説明してやる」
場所の説明をすると芹沢は美奈子だけでなく、強い奴らをたくさん連れて来いと言った。
「あんた達なんか私一人で十分よ」
「いいのかい。こっちにはキラーマスクと呼ばれた男がいるんだぜ」
「キラーマスク!」
美奈子はもちろん秀二や悟、秀三もその名前は知っていた。
芹沢はキラーマスクの事や織田の事を話した。
「じゃあ、今すぐ待っているぜ」
「……」
「美奈子さん、由紀子さんに何があったんですか?」
秀二の言葉に美奈子はこう言った。
「なんでもないわ」
「嘘だ!」
「本当よ!」
そう言って一人で芹沢たちのアジトへ向かおうとした。
だが、その時、悟るが美奈子の顔を殴った。
「おめ~、さっき、キラーマスクって言っただろう。オイラは強い奴と戦いたい。キラーマスクのところにはオイラがいく。だが、その前におめ~を倒す」
「悟さん……時間がないのよ」
「なら、オイラも連れて行け。キラーマスクと戦いてえ~」
「これは遊びじゃないのよ」
「化け物退治なら僕も行きますよ」
そう言って現れたのは青村だった。
「心太さん」
「僕も行く!」
そう、秀二が言った。
「秀三このことをスタジオにいる沖田君たちに伝えてくれ」
「押忍!」
「……分かったわ。皆で行きましょう」
こうして美奈子と秀二、悟、心太の4人で芹沢たちのアジトへ向かった。
その頃芹沢たちはアジトで美奈子たちの到着を待っていた。
「織田、お前の言うとおり、美奈子とか言う女に仲間を連れてきてもいいと言ったが、本当に大丈夫か?」
「木下なら負け知らずだ。なあ、木下」
「……は、はい」
「おい、それより待っている間、その女でも犯そうぜ」
「そうだな」
織田と芹沢と新見は由紀子を犯し始めた。
それから数分後……
外が騒がしくなった。
外には芹沢の部下達が7人いた。
悟が二人と心太が二人、美奈子が残りの三人を倒した。
「(僕の出番ないな~)」
と、秀二は思った。
中に入ると、由紀子を犯している3人の姿が美奈子たちの目に映った。
「許さないわよ」
「木下、殺れ!」
「はい……」
「あんたが、キラーマスクだった人か?じゃあ、オイラからやらせてもらうぜ」
「おいおい、一人でやる気か?相手はキラーマスクだぜ」
秀二の言葉に悟はこう言った。
「タイマンでやらせてくれよ。邪魔するなら、殴るぜ」
彼も修羅なのであろう。
美奈子には悟の気持ちがよく分かっていた。
「負けないでね悟さん」
美奈子の言葉に悟は微笑んだ。
「ああ……じゃあ始めようぜ。キラーマスク」
「自分はその名を捨てた。今はただの木下秀吉だ」
そう言って、木下が先に攻撃をした。
木下のパンチが悟の顔面に直撃した。
バキッ!
「小僧、何故避けん」
「へっ、アンタが、本気じゃなかったからさ」
そう言って今度は悟が攻撃をした。
木下の鳩尾に悟の前蹴りが決まった。
だが、木下も攻撃を仕掛けた。
両手で悟の顔を掴み、そして頭突き。
悟の額から血が流れた。
だが、それでも悟は笑っていた。
「(この小僧強い……俺の本気の頭突きを喰らって立って……いや、生きているなんて……)」
「確か、頭突きで相手を殺したんだよな。さすがに効いたぜ!」
だが、その時!
バキューン!
と、銃声が響いた。
織田が拳銃で撃ったのだ。
弾は悟の右太ももに当たった。
「餓鬼相手に情けね~ぞ。木下」
「アイツ、拳銃持っていたのか」
と、秀二が言った。
再び織田は撃とうとした。
「卑怯だぞ!タイマンの邪魔して」
と、秀二が叫んだ。
すると銃口を秀二の方へ向けた。
「うっ……」
だが、秀二の前に美奈子が立った。
「撃つなら私を撃ちなさい」
「美奈子さん!」
「ゲームは終わりだ。皆殺してやるぜ。木下、お前はその餓鬼を殺せ!」
そう言って、引き金を引いた。
だが、弾は美奈子に当たらなかった。
なぜなら、心太の杖は仕込み杖で、弾を刀で弾き返したのだ。
「ば、馬鹿な」
「坊ちゃん。もう止めましょう。この小僧もそこの小僧と女も、本物の修羅です。私が本気を出しても勝てません。そんな相手が3人もいるんです」
「だ、黙れ!今度こそ」
彼はまた引き金を引こうとした。
だが、織田の引き金よりも早く、美奈子のとび蹴りが決まり、織田は吹っ飛んだ。
「坊ちゃん!」
鋭い目で美奈子は徳田を睨んだ。
「女、待ってくれ!坊ちゃんを殺すなら木下を殺せ!」
「木下……」
「今、自分が生きているのは、坊ちゃんのおかげ。レスラーを引退して行き場のない自分を拾ってくれたのは、坊ちゃんなんだ」
「(あの男僕に似ている)美奈子さん、僕からもお願いします。死神と名乗っていた僕を人にしてくれたのは貴女じゃないですか。ですからお願いします」
と、心太までも織田を助けるように美奈子に願った。
「……木下さんと心太さんに感謝するのね」
「あっ……」
その後芹沢と新見は由紀子を監禁し、強姦で逮捕された。
織田と木下も、逮捕されたが、織田会長の権力ですぐに釈放された。
こうして事件は無事解決したのだった。
「皆さんありがとうございます」
「由紀子ちゃんのほうこそ大丈夫?」
「はい」
「強いわね」
「私も美奈子さんのようになりたいから」
「由紀子ちゃんなら、私より強くなれるわ」
美奈子が微笑みながら言った。
「あっ、心太さん。あの時はありがとう」
「いや……僕の方こそ……死神と名乗っていた自分を人にしてくれた貴女に感謝しています。美奈子さん、僕と貴女が再会したのは偶然じゃないんです」
「えっ?」
「僕は貴女に会いたくて探していました。そしてようやく会えました」
「(この人と美奈子さんは過去にどういう関係があったのだろう)」
と、秀二は思った。
「僕が貴女を探していたのは、告白するためです」
「ええ!!」
心太が美奈子を探していたのは、告白するためだった。
秀二に恋敵が現れてしまったのであった。