第18話 探していた人
そのころ美奈子たちは、由紀子がバンドのメンバーを見つけたらしく、これから会うため、約束の喫茶店にいた。
岡田と龍馬はあの後すぐにわかれた。
「この人がギターをやってくれる孫空悟さん。私今コンビニでバイトしていて、そこで知り合ったの。これで山崎君と一緒にギターをしてもらえるわ」
「どうも、孫空悟21歳です。趣味は音楽と格闘技と食べることかな。好きな映画はジャッキー・リーの映画全般」
彼は笑いながら自己紹介した。
「格闘技が好きということは、何かやっているんですか?」
と、秀二が聞いた。
「昔少林寺拳法と柔道をやっていた。最近は我流だよ」
「そうですか。僕も空手以外に少林寺をやったことがあります」
「そうなんだ」
4人が会話をしていると、一人の男性が店に入ってきた。
男はあの青村だった。青村が注文を終えた頃、美奈子たちは店を出ようとした。
4人の姿が青村の目に入った。
「み、見つけた」
どうやら青村が探していた人物が4人の中にいるようだ。
青村は呼びとめようとしたが、注文した物が来てしまった。
4人は結局そのまま店を出た。
青村は仕方なく注文のサンドとコーヒーを飲んだ。
「(でも、この街のいる事は分かった)」
サンドを食べ終え、コーヒーを飲み終えると、彼も店を出た。
その頃、ある公園で男が二人の男達に絡まれていた。
「俺の顔見て笑ったろう」
「笑っていませんよ」
男は半泣き状態だった。
「俺たちは今日、嫌な事がたくさんあってムカついているんだよ」
絡んでいたのは芹沢と新見だった。
「まあ、一万くらい払えば、笑ったこと忘れてやる」
「そ、そんな」
「早く出せよ」
男は仕方なく財布から一万を出した。
だが、その時だった。
「兄ちゃん達、ホント懲りないね~」
現れたのは青村だった。
「お前はさっきの……」
「僕も人に説教できる人間じゃないけど……でも、弱い人や正しい人を脅かす者達には容赦なく天誅を下す」
「ああ?」
「芹沢さんやばいですよ。アイツたぶん、神威たちを呼ぶ気ですよ」
「じょ、上等だ。奴が連絡前に半殺しにしてやる」
彼らは本当に運が悪い。
美奈子たち4人がこの公園を通りかかったからだ。
「あんた達いい加減にしなさいよ」
と、美奈子が怒りながらそう言った。
「ここはオイラに任せなよ」
と、悟が言った。
だが、芹沢たちはたかっていた男と青村を人質にした。
「しまった」
「どうする」
新見と芹沢はナイフを出した。
だが、こんな状況でも青村だけは冷静だった。
「言ったよね。天誅を下すと」
「ああ?」
青村は杖でまず新見の頭に攻撃した。
バキッ!
という音が公園に響いた。
「いっ、痛て~!!」
さらに芹沢には横薙ぎ。
「ぐは~」
それを見ていた美奈子はこう呟いた。
「青村さん……」
「知り合いなんですか?」
「少しだけ」
「あんたらは運がいいよ。昔の僕ならこれくらいじゃすまないから」
と、運のない二人に青村が言った。
頭や横腹を押さえながら、二人は去っていった。
「随分変わりましたね」
と、美奈子が彼に近づいた。
「貴女のおかげですよ」
二人はいったいどういう関係なのだろうか。
ダイアナのメンバー
ヴォーカル:神威北斗
ギター:山崎進
ギター:孫空悟
ベース:秋野由紀子
サポートメンバー
ヴォーカル:河村秀二
ドラム:河村秀三
マネージャー:如月美奈子、沖田一