綺麗な私とドライフラワー
切ない恋の物語です。
私はずっと可愛い。
ルッキズム?上等。
不利益よりも恩恵の方がずっと多かった。
どこを歩いても、みんなが私を振り返る。
ちょっと笑えば、みんな喜ぶ。
女の子も男の子も、すぐに私を好きになった。
私も私が好きだった。
ずっと大好きでいられるように、爪の先まで磨いていたの。
今は大輪の花束だけど、いつかドライフラワーになって、色褪せても綺麗なままでいる。
初めてだったの。
私を好きにならなかった人。
「結衣、彼氏紹介するね」
大学でなんとなく隣にいた、いつも薄化粧の日和は、私よりも早く恋人を作った。
日和に呼ばれた男は、私と同じだって、一目見てわかったの。
わかりやすく見た目が整っていて、さぞ楽しい人生を送ってきたんでしょう。
「海人です。よろしく」
彼がそう言って、日和の肩を抱いたとき、私は初めて雷に打たれたわ。
忘れたくても忘れられない。
私は初めて爪を噛んだの。
痛いんだね、知らなかった。
早く二人が別れればいいって、ずっと思ってた。
でも私は何もしなかった。
だって、運命を信じたかったから。
神様は、最後は私に微笑むって信じたかったから。
今日も私は可愛い。
まつ毛を上げて、髪の毛を編み込んで、レースをあしらったドレスを着ている。
小さなチャペルは綺麗だったけど、神様はいないみたい。
はにかんだ二人が照れながら、居もしない神様の前でキスから、目は逸らせなかった。
バラバラの心は、涙に変わった。
友人代表の挨拶のとき、私は何度も言葉を詰まらせた。
わざとだよ、気付いた?
真っ白なドレスの日和が、鼻を赤くして私を抱きしめたとき、こっそり背中に爪を立てたの。
短く切っていたから、痛くはなかったはず。
日和の恋人、夫になる人、海人さんからは見えたかも。
海人さん、あなたも私と同じだね。
もてはやされてうんざりしてたんでしょう?
心の奥に触れてほしかったんでしょう?
誰よりもわかる。
違ったのは、性別だけだったね。
日和、日和、日和。
初めてだったの。
ただ隣にいたいって思えたの。
普通の女の子でいられたの。
息がしやすかったの。
「海人さん、日和を絶対幸せにしてくださいね」
私は完璧な笑顔だったはず。
私は、日和の隣で幸せになりたかった。
好き、大好き、愛してる。
今日の日和は、今までで一番可愛くて綺麗で、大嫌い。
幸せにならなきゃ、許さない。
醜い気持ちは、グラスの泡にとかして飲み込んだ。
苦くて甘くて、最悪だった。
私、これからゆっくりドライフラワーになっていくの。
恋心は乾燥剤。
誰にも渡さないわ。
読んでくれた方、ありがとうございました。




