ハンナの秘密、胸のざわめき
朝の光は柔らかく街を包むが、ハンナの瞳は少し揺れていた。
丘から見下ろす街並みは静かで、今日も平和に見える――けれど、その胸の奥には小さな不安がくすぶっている。
「……私、力が……まだ、うまく使えない……」
小さな声は風に溶けるように静かだが、ほのかにはしっかり届いた。
天然ほのかは、無邪気な笑顔のままそっと近づく。
「大丈夫だよ、ハンナ。ゆっくりでいいんだよ」
ルゥは少し眉を寄せ、警戒するように光を揺らす。
「……でも、力が暴走したら街に危険が……」
心配そうな声は、仲間を守る使命感から来ている。
むっちゃんは静かにハンナの横に立ち、目を細める。
「心配しなくていいわ。焦らず、私たちが支える」
その言葉に、ハンナはほんの少し肩の力を抜いた。
しかし、心の奥では「自分は仲間に迷惑をかけるかもしれない」という思いが渦巻く。
それは、精霊として生まれた孤独な記憶とも重なり、胸に小さな影を落としていた。
「……ほのか……ルゥ……みんな……」
ハンナはゆっくりと目を閉じ、心の中で呟く。
「わたし……仲間になれるかな……」
ほのかはハンナの手を握り、温かい光で包み込む。
「大丈夫だよ。私たち、仲間だもん。迷わなくていいんだよ」
その天然の言葉は、ハンナの胸のざわめきを少しずつ解いていく。
丘の上で5人(ハンナを含めた4人+ルゥ)の小さな光の輪が揺れる。
ハンナの水の魔法がゆらりと光に混ざり、羽のように柔らかく夜空に溶け込む。
心の中の不安はまだ少し残るが、仲間の温かさに包まれていることは確かだった。
「……うん、私……やってみよう」
小さな決意が胸の奥で芽生え、ハンナの目が少し輝きを増す。
天然ほのかは満面の笑みで頷く。
「そうだよ!一緒に頑張ろう!」
ルゥも少し照れながら微笑み、むっちゃんは静かに頷く。
「……まだ不安はあるけど、これで少しは前に進めるかもしれない」
丘の風が優しく吹き抜け、光が揺れ、5人の絆の第一歩が確かに刻まれた。
ハンナの胸のざわめきは、まだ小さく揺れるけれど、もう一人じゃない。
新しい仲間、新しい光――
物語は、また少しずつ温かさを増して動き始めた。




