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といかけ星と、レグルスと、春色の夕映え

作者: 逢乃 雫

風に行き先を


訊ねながら歩く



小径にさしこむ


日差しがふりまく光に



草萌えは春の


衣をまとうように



並木通りの


枝越しに



眺める空に


浮かぶ雲のコンキリエ



いくつもの


ハクモクレンの白い



つぼみは空へと


羽ばたく時を


待つ春鳥のように




ミントの種が


やがて丘に開く



花を心に


想い浮かべながら



春色の夕映えの


空を駆けゆく



一番星を


彼方に見つけて




花つ月の


空に星を追いかけて



東から眠りを


覚ますように夜空へ



駆け上がる星座は


しし座の星々



黄金の尾は


デネボラの煌めき



(そら)に春色の


明かりを燈して




天つ風に


宙の星はといかけて



夜空に春の


鼓動を響かせるように



レグルスの


星が宙に描きゆく


といかけ星



雲をかき分け


宵闇を照らすように



そして見つめる


瞳に問いかけるように




花つ月の


空の星にといかけて



なぜ今宵も


はてしない宙を駆けて



その光を届けようと


この宙を照らそうと




何かを問いかけるとき


そのこたえを



時に瞳に映る景色に


見つめながら



時に足元で大切に


育てながら



問い続けることも


こたえの一つ


なのかも知れない



そして  


自分でつくる


こたえも、きっと



今の自分に


できることを一つずつ



あたためてきた


願いや祈りとともに




風の行き先を


見つめながら歩く



道にさしこむ


光は春の


衣をまとうように



ハクモクレンの


白い花は



今を羽ばたく


鳥たちのように


レグルスの宙を舞い



春色の夕映えに


星を、追いかけながら






 











黄道十二星座の一つ、しし座は、3月中旬頃から夜空高く上がり、デネボラ(アラビア語で「獅子の尾」)は、「春の大三角」の一つです。獅子の胸にはレグルス(ラテン語で「小さな王」)が輝きます。


レグルスの周りの星々は雨樋あまどい掛けに似て「といかけ星」と呼ばれ、作中では「問いかけ」の意味もこめています。「花つ月」は3月のことです。


ハクモクレンは、白い蕾から羽ばたくように咲き、迎春花と呼ばれます。3月頃から種を蒔くミントは、白い花が咲き、「心のあたたかさ」「かけがえのない時間」の花言葉があります。


季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
出だしの、風に行き先を訊ねながら、って素敵ですね。自らこっちに行くぞっていうのがなくても、すこし周囲を見まわして、風や、光や、花などの息吹を感じながら歩いてみる、そんな風景が浮かびました。 獅子座のレ…
風の行き先を訊ねながら歩く道、、に差し込む春の情景が ゆっくりと浮かんできます。 今にも羽ばたきそうなハクモクレン、 いつか花が咲くミントの種、 その丘から見える春色の夕映えと一番星、 小さな王が目覚…
「問い続けることも こたえの一つ なのかも知れない」というところ、考えさせられます。 ともすると、疑問に早く答えを出すことにこだわってしまいますが、問い続けることで得られる答えもありますよね。
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