59 エシャロット様
そして次の日、俺、カイ、セス、イールさん、サマンサで手分けしてボーナスを配った。
みんなは大喜びでボーナスを受け取り、俺には感謝の手紙や挨拶が山のように届いた。
うん、やっぱり配って良かったよなぁ!
そんなこんなで、エシャロット様がいらっしゃる日になった。
俺は正装して出迎える。
エシャロット様の馬車が門を通り、メニーストア区のホテルの前で停まった。
俺、カイは、エシャロット様に一礼する。
「そんなに畏まらなくてもよろしくってよ。
わたくし、ここにバカンスに来たのですから。」
エシャロット様は言い、ホテルの中へ入っていった。
もちろん、エシャロット様にはスイートルームを用意してある。
「都長とお話がしたいわ。
他の者は下がってちょうだい。」
エシャロット様はおっしゃる。
スイートルームですぐに人払いが行われ、俺だけが残った。
「まぁ、ソファにお掛けになって。
あら、お茶だけは淹れてもらっておけば良かったわ…」
「よろしければ、俺がお淹れしますよ。」
俺は慣れた手つきで紅茶を作り、エシャロット様と俺の席に出した。
「あら、ありがとう。
あなたをここに残したのは、おりいってお話があるからなのよ。」
「…と申しますと?」
「えぇ、隣国レスカトルが、ザンビール国を侵攻したのはご存知ですわね?」
エシャロット様。
「えぇ、はい。」
「ザンビール国は、この度レスカトルの属国となりました。
そこで、勢いづいたレスカトルが、どこまで手を伸ばすか未知数です。
もしかしたら、このアイラッシュ国にも被害が及ぶ…かもしれません。」
「はい。
それで、俺にどのようなご用件が?」
俺は先を促した。
「フリーダムの都長ネックスは、すでにアイラッシュ国の経済推進大臣になっております。
そして、アイリーは防衛大臣に。
そこで、2人が口を揃えて言うのが、あなたの存在なのです。
エイトさん、単刀直入に申し上げます。
農業復興大臣になっていただけませんこと?」
エシャロット様。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!
そもそも、ネックスにアイリーさんが居るならば、俺はそんなに必要無いのでは?
レスカトル国にはそんなに強力な誰かが居るのですか?」
俺は尋ねる。
「尻尾は掴めていませんが、恐らくレスカトルにもあなた方同様、何かしらの図鑑を持った者がおりますわね…」
「…図鑑…」
「それも…何か強力な図鑑ですわ。」
エシャロット様は真剣におっしゃった。
「少し…考えさせていただけませんか?」
「もちろんですわ。
よくお考えになってね。」
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