15 アイリーさんとの出会い
そして、アイリーさんは野菜たくさんのカレーを。
お供の3人は普通のカレーライスを頼んだ。
俺も厨房に入り、カレーライスづくりを手伝い、その間にミナがサラダと水を持っていく。
「まぁ、このサラダ…
何というおいしさなのでしょう!?」
アイリーさんが感嘆の声を上げる。
「美味しい!」
「これは旨い!」
お供の人たちもサラダにかぶりついている。
そして、いよいよカレーライスが並べられた。
アイリーさん達は茶色い得体の知れないものに戸惑ってはいたものの、恐る恐る一口食べた。
すると…
「コレは…
何という深みのあるスパイス…」
「気づかれましたか…
流石はアイリーさんです。
作り方はお教え出来ませんが、約8種類ものスパイスを混ぜているんです。」
俺は言う。
「こんな美味しいものは…
久しぶり…
いいえ、正直に言うと初めてですわ。」
アイリーさんは言い、お供の人たちはもうがむしゃらに食べている。
「それを聞いて安心しました。
コックも泣いているかもしれませんよ。
ははっ。」
俺は言う。
アイリーさんはそれからは真剣に野菜たくさんカレーを食べて、ごくごくと水を飲み、そして食べ終えた。
「でもね、エイトさん?
意見してよろしくて?」
アイリーさんは言う。
「えぇ、もちろんですよ。」
「ここにお客さんは来ないと思うわ。」
「…何故ですか?」
「簡単な事ですわ。
遠すぎますもの。
そして、遠いからこそ、あるべき物がありませんのよ。」
アイリーさんは言った。
「あるべき物…とは?」
「それは、エイトさんがご自分で気づくべきでしょう。ニッコリ
とにかく、私は美味しかった、という事だけは街に帰って他の人たちに伝えようと思います。
では、失礼。」
アイリーさんはそう言って、お供の人たちを連れて帰って行った。
これが、アイリーさんとの初めての出会いだった。
後にまた会う事になるとは、この時は思ってもいなかったのだ。
「やぁ、2人とも、お疲れ様!
美味しかったってよ!」
俺は厨房の2人に声をかける。
「本当ですか!?
いやぁ、やっと報われたかもしれませんね!」
「ミナ嬉しいっ!」
「いやいや、まだまだこれからですよ!」
俺は言い、その日の片付けを手伝った。
約束通りアイリーさんは周りの人たちにこの店を宣伝してくれたらしく、次の日からはポツリポツリと客が来るようになった。
しかし、アイリーさんが言っていた、"あるべきある物"とは?
俺はそれを考え続けていた。
そして、ある時、お客さんが「美味しいけど、遠すぎるよなぁ、せめて◯◯◯があれば…」と言ったのを聞き、ピンときた!
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