第1話 「五十嵐夫婦の違和感」
遡ること約27年前。順風満帆に見えた五十嵐一家。
子供ができたことにより幸せそうに見えたのも束の間・・・。
運命の歯車が少しづつ動き始めていることに今は2人ともまだ知らない。
1998年・夏 日本ー東京ー
「それでは誓いのキスをお願いします。」
五十嵐敦史と五十嵐典子(旧姓:村岡典子)はその日、結婚した。
数か月後の11月某日
「お子さん、生まれましたよ。」
看護師の人が五十嵐典子に話しかける。
五十嵐は「ニコッ」と微笑みを浮かべる。
そうしたのも束の間、夫の敦の電話が黒電話の着信音とともに周囲に鳴り響く。
慌てて敦史はその場から抜け出して自動販売機のところまで駆け寄る。
「はい。五十嵐敦史ですけど・・・。」
「あぁ。私だ。少し今大丈夫か?」
「えぇ。少しだけでしたら大丈夫です。」
「わかった。手短に話そう。」
「わかりました。それで要件っていうのは一体何でしょうか?」
「少し君に頼みたいことがある。もちろんこのいまの事件が片付いてからでいいが。」
「わかりました。お言葉ですが、今、我々には生まれたばかりの息子もいます。」
「それはもう知っている。敢えて君に頼んでいるんだよ。
とても上層部は君のことを高く買っているみたいでね。
それとその任務に際して人事異動が極秘で行われることに決まった。」
「え?人事異動ですか? わかりました。その話お受けします。」
「本当にすまない。よろしく頼むよ、五十嵐警部補。」
「了解しました。それではこれにて失礼します。」
1ヶ月後 警視庁内のとある部署
「それでは、改めまして本日付で移動してきた彼を紹介するよ。」
五十嵐の上司とみられる人が五十嵐の背中を軽く叩く。
「はじめまして。本日付で警視庁刑事部捜査一課から異動してきました
五十嵐敦史と申します。不束者ですがよろしくお願いします。」
五十嵐の一言が終わると、上司はこの課について説明をする。
「この課は小森奉明前警視総監が設立された
警察内部にいる凶悪犯や政治的な工作員などを極秘で調査等をして、
秘密裏に逮捕・送検・依願退職にまでもっていかせる部署である。
表向きは、警視庁公安部公安第3課で活動しているが、
裏を返すとするならば、警視庁公安部内部極秘対策課とでも呼んでおこう。」
この課(内対課)に所属しているのは全員で5人。
五十嵐敦史もその1人であった。
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警視庁公安部内部極秘対策課ー通称:内対課 全メンバー一覧
・伊藤 勝信 課長 (45)
前警視庁刑事部部長で前警視総監の銘を受け、この課と取りまとめている。
・若桑 潤子 副課長 (43)
射撃の名手で全国警察拳銃射撃競技大会で3連覇している。
前警視庁刑事部捜査2課長で指揮を執っていた。階級は警視
・五十嵐 敦史 班員 (27)
伊藤課長直々にこの課に配属が決まった、
元警視庁刑事部捜査一課所属。階級は昇進して現在は警部。
・菊田 怜奈 班員 (25)
当時所属していた警部部長推薦で伊藤課長公認で配属になった。
前の部署は警視庁警備部警備第2課爆発物対策係所属。
・浜谷 修司 班員 (22)
警察学校を卒業後、交番勤務を終えて、警察学校長推薦でこの課に配属になった。
階級は警部補。
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「それでは、最初の任務を伝える。」
伊藤課長が班員全員にこれからする任務について話し始める。
「以上が今回の作戦だ。なにかある人はいるか?」
伊藤課長の呼びかけに反応する人は誰一人としていなかった。
「それでは任務開始。」
彼の号令後、各々で任務の実行しに行った。
午後21:00 五十嵐家
「ただいま。」
五十嵐敦史が自宅の玄関を開けると同時に「おかえりなさい。」と
妻の五十嵐典子が返事をする。
リビングに到着すると妻から質問をされて少し焦りの表情を見せる。
「あなた、今日は何で遅かったのか理由を説明してくださる?」
「あぁ。わかった。実は急遽人事異動が発表されて公安部に配属になった。」
「それは本当なの?」
「あぁ。本当だ。これから夜遅くなるかもしれない。
休みの日や非番の日はできるだけ息子の面倒は見るつもりでいる。」
「それならいいのだけれど、なにかあったらいつでも言ってね。」
「わかっているさ。
それよりさなんで急に俺だけ人事異動なんかあったんだと思う?」
妻は少し苦悶の表情を浮かべながら答える。
「はっきりとした理由はわからないけれど、なにかあったのだと思う。」
「やっぱりそうだよな。それじゃあご飯にしますか。
「そうだね。いろいろ頼みましたよ。」
「わかってるって・・・。」
五十嵐一家は夜ご飯にするのであった。
突如として警視庁公安部に異動になった五十嵐敦史。
次々に警視庁内部で起こる事件を課全員で解決していくが・・・。
ある日、課にとって史上最悪の事件に直面し、思いがけない結末へと向かうことに。




