第5話 「警視庁の汚点」
警視庁警視総監の渡部が逮捕されることが確実に決まった。
そんな彼の部下たちが逮捕まじかに迫る中訪れていた。
そんな悲劇の男が語った最後の言葉とは・・・。
2025年11月初旬 警視庁内部
「渡部警視総監、なぜ辞任されるのですか?」
渡部は一番慕っていた部下たちに対して聞かれたことを素直に答える。
「私がかつて殺した相手に報復をされてね。
それがもうすでにネットとか君たちが知らない警視庁内部で知られてしまっている。」
渡部のその答えに部下たちはあまりのその答えに何も返す言葉がなかった。
沈黙の時間が1分を過ぎたことようやく部下の一人が質問をしてきた。
「それは・・・。初めて・・・、知りました。」
「そうだな。すまない。君たちに危険がこれから及ぶかもしれない。」
「それでも私たちはあなたがこれまで命令してきたことに間違ってはいないと思います。」
「そういってくれるのはとてもうれしいのだが、計画はすべて崩れた。
あいつの口車に乗ってその挙句まんまとかつての部下にしてやられたよ。」
渡部にはいくつもの公開と自責の念が心の底からあふれていた。
しかし、同時に「あいつ」という特定に人物にも反撃ができなかったことに対する
怒りも心の奥底でうごめていた。
「渡部警視総監はこれからどうなるのですか?
それにわたしたちもこれからどうなるのでしょうか?」
渡部は先の展開まで瞬時に考え、その導き出した答えを返す。
「私は逮捕される。それは確実だ。
君たちの処遇はまだわからないが同じく逮捕されるだろう。」
「そうですか。今までありがとうございました。」
「こちらこそ色々ありがとう。世話になった。」
渡部は部下たちを部屋から追い出した後、独り言をつぶやいていた。
「私の警察官人生は本当に何のためにあったんだろうか。
五十嵐夫婦の殺害を指示し、その息子である琢磨君にも酷い目に遭わせてしまった。
それに岩瀬君には関係のないことまでしてしまった。取り返しのつかないことを。
相良直達。あいつだけはせめてものとして道連れになってもらおう。」
渡部はそう長い独り言を呟くと、警視総監室の椅子に座って
窓の外を眺めガラ涙を額から零れ落ちるのも気にすることもなく黄昏ていた。
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そして、運命の日
警視総監室に刑事部の警察官が10名ほど訪ねてきて、刑事部長がノックをする。
中からは「お入りください。もう覚悟はできていますから。」の二言のみ。
警察官10名が中に入ると背を向けながら渡部がそこに立っていた。
「それで、刑事部長さん。私を逮捕してください。」
「まさか、こんなことになるとはね。あなたのその手腕は尊敬していました。
ほんとうに警視庁は惜しい人を無くしますね。それがなければもっと・・・・。」
「本当に果たしてそうかな?」
渡部のその言葉とほぼ同時に彼の腕に手錠が掛けられる。
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2025年11月初旬
午前10:00過ぎ 警視庁警視総監 渡部嘉郎 逮捕
罪状:殺人幇助等の数えきれないほどの複数の罪
渡部嘉郎警視総監が逮捕され、その職も解かれ懲戒解雇に。
そして、裁判が開かれ検察側は死刑を求刑。
一方の弁護側は情状酌量の余地が本人にはあるとして懲役25年の求刑。
後日開かれた判決の結果は、被告人を無期懲役に処す。裁判長は・・・・。
「極めて悪質で警察官たるものその地位と権力を利用して
複数の人を殺害を指示し、被害者のご家族を一生苦しめるほどの苦痛を与えた。
よって、弁護側の求刑は棄却し検察側の意見と世論と裁判員の意見を鑑みた結果
【無期懲役】という判決を下した。生涯をかけてその罪と向き合うように。」
判決が言い終わるや否や渡部はその場から傍聴席にいる被害者たちに向かって
30秒間ただただ頭を下げ続けていた。
その場には重く冷たくも悲しい空気だけがずっと残っていた。




