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真相〜明かされる過去と消された真実~  作者: ヤナギ / Yanagi
第4章 「内通者と警視庁」

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第1話 「渡部嘉郎という男」

「渡部刑事部長。これでいいんだよ。この国の未来のために・・・。」



何者かが渡部に圧を掛けながら話しかける。


渡部はこの時葛藤していた。



(ほんとにこの方の言いなりの一生なってしまっていいのか。


 だとしたらこれから育つ彼らの子供の運命は?いずれ私を恨んで・・・。)



渡部は静かに涙を目がしらから頬に落とすのを相手に気づかれないように流しそれを拭う。




「それで、私はこれからどのように行動すればよろしいのでしょうか?」





「相良警視総監殿。」




相良警視総監はその場で回答しようと思っていなかったのだが、


渡部の不安そうな表情が目にちらつき答えを彼に示す。




「そうだな。私は間もなく警視総監を退く。しばらくして後任は別のものになるだろうが


 そいつは私の手で排除して次のポストは君に譲る算段だ。


 くれぐれも下手な真似はしないように心掛けたまえ。話は以上だ下がっていいぞ。」




渡部は自分が本当に警視総監の椅子に座ってこの国・東京の警察官を


束ねる存在になっていい者なのか頭の中がものすごい速さで回転し真っ白になり


今にも倒れそうになっていた。それを何とか必死に耐えその場を後にする。

渡部わたべ嘉郎よしろう 2025年現在は警視総監。



彼が警察学校に入校した当初は多くの同期がいたが不祥事が絶えない警察学校で


かなりの人数の同期が途中で辞めていった。そんな彼には決して開けてはいけない


荒んでいて目を覆いたくなるような過去がそこにはあった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1964年5月5日 東京オリンピックが開かれる約5カ月前の東京の某病院



「おぎゃーおぎゃー。」



大きな産声を上げて6人兄弟の長男としてその日一人の男の子が生まれた。


名前は 渡部わたべ 嘉郎よしろう。 


由来は素晴らしい立派な男の子に育ってほしいという意味からつけられたそうだ。


そして渡部嘉郎を長男とした兄弟はこんな感じだ。



2番目は男の子(のちの渡部歯科医院の3代目院長、現在59歳)で


3番目は女の子(のちに女性初の内閣副総理大臣、現在56歳)で


4番目は男の子(渡部が34歳の時に何者かに殺される。享年27歳)で


5番目は女の子(相良家に嫁ぎ相良直達の弟と結婚する。現在51歳)で


6番目は女の子(行方不明。生きていれば現在50歳のはず・・・。)。



渡部は今でも6番目の3女の行方を追っているが未だつかめてすらいない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして時がたち、神奈川県立大学を卒業するとそのまま神奈川県警察の採用試験を受け


数々の猛者たちがいる中トップの成績でとっぱそ、そのまま警察学校へと入校する。


警察学校時代は後にも先にも神奈川一と呼ばれるほどの成績で


射撃・逮捕術・学科すべてを首席で卒業する。そして神奈川県小田原西交番に配属となる。


交番勤務時代は特に目立った不祥事などは起こさなかったが、


運命の転機となったのが1990年に神奈川県警察本部交通部交通整理課に異動になった時だ。



「ここが新しい部署か。」



渡部はまだこのとき26歳で警察学校を卒業してからまだ4年しか経っておらず


警察内部については深く知らなかった。初めて県警本部内で仕事をすることに


わくわくが止まらず思わずガッツポーズをする。



「はじめまして。本日付で神奈川県警本部交通部交通整理課に配属されました


 渡部わたべ嘉郎よしろうと言います。まだ若輩者ですがご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。」



交通整理課にいる警察官からは歓迎の拍手が叩かれ暖かい職場と思っていたのも束の間。



「おい。渡部君。私が上司の沼知だ。早速だがここの部署の掟を話しておこう。」



いきなり上から目線で部署内からは嫌われている沼地という警察官から


声を掛けられさっそく「おきて」について話をされることになる。




「はぁ。掟ですか。なんですかそれは?」



沼地は「はぁ~じゃないよ。上司に向かってその態度は何だ?」と渡部の頭を叩く。


「痛ッテェなぁ~。なにすんだよ?おい。沼地。」渡部は沼地に対して呼び捨てで


頭を叩かれたことに対して怒りを露わにし口答えをして敵意をむき出しにする。



「だから、その口調と態度は何だ?と聞いているのだよ、階級は?」



渡部はその言葉を待ってましたと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべて答える。



「え?しらないんですか?階級は警部。あなたより上だと思うのですが?」



挑発気味に答えたのがまずかったのか沼地は激昂して答える。



「お前が警部?間違っているんじゃないか。私は巡査部長だよ。ありえねぇ。」



渡部は相手の階級を聞くと爆笑し沼地を下に見下す。



「まだ巡査部長なんですか?そんなに昇任試験落ちて恥ずかしくないんですか?」



「お前に話をするとめんどくさい。俺はお前の上司の担当から外れる。


 あとはほかの人についてくれ。じゃあな。」



沼地は渡部のことがすぐに嫌いになり捨て台詞をはいてその場から逃げるように立ち去る。



「みなさん。さきほどは生意気な口意を聞いてすみませんでした。」



渡部がその場に居る同僚に対して丁寧に謝罪するとさっきよりも大きめな拍手が鳴り響く。



「え?この拍手って・・・。」



渡部は一瞬何が起きたのかわからず思わず本音が漏れてしまう。


課内の一人で渡部が後に逮捕され取材されるときに語った尊敬する人物の名前を挙げた時に


この方以外の名前を出さなかったとされるほどの人で「寺内てらうち修蔵しゅうぞう」が



「ありがとう。私は寺内。階級は君の1つ下の警部補だけど見ての通りおっさんだよ。」



そばに駆け寄って感謝の言葉を述べると手を握り握手してきた。


渡部は「そんな僕は全然そんなつもりではなかったのですが。」と謙遜する。



そして、渡部はこの時相方となった寺内と数々の地域事件を解決し


神奈川県の中でも誰もが恐れる風神の渡部と雷神の寺内と呼ばれることになるのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1994年 神奈川県警本部に勤務してから4年が経過しようとしていたある日


渡部と寺内に辞令が下る、それは警視庁への出向だった。


渡部はその年の3月に警部に昇進しており交通整理課長に承認したばっかりだった。


寺内は警察官として残り10年を切っており昇任試験を受けその結果待ちの状態だった。





辞令



1994年4月1日付をもって神奈川県警に所属する下記の2名を警視庁に異動とする。


渡部わたべ 嘉郎よしろう 警部


 神奈川県警本部交通部交通整理課長  から 警視庁人事部人事第一課長 に異動



寺内てらうち 修蔵しゅうぞう 警部補


 長年の功績を大いに評価し、特別に階級を2階級特進とし警部補から警視に昇格


 神奈川県警本部交通部交通整理課代理 から 警視庁人事部長 に異動



                               以上


「この辞令ってどうしますか?寺内さん。」



寺内は少し悩んだ挙句1つの結論を出す。



「私はこの辞令は受け入れるよ。なんだってまた渡部君と同じになれるからね。」




渡部はその言葉を聞いて覚悟を決め、辞令を受け警視庁へと赴くのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1994年 辞令を受け警視庁に異動となりそのまま人事部人事第一課長に就任。


そのときの参事官、のちの警視総監でもあり現内閣総理大臣でもある相良直達と出会う。



「神奈川県警本部交通部交通整理課から異動してきました渡部わたべ嘉郎よしろうです。


 年齢は30歳で、神奈川県警では「風神の渡部」として恐れられていました。


 人事のことについては一通り頭の中に入れていますのでよろしくお願います。」




「君があの渡部君か。私は参事官の相良直達だ。よろしく頼むよ。


 何かわからないことがあれば何でも聞いてくれ。」



「君の席はここだよ。課長の席はどうだ?」



案内されたのは数十人を束ねる人事第一課ー通称ジンイチーの課長の席で


課内が広く見渡すことができるようになっており、


内部調査をするにはもってこいのものだった。



数週間後 なぜか渡部だけが人事部長で同じ神奈川県警から異動してきた


寺内から呼び出しを食らった。一瞬何のことで呼び出されたのかわからなかったのだが


人事部長室に入るとそれはすぐに理解することとなる。



「失礼します。ジンイチ課長の渡部です、入ります。」



「渡部君か。入りたまえ。」



「渡部君か。そこのソファにかけたまえ。」



渡部が中に入ると寺内人事部長が部屋を背に立っており、ソファに腰掛けるように声をかける。


指示されたとおりにソファに腰を掛けると、寺内も対面のソファに少し間をおいて腰掛ける。



「呼び出した理由を聞かせてください。」渡部は寺内がソファに腰掛けると同時に質問する。


「呼び出した理由も話すのはもう少し後に置いておいて・・・。」


なぜか寺内は呼び出した理由をなかなか話したがらない。「その前に・・・。」


「本題に入る前に人事部はどうかね?」



「そうですね。ものすごく課内はとてもいい方たりばかりで・・・。」



「そうか。それは良かった。軽い世間話はその辺にして、本題に入ろうか。」



「はい。お話というのは何でしょうか?」



「初めにあいさつされた相良参事官についてなのだが・・・。」



「相良参事官ですか?とてもいい方のように思えるのですが、」



「君の眼から見たら確かにそう思うのかもしれないが、


 長年の警察官としての勘というものなのかわからないが・・・。」



「なるほど。それで参事官が何かしたのでしょうか?」



寺内は入ってすぐの渡部に言い出しにくいのか少し言葉を詰まらせる。


渡部は寺内の表情と雰囲気を察して「大丈夫です。お話してください。」


「わかった。心して聞いてくれ。」「了解です。」


渡部の返事を聞いた寺内は話し始める。



「ここの参事官について少し内部調査をしていてね。


 あれは触れていけないものだよ・・・。」



寺内は何者かに聞かれてないか耳打ちで最後の言葉を話す。



「・・・私に何かあれば速やかにこの資料の原本を警視総監に渡してくれ。」



「原本はどこにあるのですか?」



「もうすでに私の信頼できる部下に渡して君の自宅に郵送で送ってある。」



「郵送でですか?」



「あぁ。郵送でだ。中身は書籍という名目で発送してあるから問題ない。」



「わかりました。」



「くれぐれも相良参事官には手を出すな。」



「かしこまりました。それでは失礼します。」



渡部は寺内人事部長の部屋を退出しどこへ向かおうとしていた。



「渡部課長。ちょっといいかな?」



なんとまるで会話をすべて聞いていたかのようなタイミングで


相良参事官が渡部のもとへ行き尋ねてきた。



「相良参事官。」



渡部は相良参事官に敬礼をすると


「そんなにかしこまらなくてもいい。楽にしてくれて構わん。」


相良は渡部に対してやけに優しく接してきた。


「それで私に用ですよね?」



「そうだよ。ちょっとここで話すのあれだから場所を変えようか。」



「そうですね・・・・・・。」



渡部はさっきの寺内部長から言われたあの言葉が引っかかっており、


頭の中に疑問が残るが相良参事官のほうが立場は上なので


仕方なくついていくことにした渡部課長。




相良参事官に連れられ着いた場所はとある会議室



「それでお話というのは・・・?」



「警視総監には興味ないかね?」



「突然どうしてそのようなお話を私にするのですか?」



渡部はまだ警視庁に異動してきて間もなく急な話に少し驚いていたが


それを遮るように相良が話を続けていく。



「今の私の警察官キャリアで行くと確実に警視総監になれる。」



「なるほど。」



相良の話に妙に納得のいく答えを見せる渡部。


そして、渡部は渡部の反応を見るや自分の野望について語り始めた。



「それでだ。警視総監を退職したのちにこの国を独裁しようと計画していて


 すでにこの警視庁内部に協力者は複数いる。


 それにだ、政界にもパイプはここ数年で構築で来ていてそういう算段にもなっている。」



その話を聞いた彼は相良のすべてに魅力的に感じてしまし、


どこからともなく「わかりました。警視総監を目指します。」


そういう返事が口から出てしまっていた。それに対して相良はというと






「君ならそう言ってくれると信じていたよ。


 それじゃあ数年後に会おう。」





最後に含みのある答えを示して会議室から出て言ってどこかに消えてしまった。


一方の渡部というと相良の話に乗ってしまったことで、寺内人事部長のあの話が


頭の中から抜けなくなっていた。


その時の彼はひどく葛藤しており、相良のことについての調査資料の行方も


考えないといけないため悩んでいた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして、時は経ち 1996年のある日



その日渡部は相良と会食しておりとんでもない話を聞いていた。



「もうこの警視庁はほぼ私の手中に落ちた。


 残すはいまだに俺のことを嗅ぎまわっている君の神奈川県警時代の上司で


 今は私の上司でもある『寺内修蔵』『五十嵐夫妻」その3人だけだ。」



渡部は魚を食べていたが、その話を聞いたと途端急ににむせてしまった。


それに気づいた相良が渡部に少し圧を掛けながら聞いてきた。



「まさかと思うが、その3人とは繋がってはいないだろうな。」



急な核心をついてきた質問とただならぬ圧にむせて


口の中にあった魚をすぐに飲み込みすぐにその質問に答えを返す。



「・・・・・・・。いえ・・・。決してそのようなことはないです。」



「ならいい。寺内さんのことは君任せる。頼んだよ。未来の警視総監殿。」



相良は渡部にそう告げると残っていた日本酒のお猪口を一気に飲み干し


安心したのか不思議なくらいに笑っていた。


それを見た渡部は




(この方の独裁政治は最悪だ。いずれ・・・。)




心の中で自分に言い聞かせながら相良が飲み干してからすぐにお猪口を飲み干す。







数か月後の同年



渡部課長は警視庁刑事部に異動・そのまま捜査一課長に栄転。


相良参事官はこれまでの功績が評価され警視庁刑事部長に栄転。


寺内人事部長はというと冬ごろから消息不明になる。




さらにその2年後の1998年



渡部捜査一課長はそのまま刑事部長に昇進


相良刑事部長は警視総監に就任。



そして、あの最悪な事件が起きてしまったのである。



渡部が相良に任せられた寺内人事部長(当時)の処遇と


重なって起きた消息不明事件。


相良の言いなりになろうとしていたのだが、依願退職時に明かされる


衝撃の思惑とそこに隠れた悲しき過去とは一体・・・?

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