第7話 「父の死と別れ」
左足を打たれ、いまにも倒れそうな五十嵐琢磨の父ー敦史ー。
出山というとまだ戦えるような様子で敦史の出方をうかがっているようだ。
出山VS五十嵐敦史の最終決戦が今火ぶたが切って落とされた。
そして、息子の五十嵐琢磨、水野沙羅、岩瀬真一は衝撃のものを目にすることとなる。
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五十嵐琢磨・水野沙羅・岩瀬真一の3人 出口付近
「というわけなんだ。今まで隠していてすまなかった。」
岩瀬は五十嵐琢磨にあの時助けてあげられなかった後悔と隠し続けていたことに対して
深く頭を下げた。それに対して五十嵐琢磨は彼らたちに怒りを露わにした。
「いえ、これで長年の母の死の真相がわかって
彼らのやっていることに余計に腹が立ちました。」
「そうやね。彼らに復讐する気はある?琢磨くん?」
「はい!俺の母を死なせたも同然でこんなひどい仕打ちはもう耐えられません。
それに岩瀬部長もいますからとても頼りにしています。」
「それはありがとうございます。ここからは普通の一般人として振舞ってくれ。」
「わかりました。」
(プルルルル・プルルルル)
琢磨が返事をした直後に彼のスマホに電話がかかってきて、
それを確認するや否やすぐに出る。
「はい。もしもし。五十嵐琢磨ですけど・・・。」
「琢磨か?俺だ。敦史だ。」
「お父さん?戦いは終わったの?」
「まだだ。それよりこの電話でおそらく最後になる。」
「え?せっかく再開できたと思ったのに・・・。」
「琢磨。あとは岩瀬君の指示に従って行動しなさい。
岩瀬君。後のことは頼みます。」
五十嵐敦史は最後にそう言い残して電話が切った。
後に琢磨が遅々と話した最後の会話になるのであった。
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隠れ家 隠し通路入り口付近
「おいおい。それは反則でしょ。」
拳銃で打たれたのにも関わらず、その足は倒れることなく立っていた。
五十嵐敦史。彼の出征は一切不明で分かっているのは五十嵐典子と結婚するまでの
ほんの数年のみ。若い時にどこにいたのか生まれはどこなのかも一切不明。
おそらく自分の正体を隠し続ける理由に息子の存在が大きく関係してくる。
敦史は重たい口を開く。「なぁ。聞いているんだろ?渡部警視総監。」
会話のすべてを聞いていた渡部警視総監が敦史に対して答える。
「えぇ。会話はすべて筒抜けですよ。君はもうすぐ死に、
息子さんたちはこちらで保護し丁重に扱いますので安心して
あの世で奥さんと仲良く過ごしてください。それではさようなら。
今までご苦労だった。感謝している。」
(ガチャ)
渡部は最後にそう言い残すとその場には敦史と出山、そして2人の部下だけになった。
渡部はもうすでに満身創痍で戦えたとしてもあと5分が限界。
拳銃で打たれた箇所は不幸中の幸いとやらで横腹をかすめた程度で
すぐに死に至るような状況ではないのは確かなのだが、いつ倒れてもおかしくはない。
「これで決着をつけようか。出山とお前ら。」
敦史はもう一度戦いの姿勢に戻ると出山に向かって突っ込んでいった。
出山はというと敦史のその姿勢にこたえるために、連れてきていた部下2人に向かって
手を後ろに払い、それはまるで男と男の真剣勝負に「手を出すな。」の合図を意味していて、
2人の部下は静かに2人の戦いを見守るのであった。
出山は向かってきている敦史に対して素早く反応し、手で相手の顔に向かって
少林寺拳法の動作の一つでもある「貫手」を繰り出すのだが、
敦史のほうが反射神経がわずかにいいためあっさり避けられてしまい、すかさず
「エルボー」を繰り出すと敦史はそれをもろに食らってしまい一瞬足がよろめいている。
敦史はなんとか出山に食らった「エルボー」のダメージに耐えながらふらついている
足をもう一度叩き起こして戦闘に戻る。そこからは両社一歩も引かない格闘で死闘が続く。
3分後
敦史は最後の捨て身の構えで出山ののどを突き刺す構えをしており、
1劇でやる戦闘スタイルで出山は相手にそこまで体力が残っていないことがわかっているため
焦らず格闘技の基本の構えでもある「格闘構え」をして突きを避けて相手の腹に
「ストレート」を繰り出そうと画策している。
先に仕掛けたのは敦史のほうだった。勢いよく相手の喉を突きにかかるが
出山はそれを見切って避けて敦史の腹に「ストレート」をかまし
敦史はその場に倒れこむ。失神寸前の敦史に対して出山は声をかける。
「あなたとの戦闘楽しかったですよ。
また来世で次は普通に格闘技でもしませんか?」
それに対して敦史は「うん。」と声までは出さなかったが、うなずくと目をつぶる。
勝負の行方は出山の勝利。「それじゃあ。」出山は敦史に別れの言葉を言い残し
その場を去ろうとしていた次の瞬間。
「バンッ」
1発の銃声が敦史の額に命中する。敦史はその1発で絶命。
二度と目を開けることなく永遠の眠りにつくのであった。
「おい。お前何やっているんだよ。」
出山は今一瞬にして何が起こったのかイマイチわかっておらず
部下の1人が売った銃を素早く払うと激しく問い詰める。
「こいつを治療か何かして情報を聞き出すのがお前たちの役目なのに
なんで殺してしまうんだよ。あれか?それも命令のうちなのか?」
出山の鬼の迫力に打った部下の1人は思わず後ずさりをするが、
必要以上に追いかけてくるため尻もちをついて床に転がり落ちる。
「はい。こ・・これも任務のためなので致し方ないのかと。」
「何が任務だ。殺してどうする?お前らより階級は上でも元公安部長だったお方やぞ?」
「それが何ですか?今はただのおっさんの警察官じゃないですか。
私は任務を全うしただけですので、失礼します。」
部下2人はその場を後にする。
「おい。ちょっと待てよ。お前らそれでも警察官か~!」
出山は部下2人の最期の言葉に怒りを覚え、それを口にすると
亡くなった敦史のもとへ駆け寄り目をつぶり
静かに手を合わせて合掌するのであった。
(こんな最後になって申し訳なかった。敦史。
もっと早く裏切る予定があいつらのせいで死なせてしまって。)
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報告書
「令和7年度 石川県某所で起きた警察官襲撃事件 」
首謀者:五十嵐琢磨 警視庁公安部外事四課所属 年齢:26
協力者:岩瀬真一 警視庁公安部 部長 年齢:58
水野沙羅 五十嵐琢磨の婚約者
2025年9月25日 2名の警察官の殉職と1名の警察官の行方不明
五十嵐敦史元警視庁公安部部長 殉職 享年54
上村 正 石川県警刑事部捜査2課長補佐 殉職 享年59
佐久間 剛 石川県警本部長 行方不明(琢磨たちが来た直後に行方をくらます)
その他 複数の警察官の重軽傷者アリ
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「以上が本件に関わった首謀者と協力者、そしてお亡くなりになられた
警察官2名と行方不明者1名の詳細になります。」
出山が渡部警視総監に今回のこの事件の報告をしているようだ。
「そうか。わかった。君には石川県警から出向で警視庁に転属になるように
速やかに私が働きかけておこう。」
渡部が電話の発信者でもある出山に言葉を返す。
出山はそれを聞いて思わずガッツポーズをしようと思ったのだが、
敦史の最後の光景が今でも鮮明に残っているため少しためらっていて言葉にも詰まっていた。
渡部が「おい?出山君。聞いているのかね?」と出山の処遇について話している中
彼に返答がなかったため、菊と出山は「はい。すみません・・・。少し動揺して・・・。」
「それでこの話はもちろん引き受けてくれるのだよね?」
電話越しでもわかるすごい圧の賭けように出山は一瞬ひるんだが、
「はい。喜んでお引き受けします。」その一言しか言葉出てこずそれをそのまま伝えると
「わかった。それではまた会おう。失礼するよ。」
渡部はどこかでまた会うのかがわかっているかのように伝えて電話が切られてしまった。
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五十嵐琢磨 水野沙羅 岩瀬真一 一行 場所:出口 某ビルの地下
「ここは一体どこなのだろう。」
五十嵐琢磨と水野沙羅が同時に言葉を発すると岩瀬真一の携帯に
1つの通知音が鳴り、思わず固まってしまう岩瀬真一。
「岩瀬部長どうしたんですか?」
「いや・・・。これを見たまえ。たった今先ほどまでいた佐久間本部長から
メールが届いたのだが、俺ら3人重要指名手配になっている。」
岩瀬の言葉に返す言葉も何もない2人。
3人は警視総監ー渡部篤郎ーの銘により緊急で指名手配を掛けられ
日本中で犯罪者扱いされることになるのであった。
五十嵐敦史、運転手の上村正が殉職してその事件を起こした犯人にされてしまった3人。
指名手配され、逃亡生活も3日間も過ぎてこれからどうしようかと考える琢磨と沙羅。
3日間ほぼ寝ずの岩瀬真一の立案で起死回生の策を縦反撃の準備に取り掛かろうとしていた。




