第5話 「2021年ー③ー」
1998年の事件同様に渡部に嵌められた五十嵐典子。
そして、今回は公安部全員が敵という異例の事態。
五十嵐典子自身が持っているUSBメモリーの行方はいかに?
工場から少し離れた場所にある 死陀羅峠 。
ーーーーーーーーーーーーーーーその死陀羅峠について少し解説 ーーーーーーーーーーーーーーー
その村はかつてどの村にも負けず劣らずの勢いで成長していた。
その峠(かつては霜川峠)はここ10年間で一気に
「走り屋」や「車好き」たちに人気になり有名なドリフトコースの一部として
かなり有名になったが、その過去はかなり荒んだものだった。
2000年代に入ってその地域の住宅開発が進み、ここにもその波が押し寄せていた。
しかし、当時あった霜川村の住民全員が反対しその村だけ孤立。
そして時を同じくして約10年前に完全に廃村となり以来、
道路の舗装工事等がされなくなるが車好き界隈にはかなり人気だったが・・・・・・。
その村の名前とは関係なく、立て続けにその峠で死亡事故が多発し一時は閉鎖。
さらに2010年台に入ると一部の車好きにこの峠でのドリフト走行が流行り始める。
五十嵐夫婦もまた、かつて死陀羅峠でよく走りこんでいた。
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話は2021年 五十嵐典子と公安部全員との戦いに戻る。
「たしか、この近くに敦史とよく走った死陀羅峠があったんだっけ。」
五十嵐典子は公安部の人間の追ってから逃れるために起死回生の一手に出たのであった。
自分の車のある場所まで何とかたどり着くと急いで車のエンジンをかける。
「さて、急いでこの場所から逃げて隠れ家に行かないと琢磨が危ない。」
その直後、公安の人たちが彼女のことを追って車のある場所まで乗り込んできた。
「なるほど、今度こそ彼は私たちのことを消そうとするのか。」
「いいだろう。たのしくなってきた。」
五十嵐典子と公安とのカーチェイスが始まろうとしていた。
五十嵐典子が乗っている車はスポーツカーで最高速度約300キロも出る車で、
一方の公安部が乗ってきた車は普通の覆面自動車で明らかに差があり彼女が勝つはずだった。
しかし、彼らが援軍として駆け付けるまでは。
五十嵐典子の車はさすがこの道を幾度となく走り続けてきた人として
公安部の彼らとは運転の歴なども含めたすべてが異次元で彼女をとらえるどころか
逃げられてしまっていた。
夕方なのに外はまだ明るく、聞こえてくるのは車のエンジン音と排気音・ブレーキ音のみ。
五十嵐典子が死陀羅峠最大の難関とされている「死のカーブ」に差し掛かろうとしていた
その時、渡部警視総監と斎藤吉影副警視総監が連絡した
警視庁交通部機動隊の人たち計5台の車で追いかけてきていた。
「まじか、交通機動隊が参加するってなれば勝ち目は50%ってところか。」
五十嵐典子はルームミラーから数台の異質な車を目撃するとさらに加速し、
カーブを持ち前の経験とドライブテクニックで切り抜ける。
そして、彼らの車も切り抜けるかと思っていたが、やはりこのカーブの存在は知らなかったようで
何台もの車ががけ下に転落していき、残った車の数は3台。逃げれると確信した五十嵐典子は
さらに加速し時速200キロへと突入していた。そんなことも知らない公安部は
さっきまで前方にいた五十嵐典子の車を完全に見失い指示を仰ぐしか打つ手がなくなっていた。
「渡部警視総監。申し訳ございません。奴を見失いました。」
「そうなるだろうとあらかじめ予定していたんで次の策はもうすでに練ってある。」
「ほんとですか?」
「あぁ。彼らで勝てるものはこの日本ではいないだろう。」
「それは心強いですね。」
「もう君たちは下がってよい。」
「わかりました。」
渡部警視総監と公安部、機動隊のやり取り後に最終手段に出ることになった彼ら。
数分後、
渡部警視総監が出した最終手段とは「カーブしたで待ち伏せして、殺害する」という
驚愕の策であった。五十嵐典子は何も知らずにただ逃げることを考えていて
追手が引いた瞬間少し途中の道で休息をとっていた。
(しかし、彼らはなんでこのUSBを欲しがっているのだろうか。
そこまでの情報はこのダミーのUSBには入っていないのにな。)
「とりあえず本物はあの家の隠し部屋にすべて今までのものも含めて隠してあるから
最悪の場合になったとしても琢磨が必ず見つけてくれるはずだもの。」
五十嵐典子はどこかに電話をかけ始める。
(プルルルル・プルルルル・ガチャッ。)
「はい。愛知県警本部長の岩瀬ですけど。どちら様でしょうか?」
「五十嵐典子と申します。夫の五十嵐敦史の同期で今は愛知県警にいるとか・・・。・
「はい、敦史の奥様でしたかお話は以前にも彼から山のように聞いていて
ぜひ、またお会いしようかなと考えていた次第です。
本日はどのような用事でしたか?」
この番号にかけたのも夫から聞いたものでして、
込み入って手短にお話ししなければいけないのですが、お時間大丈夫でしょうか?」
「はい。全然電話で大丈夫です。」
「ありがとうございます。」
五十嵐典子と岩瀬真一との約5分にわたる電話が始まった。
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死陀羅峠 下りのカーブ崖下付近
「この峠、久しぶりに走るな、ほんと懐かしいわ。
敦史、琢磨。そして岩瀬さん、ほんとにごめん。後は頼みましたよ。」
五十嵐典子はそう言い残すとタバコを1本吸った後、車のエンジン爆発により事故死。
だが、それを目撃していた公安・渡部たちは隠蔽し自殺と書き換えた。
後に岩瀬真一現公安部長の手によって再捜査がされ当時の公安部と渡部嘉郎の逮捕・起訴により
自殺から事故死に再度訂正され、五十嵐琢磨に公安部長としてそして、
異例の出世・人事異動で警視総監にまで上り詰め、謝罪することとなる。
まさかの怒涛の展開に五十嵐典子、万事休すか。
次回 第4話 「2021年ー④ー」
五十嵐典子が衝撃の最期を遂げ、隠されていた市の真相が見えてくる。




