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復活したはいいが何故か人食いのチート怪物と化した天外優人の奇怪で危険で姦しい日常について  作者: まんぼうしおから
第一章・超人復活

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23・残せるだけ残してみよう

「さー、いっちょ、やっつけてやりますかね!」


 意気込んで肉仏と対峙する。


(そこまで真剣にやらんでもいいんだけどな)


 さっきの攻防で、俺とこいつの力の差ははっきりしている。

 俺はこいつより上だ。

 あの叫びも全く効かなかったし、火の玉はビームで迎撃したらそのまま本体にまで届いて顔一個破壊した。しかも俺の攻撃はこいつの再生を阻害するときている。

 マジ負ける要素ない。

 体格差的に、殴り合いだと負けそうでもあるが、俺は俺で腕力体力防御力が凄いことになってるからなぁ。

 知恵さんのゴーレム相手でも圧倒したんだから、こいつも軽くひねれるだろ。

 あのゴーレムは身長四メートルくらいあったが、この仏さんはあれより頭一つ小さいし、腕もそんな太くない。

 でも俺みたく、見た目に似合わぬ馬鹿力な可能性もあるんだよな……。


『ヴァアアアゥ!』


 思ってるそばから掴みかかってきた。


「わっと」


 頭とか肩とか腕とか胴とか足とか掴まれてしまう。

 ギリギリと締め付けてきた。

 おお、圧迫感あるぞ。痛みはないが。


「だけど、耐えられないことはないな……」


 ぎゅうっと握られてるが、この感じだと、満員電車といい勝負できる程度の圧でしかない。

 しばらく握られていたが変わらず。


「もういいな」


 俺はバネがはじけるように、内にたわませていた筋肉と手足を解放した。


「ふんぬ!」


 ぶちゃあ、という、柔らかく重いものがちぎれ飛ぶ、生々しい音。

 俺を握りつぶそうと努力していた屍楽天の手が、ひとつ残らず肉片と化した。


「やってみたかったんだよな、この、力任せの脱出法」


 漫画とかでよく「フン、こんなもので俺を動けなくしたつもりか? くだらん……!」とか言って偉そうにブッ壊したりする、あれだ。

 こいつが意志疎通できるタイプならそれやりたかったけど、会話とかちょっと無理っぽいので断念無念。


「もうやれる事なさげだな」


 ならビームで終わらせるかと手を突き出したら、こいつの右側の顔の周りに何か集まりだした。

 赤ん坊だ。

 あの文字まみれの赤ん坊らしきものがふよふよと漂っている。何匹もだ。

 まさか。

 またあの具合悪くなる呪いをかけてくるつもりか。


「そうはいかん!」


 胴体を狙おうとしていたのを取り止めて右の頭にビーム発射する。

 間に合うか?


『怨ッグバァ!!?』


 右の頭が、今まさに叫び散らかす直前で謎ビームが命中した。

 間に合ったぜ。

 赤ん坊の群れが見えてなかったら、また三姫と二式神の呪い剥がししないといけなくなるところだった。

 ……そんな手間喰わないし、無視して胴体狙ってケリつけたほうがよかった気も……


 まあやったもんは仕方ない。


 なんか、右の頭どころか右上半身削れたし、これならどっち狙いでも大差なかったんじゃないかな。


『ゴァアアアァ……』


 邪悪な気配というかオーラというか、そういったものが、当初に比べ、あまり感じられなくなってきた。

 つまり、弱ってきたのだ。


(さんざんやられたからな……)


「──優人くん、できるだけ残してもらえないかしら」


 部屋の入口辺りから、いつの間にかグロリア先輩の近くまで来ていた根ノ宮さんが、俺に頼み込んできた。


「色々と調べたいのよ」


「どこの誰の作だとか、どんな原理で動いたのかとか、そういうことをですか?」


「どこまで突き止められるか疑問だけれどね。それでも、何もやらないのとでは天と地ほど違うわ」


 そりゃそうだわな。


「でも、どうやればいいんすか」


「とりあえず頭を残さず壊してみて。胸は後回しよ。魔核があるかもしれないから」


「まかく?」


「文字通り、屍楽天の核となるものよ。仏舎利の真逆のような物体だと思えばいいわ」


「てことは……邪悪な化け物の、骨とか?」


「そうね。それで合ってるわ」


「なるほど。了解」





 なので要望にお応えして、まだ残ってた頭を吹き飛ばしてゲームセットにした。

 左の頭は火の玉迎撃時に破壊。

 右の頭は呪いを放とうとしたのを阻止するため破壊。

 残りは正面の頭と、その後ろに二つもある、背後を向いている頭だった。

 ただではやられまいと、正面の頭も額のホクロみたいなのから雷撃を放ったが、それも俺のビームの前では無力だった。

 正面の頭が雷撃をかき消されてそのまま吹き飛んだ。続けざまにもう一発発射して、後ろ向きの頭部二つも同じ目に合わせる。


 継ぎ接ぎの仏が、ゆっくりと沈み込むように傾いていく。

 そして、ばたりと、倒れた。


「これだけ残せば、いいんじゃないすか」


「ええ、上出来よ。フフッ」


 満足そうに、根ノ宮さんが笑った。

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― 新着の感想 ―
仕方ないとはいえ三美姫よわっちく感じちゃう
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