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 球体の中の人達といつか話ができるのだろうか。名前も住所も知らない。この不思議な体験の記憶は消されてしまうのだろうか。もしも元の世界に戻るとしても、私は暗記が苦手で強制的に記憶を消された事を忘れた頃 何かを思い出し、この話しても誰も信じまい。こんな体験をした人いますかって、世の中に問うには無理がある。変人扱いされるだけだ。なんか疲れた。他の球体では数式を使い高等な会話をしていた。私は会話さえ出来なかった。話の相手はどんな姿をしているのだろう。そもそも何の取り得もない私がなぜここにいる。誰かの近くにいたから一緒に引っ張られたか。でもそれを知ったところで何も変わらない。何も解決しない。


 銀色の球体、グラデーション円柱、文明の網球、進化の樹木球。これらはどこから出てきて、誰と会話しているのか、やっぱり気になる。こちらの考えは読まれ、向こう側は対応をするのだが、どうもしっくりこない。文明の差がありすぎると遅れた文明からは、進んだ文明が魔法に見えると聞いた事がある。今から500年前の世界に行き、髪でイアホンマイクを隠し離れた二人が会話すれば、テレパシーを使っているように見え、ビデオカメラを持って行き、昼間撮影したものを夜にプロジェクターで壁に映し出せば、時間を操作して過去を見せる魔法や、翌日に映像と同じ動作をすれば未来を見せる魔法に見せかける事が可能だ。

 知的生命体は、この広い宇宙には多数存在しているのが通説だが、知的生命体自信がわざわざ何世代も時間をかけて地球へ来るくる事はなく、高度に進んだいわゆるAIロボットがくるだろう。そうなるとやっぱりおかしい。機械と私がテレパシー等で会話した事になる。サブリミナル効果、だまし絵、空耳、視覚聴覚味覚の錯覚、思い込み、プロパカンダなどで考えや思想を操作できる事は確かだが、これは何が起きているのだろう。


 学生の頃 雑誌でハンググライダーを知った。いつかやろうと思ってまだ飛んでない。今やればいいじゃん。そう言われるかもしれないが、時間とお金の問題のせいにしてまだ飛べてない。最近では飛行をコントロールできるスポーツカイトがあり大型化してカイトサーフィンやカイトライドで遊んだりできる。

 春の花吹雪、秋の落ち葉。重力に逆らって風に乗ってふわっと、ずっと水平に飛んでいるものがたまにある。中にはどんどん上昇していくものである。ましてや台風で飛ばされる屋根はどう見ても飛ぶような形をしていない。強風だからと言えばそれまでだが、通常は屋根も壁も剥がれればそのまま落ちる。多少は風で流されるが、どういう状態になれば100m以上飛ぶのか知りたい。共通点はなんだろう。

 動力飛行機で最初に飛んだのはライト兄弟だと知っているが、人工翼をつけて最初に飛んだのが、ヘザルフェン・アフメト・チェレビだったと知ったのは最近だ。ずっとオットー・リリエンタールだと思っていた。今から400年も前にダビンチや鷲を研究し3000mも飛びボスポラス海峡を飛び越えていた。ただ設計図やイメージ図のような物さえ残していればチェレビや、江戸中期の浮田幸吉も、もっと知名度が上がっていただろう。気になるのは浮田幸吉の場合、空を飛び大騒ぎになったことが罪に問われ、住んでいた所から追放された。追放先でも飛行しまた追放されてしまった。大騒ぎを起こしたから、空を飛ぶ発明がダメだなんてありえない。増してや騒ぎを起こした発明だからと、罰を与えられるなんて現代ではありえない。後押ししていれば航空産業は日本発祥になっていたかもしれない。もったいない事をしてしまったものだ。

 最近、ずっと飛び続ける紙飛行機をTVで見た。紙飛行機のすぐ下に大きな板を斜めに持ち、歩きながら上昇気流を起こし板からの気流に乗せるのだ。

 凧の発明は紀元前4世紀の中国が定説だ。糸で引っ張る力と風力のバランスで空高く上がる。糸に重りをつけ、その糸をどんどん短くして凧の重心とのバランスを取れば自立して飛びそうだ。鳥のように上昇気流に乗りソアリングして、風に乗れば上昇するかも。空ing、soraing、rとaを入れ替えてsoaring。なんて覚えたかな。滑空する猛禽類や渡り鳥は1kg以上、大型であれば15kg以上もあり、A4サイズの紙は数グラム。重さだけを比べれば、絶対紙飛行機の方が有利だ。発泡スチロールと重りで鷹や渡り鳥の模型を作れば空を飛びそうだが見た事がないのはなぜだろう。1回飛ばしたら降りてこず視界から消え行方不明になり、コストに見合わないなどの理由なら悲しい。紐をつけて鳥型の空を飛ぶおもちゃがあってもいいはずだ。進化したスポーツカイトだけになってしまったのだろうか。羽ばたかないで飛ぶのはグライダーだけなのか、フラップのない紙飛行機では風に対する微調整ができないから上昇気流に乗れないのか。飛距離や滑空時間のギネス級の紙飛行機は力任せで飛ばすから方向性が違う。投石距離と紙飛行機の飛行距離の差が本来の飛行距離になると思う。

 私は今でも数年おきに、何かに取り付かれたように暇を見つけては紙飛行機を折っている。生まれて初めて紙飛行機を飛ばした時は衝撃的だった。弟がどこかから仕入れた槍型紙飛行機の折り方の知識だったが、自分で作った物が空を飛ぶ。後ろの角を上に曲げ強く投げれば宙返りもする。小学生の頃は友達と長距離飛行を競争し、全体を細くしたり先端を折り返し重くしたりして、改良を楽しんだ。中学生になると多少の知識が付き、紙飛行機の折り方の種類も増え、新しいタイプがよく飛ぶと嬉しかった。中には考えだけが先行し、期待していたより飛ばないのもあった。なぜだ。それが楽しかった。紙飛行機は遊びであり、メモを取り研究するような真面目な性格ではなかったから、似たような失敗は何度もしている。毎回、基本からやり直し、細かい事は覚えていないから思い出し半分、新しい発想が半分。メモを取らないメリットはここにある。過去の発想にとらわれずに済む。まずは折り目を付けない紙を落とす。当然くるくると舞ってどこへ落ちるか分からない。1回だけ折る方法。強く折る、緩く曲げる、半分に折る、片寄って折る、斜めに折る。どんな折り方をしても折り目を付けない時とほとんど変わらない落ち方だ。片寄った折り方をすれば落ち方も片寄ると思っていたのは間違いであった。1回だけではどうにもできない。ただ対角線に半分に折り、両端を繋げるように差し込み筒型にすると真下に落とすことが出来る。またクシャっと丸めても真下に落とすことが出来る。筒型に差し込む手間をカウントしないとか、丸めた時は折れ線が無数にでき、1回だけ折った事にするのかは判断が分かれる。次に2回折る方法。クロスするように折る、平行に折る、平行にならないように折る、幅を変えて折る、角度を変えて折る等バリエーションは一気に増える。2回折った時も折り目を付けない時と変わらず殆どがくるくると舞ってどこへ落ちるか分からない。今度も片寄った折り方をすれば落ち方も片寄ると思っていたが、2回だけでも片寄らす事は殆どできない。左右対称性を持たせれば、回転せず安定した落ち方をするのがいくつかある。その一つに紙の短辺をハの字に上向き90度に折る方法だ。水平にしてそのまま手を離すと、回転せず少し前へずれながら落下する。多少雑に折っても回転しないのは不思議である。水平以外の落とし方だと回転しどこへ落ちるか分からない。次に3回折る方法。3回も折れば方法は無限になる。短辺を長辺方向へ2回折り正方形にしてから縦に半分に折る。3回折る事で重心を付けられ、滑空させることが出来るようになる。紙飛行機を折っている時は毎回何かの目的があり、滑空時間を延ばす事を目指す、槍のように真っ直ぐ飛ばし的に当てる、折る回数を減らしどこまで単純化するか、見た目の格好良さを目指す、奇異な形を目指す、飛ぶ事よりも鳥、戦闘機、スペースシャトルに似せた形重視だったりした。そこそこ目的を果たせたり1ヶ月ほどしたら飽きてしまうのか急に興味が無くなりやめてしまう。いつの日か海に浮かぶヨットのように、風に乗せてふわっと浮かぶように飛ばしたい。動力のない紙飛行機に揚力を持たせたい。後ろの角を上側に丸みを帯びたように少し曲げると下向きに力が働き、紙飛行機の重心より前半分が上がり、迎え角が付き揚力が発生する事は知っている。紙飛行機には推力が無いからこれを積極的に利用して空中に浮かせたい。

挿絵(By みてみん)

 誰でも作れる単純構造の小型風力発電も作りたい。水平回転の360度タイプで板を組み合わせるだけの構造で、形は上から見るとZ型、上下2段にして90度ずらして取り付ける。単純構造だから誰でも作れる。上側に光発電をつければなお発電効率が上がる。乾電池充電には利用できるだろう。発展途上国では一家に一台、すべての街灯に取り付けるなど、公共施設に常設しておけば災害時などに蓄電池の充電など、エネルギー問題に少しは社会貢献できるかもしれない。

挿絵(By みてみん)

 私が紙飛行機を好きなのはなぜだろう。人は空を飛べないけど、作った物なら気持ちを乗せて飛ばせるから。一人遊びで楽しめるから。心地よい風が吹く晴天の屋外でも、雨の日の室内でも遊べるから。同じように作っても同じ飛び方をしないから。失敗しても何の影響もないから。材料費がほぼかからないから。理由はいろいろありそうだがこれといった理由はない。好きになるのに理由はいらないが、嫌いになるには理由があるとは、よく言ったものだ。好きこそものの上手なれ。でも大抵が思い通りにならない。紙飛行機を飛ばすのは上手ではないが、あれこれ角度を変えたり幅を狭くしたり広くしたり、考えて試して原因を探って、そういうプロセスが楽しい。

 ある意味、人生と同じだ。PDCA、VSOP、おい悪魔と表現される。PDCAはPlan Do Check Actの事だ。4プロセスが一般的だが、私はPDTの3プロセス派だ。改善のActはCheckに含まれると思っている。わざわざ4段階にするのは時間と手順の無駄である。Checkは出来た出来ないの判断だけではない。例えば出来た場合はもっと効率的な方法、出来なかった場合は原因と対策など、課題を見つけるプロセスである。課題を解決するために新しい課題も出てくる。新しい課題の為に想定していなかったCheck項目を見つけ再評価したりする。CheckとAct一時的にループするから1プロセスと考える。新しい視点、発想、時には感覚等から結果を再評価する事が重要である。TはThinkの事で8W4H(昔は5W1Hと言われていた)の改善、過去現在未来の社会変化、社会の状況判断、あらゆる意見を聞く。もちろん反対意見も聞き見解を広げる。そもそも目標やPlanが現状に合っているかを含めてのThinkである。よくあるのが、作業に疑問を持ちながら実行されている事がある。作業工程に無理無駄ムラが存在していても、改善点を思いついても、上が決めた事だからといって発言を潰す思考停止の上司がいるのも現実だ。成功と失敗は紙一重だ。成功しても後から見れば、遠回りだったり無駄が多かった事を発見する。失敗してもその方法ではダメだったが、手を加えれば成功へ導かれ得るものが多い。蛇足ではあるが、こうなったらこうしなさいと言う、あらかじめ決められたDo的なActionは、想定外に対応できないし、想定外かどうかも考えない思考停止状態であり、安易に行動を決めてしまう事が多い。大きな失敗をした時や人生の選択が迫った時、どうしようって悩むことがある。そういう時は10年後の自分自身が、今の私になんて言うだろうかと。きっと「好きなようにやれ」と言うだろう。好きなように歩んで成功していればokだし、失敗していてもやる事やって失敗したのだから満足しているし、何かを学んでいるはずだ。やらないで後悔するのは何も得られない。必ず失敗すると分かっていてこれからの苦労や努力が全て無駄になるとしても、やめろと言われて止めるものだろうか、やれと言われてやるものだろうか。未来の自分だから言葉を信じて言う事を聞くのだろうか。そんなに聞き分けがよい性格か。未来は分からないから面白いのかもしれない。VSOPはブランデーではない。Very Special One Patternと言う親父ギャグでもない。Vitality Specialty Originality Personality。物事を習得する過程だ。例えば20代はどん欲に学び吸収し、30代は専門性を磨き、40代は独創性を発揮し、50代以降はそれまでの人脈で解決する。人と違う事に意味があり、一人では問題解決できなくなる事が多くなる。世の中は理不尽で不合理で、正しいと思って行動したのに、世の中の風当たりが強くなりねたみ、うらみ、くやみ等、感情の七みを買ったりする。考えると憂鬱になる。そこで、おい悪魔の出番である。あいうえお作文みたいなものだ。怒るな、威張るな、焦るな、腐るな、負けるなである。順に簡単に説明すると、怒りの原因を突き止め再発防止、態度を改め信頼を得よう、落ち着けばケアレスミスはなくせる、失敗しても再チャレンジ、昨日の自分に勝って行けばいつのまにか成長している。三日坊主は一般的にはマイナス表現で使われるが、私にとっては取捨選択の手段である。センスのない事の発見、無理やり計画を立てても実行できないなど無駄な努力が勿体ない。他の事にチャレンジする方がいい。一年間に120回以上もチャレンジしてよい事になる。そもそも当人が楽しんでいれば三日坊主にはならない。鳴かぬなら鳴くのを探そうホトトギスである。優しすぎてお人よしで、利用されたあげく騙されたり裏切られたり、学校でいじめられて悔しい思いをしている者たちに言いたい。まずは「助けて」と声を出そう。あなたの声が周りに届いていないだけかもしれない。届いていても傍観者になり下がっている人がほとんどなのが現実である。それでも「助けて」の声を聴いた人は直接的に助けてくれなくても、間接的に何かしようと勇気が出る。誰も守ってくれない学校なら行かなくていい。あなたのいる世界はまだ小さい。悔しくて悲しくて寂しい時は、浴槽に顔を沈め言葉にならない叫びを吐き出そう。泡と消え誰にも聞かれないから、心のままに叫ぼう。どうしていいか分からないもどかしさ、そんな時は声を出して思いっきり泣こう。昨日も今日も同じ事をしていては、明日も同じ事を繰り返す。何かを変えよう。今日までと違う明日がやってくる。あなたの未来の為に、肩にある翼を育てよう。雑魚を相手に翼を羽ばたかせてはいけない。傷つけられないように隠そう。羽ばたくのは今じゃない。広い世界へ羽ばたく時が来るまで翼を守ろう。翼はあなたの為にある。人に評価されるものではない。他人の価値観は無視しよう。人と違っていい。自分を信じよう まだ自分の翼を見つけていないかもしれない。見つけるにはいろいろな事に挑戦して沢山の失敗をしよう。挑戦して失敗した事は誰も非難しない。むしろ、いろいろな事に挑戦していく姿勢をほめる人の方が多い。人が苦労してやっている事を、あなたならさらっとさくっとひょいと難なくやってしまう事がいずれ見つかるだろう。勉強はどんな形でもできる。まずは興味のある事から広げていけばいい。まずは本を読もう。学問書や文学作品でなくてもいい。推理、SF、冒険、恋愛、何でもいい。本がだめなら漫画、ドラマ、映画でもいい。そこにはいろいろな立場の登場人物、沢山のシチュエーションがある。言葉や考え方を学び論理武装をしよう。周りの流れに逆らうのは怖いし難しいが反論する少しの勇気があればいいだけ。目覚めよう。自我を持てば人生が変わる。何をしていいか分からなければ趣味的な事から始めてもいい。今は役に立たない知識かもしれないが、未来の自分か、周りの誰か、まったく知らない他人か、誰かには必要になる時が来る。学校で習う様な常識は知らなくても周りが教えてくれる。必要になった時に順番に覚えて行けばいい。社会に出た時、学校の知識はトリビアにしかならないが、生き方の選択肢が増える事は確かだ。皆が知らない知識こそ価値が出てくる。そもそもいじめてくるような低レベルな人間は相手にしなくていい。堂々と逃げよう。いじめる側の言い分なんて聞く必要ないし理解する価値もない。原因はどこにあるが分からないが見た目や発想・思想が人と違っていていい。その個性が役に立つ時が来る。生き抜け。出来る事から少しずつ始めればいい。人と比べなくていい。他人は他人。親と子、男と女、都会と田舎、母国と世界、世界は広い。考え方が180度違う人が集まって世の中は出来ている。最後は自分で解決するしかないが助けてくれる人は必ずいる。努力は報われないが成功した人は必ず努力していた。何かを成し遂げなくてはならないと思わなくていい。神様は努力している人の後押しをする。夢を追いかけて学校をやめようと考えている人に言いたい。結論から言うと学校はやめるな。夢に破れた時に卒業証書は就職に有利な事は当然だが、そんな事を言いたいのではない。そもそも卒業証書には有効期限がある。例えば転職を考えた場合、卒業後の実務経験が重要であり、どこを卒業したのかは意味がない。夢を追いかけて生活できるようになるのはまだ先の事だ。勉強時間は融通が利く。夢を追いかけている間は生活の為に働いているはずだ。仕事時間は融通が利かない。融通の利く勉強時間を作る方法を知らないと、融通の利かない仕事時間に振り回され、夢を追う事が出来なくなる。夢を追う予行演習として学校は行くべきである。

 順風に風に乗っても、逆風に逆らって飛んでもいいのは紙飛行機くらいだ。失敗しても誰にも文句を言われないし、ちょこっと改良してまた飛ばせる。何度でもリセット、リトライができる。風向きや強さは変えられないけど、紙飛行機の折り方は変えられる。楽しめればそれでいい。何度でもやり直せる。他の趣味は映画鑑賞だ。SFやアクション系、裁判系が好きだ。映画館の大きなスクリーンと大音響の迫力がたまらない。古い映画好きで印象に残った言葉はパピヨンの「生き抜いてやる」、ロッキーの「勝って」、タッカーの「次は何をしようかな」だ。チャレンジャー物、小が大に勝つ逆転劇物、そういうストーリーが好きだ。ボクサーの連勝記録更新や試合後でもディフェンスが完璧で顔に傷がなく、無駄な動きもなく、しかも一発KOで相手を倒す。そんなチャンピオンは素敵だがあまり興味がない。そこまでの努力や苦労なら興味はあるけど、チャンピオンに立ち向かうチャレンジャーの方が好き。何度倒されても立ち上がり、顔がぼこぼこになっても、手足がプルプル震えていても、立っているのがやっとの状態でもファイティングポーズをとる。ダサくても、不器用でも、愚鈍でも目的の為に何度でも立ち上がる、そういうのがかっこいいし輝いているから応援したくなる。もっとも精神論だけでは何も解決しないのが現実なのだが、それでもそういう不屈の精神を持ちたい。何かとすぐに諦めてしまう私にとって、八方ふさがりになっても糸口を掴む事ができるかもしれない。アニメの影響かもしれないが、小さい頃の夢は恒星間タンカーのパイロットになる事だった。行き先々で観光し食べ歩きして文化を楽しむ。戦艦や探索隊でなく、タンカーなのは安全が確保されている事を子供ながらに感じていたのだろう。小さい頃から競争が好きではなかった。ほぼ勝つと言う事がなかったからである。いつも後ろから数えた方が早かった。流石にこの夢は時代を先取りしすぎた。平均5光年離れている恒星間を行ったり来たりする技術は、かなり先の未来の話だ。飛行機のパイロットになる事さえ難しいのに、宇宙飛行士だなんて、競争に勝てない私には到底無理な話だ。夢が叶わぬ事を薄々感じていたからこそ、自分で作れて空を自由に飛ぶ紙飛行機が気になるのかもしれない。少し休んでから飛ぶという事に関して、文明の網球と進化の樹木球で調べてみよう。また見る事が出来たらの話だが。



 ボワ~キ~シ~ 低音から高音へ連続的に変化するスィープ音と共に目の前に妙な物が現れた。左から順に赤から紫のグラデーションの真っ直ぐな縦のパイプ、それをα型に曲げたパイプ、ト音記号の様に曲げたパイプ、連続した虹がさざ波のように次々と色が変わっていくグラデーションの四角い板、それをα型に曲げて交差した板、メビウスの輪の様にねじって交差した板、同じように色が変わっていくグラデーションの立方体。その立方体を半透明にして入れ子になり回転したり裏返ったり斜めに伸びたりしてグニャグニャに動く訳の分からない物体。どれも空中に浮いている。真っ直ぐなパイプの中には黒いピンポン玉のような物が端から端まで行ったり来たりしている。中央上方の半球にはその黒球から見た映像が映っていて、移動する黒球の場所のパイプの壁の色に次々に変わっていく。しばらく見ているとα型の中にも黒球が出てきて一筆書きのように端から端まで行ったり来たりしている。真っ直ぐなパイプとα型の黒球は同じ色の位置にいて連動している。黒球から見た映像の壁の色は赤から紫へ、紫から赤へグラデーションして変わっていく。行ったり来たりしているから当然だ。だから何なんだ?

 α型のパイプが移動し始めた。グラデーションの四角い板の上に置かれた。中央上方の半球がオレンジ色の時に急に青に変わった。そして紫へ。紫から青へグラデーションして行き、突然オレンジ色に、そして赤にグラデーションしていく。途中の色が抜けた映像が続く。どうした、バグったか。

 真っ直ぐなパイプの中で黒球はオレンジ色から青へ瞬時に移動し端まで行って折り返していた。α型のパイプの中では立体交差している所が十字路になり、角を曲がり移動していた。オレンジ色と青のところだ。真っ直ぐなパイプ、α型、四角い板。何を伝えたいのだろう。グラデーションに意味があるのか。今までの黒いピンポン玉は1、2、3の数え方から始まり二進法や立方体を作っていた。そっか。線、面、立体。次元の話か。パイプは1次元。板は2次元。中央上方の映像は1次元での映像だ。α型パイプは2次元の中での1次元世界だ。2次元の中では交差する角を曲がっただけなのだが1次元の中では瞬間移動したように見えるという事か。

 ト音記号の中にも黒球が現れた。ト音記号のパイプが移動し始めた。グラデーションの四角い板の上に置かれた。α型のパイプは元の場所に戻った。ト音記号のパイプも立体交差している部分がすべて十字路に変わり角を曲がると、真っ直ぐなパイプ、α型パイプの黒球は瞬間移動している。1次元世界の中では交差する角を曲がったと説明されても、前後の概念しかないから、「角を曲がる」事は理解不能だろう。

 ト音記号のパイプが、元の位置に戻った。白い四角い板はまたグラデーションの四角い板に戻った。全てのパイプをつなげて、真っ直ぐなパイプの世界の人とα型パイプの世界の人とト音記号型パイプの世界の人が、瞬間移動の事象の話をしたら場所や回数のタイミングも同じで、なぜそれが起きているかは理解できない。ましてや違う形の1次元世界なんて想像すらできないだろう。グラデーションの板、α型の板、メビウス型の板、グラデーションの立方体、それぞれに黒球が現れ動き回っている。すべて同じ色の場所に存在していて連動している。同じ事が2次元世界と3次元世界でも起きているという事か。2次元世界を折り曲げたり、メビウスの輪のように重ねたり、数回折って重ねて串刺のような瞬間移動ができるという事か。2次元世界の人には天井や床の概念がないから、それを通り抜けた事を理解するのは困難だろう。そもそも高次元世界の者が低次元世界をねじ曲げる事が出来るのか。紙についているバクテリアやカビなら、紙を半分に折れば、私でも瞬間移動させる事が可能だ。世界地図は無理やり2次元に落とし込んでいるから、形、方向、面積等、何かの情報が抜け落ちてしまう。高次元から低次元に落とす時は、何を基準にして何を捨てているのか理解しないと利用できない。3次元以上の世界と行き来した時の戻ってきた物体の見え方は、縦横高さの軸が保たれていれば変化はないだろうが、軸の比率が変換、回転したり、他の軸で表現されたら物体の変化の意味は理解できない。いや、もしかしたら2次元の地図を組み合わせたら、CADのように3方向からの設計図から立体を知るように、物体を並べたら高次元の物体が想像できるのだろうか。例えば、丸、三角、四角、星、4方向から同時に光を当てて影に移す。これは違うな、間違えた。2次元に落としている。影じゃなくて、この物体の、あっちとこっちは一緒とか、グニャグニャに線を引いて表面や中を突き抜けたりしているように見えているけど実は直線とか、丸めた紙が立体交差しているように見えるけど実は複数点が重なっているとか、逆にこの点はあちこちのこの場所と一緒とか。難しい。部分的には想像できるが。全体像が思い浮かべられない。


 ポーン エレベーターが来た時のような音と供に、目の前に直径約30cmのグレーの円板が現れた。真ん中に右手を開いた黒い凹みがついている。

 合わせろ、又は押せという事か。凹みに手を合わせてみた。何も起こらない。少し押してみた。足元のスライムと同じような感触だ。手首まで押し込むと柔らかく暖かく何かに包まれている。円板は半透明で向こう側はゴム手袋のように見える。どこまで伸びるのか指先を奥に向けもっと押し込んだ。

 シャララララ~ン ウィンドチャイムみたいな音がして、同時に周りからこちらに30本近い数の手が伸びてきた。驚いて手を抜き飛びのいたからふら付いて尻餅をついた。ホラー映画か。伸びてきた手は全て消えている。上下左右、手のあった場所にはそのままグレーの円板が沢山浮かんでいる。なんだこれは。心臓が止まるかと思うほど驚いた。もう一度再現できるのだろうか。

 最初に出てきたグレーの円板に指先を立てて入れてみた、手が伸びてきた沢山のグレーの円板から指先が出てきた。抜いてみるとすべての円板も平面になった。もう一度指先を入れてくるくると回してみた。沢山のグレーの円板から指先が出てくるが、同じようにくるくると回っているのもあるが、回転が逆だったり太くなったり細くなったり、上下左右に振っていたりと、様々な動きをする。中には数本の指が出てきているのもある。そのまま手首までもう一度入れてみる。出て来た手のようなものは、殆どが斜めに伸ばしたような歪んだ形にねじれている。中と外が裏返ったような形まである。まともな形をしている方が少ない。指や手首を動かしてみると一斉に妙な動きをする。それぞれの円板は好き勝手に傾き始めたり、大きくなったり小さくなったりする。円板の向きや大きさはコントロールできないようだ。気が付くと手の数はさっきより増えて倍以上になっている。向きや大きさもばらばらだ。現れては消え、時間差で過去の動作を繰り返したりもする。気になる動きをする普通の形をした手がある。手を左右に振り、手のひらを広げた状態から4、3、2、1と指を減らしていき 最後の一本になった人差し指をこっちへ指さし 手のひらを上に広げ、軽くこちらへ突き出す。「あなた、どうぞ」と言わんばかりだ。なんだろうと思いながらも意味が分からないから無視した。

 思い切って肘まで入れてみた。ぐるぐる回したりグーチョキパーしたり影絵のキツネの形をさせたり。腕を動かしていると何かに触れた。手探ると指先が薄い物に触れた。何回か引っ張ってみたが見失ってしまった。また何かないかと動かしていると、柔らかい円柱な物をつかんだり柔らかい板を押さえつけたり、そんな感触がある。しばらく触っていると感触が消えた。他にはないかと探っていると、円板の奥には堅い板があった。ポンポンポンと何回か叩いてみる。手を振り回すと棒みたいのに当たった。もう一度手探ると小さな丸いものをつかんだ。よし! 引っ張り出そうと手を抜いたら円板からこっちに来る直前に消えた。手には感触だけが残っている。もう一つあったら左手も入れてみたい。左右の手でしっかりとつかみ取りたい。そう思ったらもう一つグレーの円板が目の前に浮かびあがってきた。早速左手を入れてみる。円板の向こう側で両指を組んだり手を叩いたりしてみた。が、手が合わさらない。見た目では合わさっているがすれ違っていく。合わさる感触もない。幽霊とすれ違うようなものだ。そうだ。さっき見た気になる手の動きをまねてみよう。グレーの円板の中で、両手を高くあげ、まず「注目」と手を振り「待て」と手をパーにして少し前に出し胸の高さまで降ろして、気が付くかなと思いながらも指で4、3、2、1とカウントダウンし「お前が」と人差し指で刺し「やれ」と掌を上にして軽く押し出す。

 しまった。確実に私がしていない指の動きだったのに。もしかしたら他の人からのメッセージだったかも知れなかったのに。過去に見た行動を、無意識にまねしてしまった。逆に言えば、未来の行動を誘導したとも言える。過去があるから今があり、今の行動が未来を導くと言えば当たり前の事なんだが。そういえばグーチョキパーは、私から始めたのか、何かを見て、又は似たようなものを見て無意識に始めたのか、どっちだったろう。どちらかが先であっても、見た時と行動した時との時間差がある事は確かだ。こじつければ、これは私が過去にメッセージを送った事になるのか。未来の行動を過去に見てしまった事になるのか。過去と今が同時に繋がってしまったのか。同じ動作でも過去と今で意味合いも違う。やらなければ別の意味を持ち、後でこの事かって分かったかもしれない。どうすればいい。何をいつ確かめるようにするには何をすればいい。考えろ。思い出せ。グレーの円板が現れてから何をしたかを。ここで目覚めた時、私と自分そっくりな人達との同時期の別行動、自分そっくりな人とのゼスチャーの意味、そして統合意識。しばらく考えたがループしてまとまらない。そもそも何を体験しているのだろう。手を入れた先が、こっちに出て来た時には、形が歪んだり、場所、数、中と外や向き、大きさ、時間差が一度に同時進行する。どういう事だ。円板が何かを通り抜けて来た事は確かだ。


 チュンチュン スズメが鳴くような声が右から聞こえた。生物がいるのかとそちらの方を見ると、目の高さに蛍のように小さな白く輝く光が現れては消え別の場所に出現する。光のすぐ上には白文字で0と表示され、白文字の周りの背景はグレーだ。白文字は小さな白く輝く光と同時に現れては消える。しばらく見ていると白い光は同じ場所にとどまり消えなくなった。手を伸ばしたら届きそうな距離だ。白い点が赤く点滅し始めた。その上の数字は白い時は白文字で0、赤い時は赤文字で1を表示している。赤い光が二つになり一つが赤い半透明なラインの軌跡を残しながら右に約10cm横移動した。赤い半透明なライン上のランダムな場所に赤い光の点が現れ、明るく点滅した後その場所はオレンジ色に変わる。やがて赤い半透明なラインは全部オレンジ色になり両端は赤いままだ。さっきまで1を表示していた赤文字は2に変わり、右側にオレンジ色文字の1が現れた。

 オレンジ色のラインが二つになり一つがオレンジ色の半透明な面の軌跡を残しながら奥へ約10cm垂直移動した。オレンジ色のラインは半透明な面になった。両端の赤い半透明な軌跡を残したラインは点滅した後オレンジ色のラインになり四辺はオレンジ色で囲まれ、四つの角は赤い。オレンジ色の半透明な面上のランダムな場所にオレンジ色のラインが現れ、明るく点滅した後その場所は黄色に変わる。ラインは平行移動した場所だけでなく斜めに表れたりもする。やがてオレンジ色の半透明な面は全部黄色になった。さっきまで赤文字の2、オレンジ色文字の1を表示していた数字はそれぞれ4、4に変わり、右側に黄文字の1が現れた。

 黄色の面が二つになり一つが黄色い半透明な空間を作りながら上へ約10cm垂直移動した。黄色の面は半透明な正立方体になった。正立方体の周りの角は赤く、赤い軌跡を残したラインは点滅しオレンジ色のラインになり、オレンジ色の軌跡を残し面になった部分は点滅し黄色になった。黄色の半透明な正立方体の中のランダムな場所に黄色の面が現れ、明るく点滅した後その場所は緑色に変わる。ラインの時と同じように面は平行移動した場所だけでなく斜めに表れたりする。やがて黄色の半透明な立方体は全部緑色になった。さっきまで赤文字の4、オレンジ色文字の4、黄色文字の1を表示していた数字はそれぞれ8、12、6に変わり、右側に緑文字の1が現れた。

 緑色の正立方体が二重になり一つが緑色の半透明な空間を残しながら幅約30cmの半透明な正立方体に拡大した。中央には元の幅約10cmの緑色の正立方体が浮かんでいる二重立方体になった。今までと同じように赤い軌跡のラインはオレンジ色に、オレンジ色の軌跡の面は黄色に、黄色い軌跡の立方体は半透明な緑色に変わっていった。大きい方の立方体の表面は黄色いままだ。黄色い面で区切られた緑色の半透明な立方体は、ピラミッドの上半分を切った台形が6面に合わせて張り付いた形だ。中央と外側の正立方体の間、半透明な部分のランダムな場所に緑色の立方体が現れ、明るく点滅した後その場所は青色に変わる。いままでと同じように立方体は平行移動した場所だけでなく斜めに表れたりする。今度は大きさが様々な立方体も現れる。やがて隙間の半透明な緑色だった部分は全部青色になった。しばらくすると内側と外側の立方体の間がまた半透明な緑色に戻った。中央にある緑色の正立方体の6面からそれぞれの面に対して垂直に膨らみ、緑色の正立方体が6個張り付いた形になった。緑色の正立方体は風船のように膨らみ始めると青くなりどんどん大きくなり台形の立方体にぴったり収まった。外側の正立方体が幅約10cmに小さくなり、中央の正立方体の周りを青い軌跡を残しながら上下左右前後にぐるぐると回りだした。2つの正立方体の間には同じ位置の面を四角いチューブで繋げたような形になっている。チューブの色は表面が黄色く中が緑色だ。6本の四角いチューブは絡まる事はなく最短距離を保ちながら重なったり交差したりする。時には面の間をくぐったり、大きくなったり小さくなったり中央の正立方体の中に入ったり外側を包んだりしている。動きが止まると青い軌跡は球を描き出していた。直径は辺が約10cmの立方体の対角線を3つ合わせたくらいで50cm以上ある。真ん中には緑色の正立方体が浮かび、それぞれの面に緑色の正立方体が張り付き少し離れた所にもう一つ緑色の正立方体が浮かんでいる。全てが青い球に中にある。さっきまで赤文字の8、オレンジ色文字の12、黄色文字の6、緑色文字の1を表示していた数字はそれぞれ16、32、24、8に変わり、右側に青文字の1が現れた。数字と色は10cmを基準にした次元の表記で順に頂点、辺、面、体、胞を表していた。各次元の大きさは、点、10cm、100平方cm、1000立方cm、10000胞cmっていう事になる。

 4次元を表す胞は知っていたけど、それってなんだよって突っ込みたくなる。基本単位の10cmの次元乗数なのは分かるが具体的にどのくらいの大きさになるのだろう。4次元の世界では、元の3次元の立方体と各面に立方体が表体として6個、各面を共有する立方体で8個になる事は分かるがそもそもどういう事なのだろう。立方体が8個だから8000立方cmではなく10000胞cmというのが重要なのだろう。各面を共有し離れた所にある立方体、無理やり3次元で表現した部分が2000立方cmある事になる。いや、間違えた。立方体を作る時、100平方cmの板を10cmずらせた。元の場所、移動先、軌跡で作られた4面の表面積は600平方cm。体積は1000立方cm。次元が違う。同じように4次元の立方体を作ったから3次元の表体積が8000立方cm、4次元の胞積が10000胞積cmになる。頂点、辺、面、体、胞はそれぞれ比べられない。1次元上がると10cm単位の区画の中に前の次元が無限に存在する事は分かる。拡大した二重立方体と青い球は同じ意味合いの4次元空間なのだろう。見る方向が違うだけなのかもしれない。立方体を2次元の影絵にした時、四角形や六角形になるし、光源が近づけば大きくなり、離れれば等倍になる。そもそも縦横高さの3軸に垂直な第4軸なんて3次元世界では表せない。半透明な色が重なっても色が混ざらず見えるのも不思議だ。無理やり3次元に投影したからこうなるのだろう。これが4次元の超立方体なのだろう。


 ニャ~ン 猫が鳴くような可愛い声が右から聞こえた。見ると目の前に縦に1mくらいのオレンジ色のラインと光る紫色の点が現れた。紫色の点がラインに触れると カンアンアンアン 金属がぶつかるような音の後エコー音がして、明るいオレンジ色の光がライン上を上下に走った後、元のオレンジ色に戻った。紫色の光は何かに接触すると音を出すようだ。

 目の高さに1m四方の黄色い板が水平に現れ、ラインを上下に分断した。紫色の光が板の上側のラインに触れると カンアンアンアン 先ほどと同じような音がして、明るいオレンジ色の光がラインを走ったが板で止まった。紫色の光は接触するたびに音を出すようだ。紫色の光は板を超え下側のラインに触れ、また明るいオレンジ色の光がラインを走り板で止まった。接触した明るいオレンジ色の光はライン上の場所から黄色い板は超えないようだ。紫色の光が黄色い板の中で強く光った。黄色い光の波紋が板やラインにも広がった。

 オレンジ色のラインが消え黄色い板だけになった。黄色い板に幅約30cm長さ約1mくらいの緑色の四角い筒が突き刺さり途中で止まった。紫色の光が筒の外側の板に触れると、明るい黄色い光が波紋のように広がるが筒の中へは通り抜けない。紫色の光は筒の中に入りが筒の内側の板に触れると、明るい黄色い光が波紋のように広がるが筒の外へは通り抜けない。接触した黄色い板上の場所から緑色の筒は超えない。紫色の光から出る光は塗り替えたりしないようだ。紫色の光が緑色の四角い筒の中で強く光った。緑色の光の波紋が筒や板にも広がった。

 黄色い板が消え緑色の筒だけになった。緑色の筒は拡大し約1m四方の箱になった。上から幅約30cmくらいの青色の箱が降りてきて緑色の箱の中に潜り途中で止まった。青色の箱の中は緑色だ。緑色の世界に青い箱が浮かんでいる状態だ。紫色の光が青色の箱の外側で強く光ると、明るい緑色の光が球状に広がるが青色の箱は通り抜けない。紫色の光は青色の箱の中に入り箱の内側で強く光ると、明るい緑色の光が球状に広がるが青色の箱は通り抜けない。緑色の場所から青色の箱は超えない。

 青色の箱は拡大し約1m四方の箱になり緑色の箱は縮小し約30cmになった。青い世界に緑色の箱が浮かんでいる状態だ。紫色の光が緑色の箱の外側で強く光ると、明るい青色の光が球状に広がり緑色の箱を通り抜けていった。紫色の光は緑色の箱の中に入り箱の内側で強く光ると、明るい青色の光が球状に広がり緑色の箱を通り抜けていった。青色の場所からは緑色の箱などなかったように青色の光は超えていった。

 紫色の光は高次元移動ができ、放つ光は次元に対応する色で移動範囲を表しているようだ。つまり低次元は高次元を超えられないと言う事だ。これは説明しなくても殆どに人は分かっている事だと思う。なぜ説明したのだろう。


 ワン 小型犬の吠える様な可愛い声が右から聞こえた。見ると直径約5mの青い球が浮かんでいる。その球が近づいてきたかと思うと中に呑み込まれた。左に約30cm四方の緑色の集合立方体が浮かんでいる。約10cm四方に区切られ縦横奥行きに3個ずつ密接した27個の小さな正立方体が集まった形だ。右には約30cm四方の二重立方体が約10cmの間隔をあけ上下左右前後に3個ずつ27個並んでいる。二重立方体の中央には約10cmの緑色の立方体が浮かびそれぞれの面にも緑色の台形の立方体が張り付いている。外側の大きな立方体は緑色で表面は黄色だ。それぞれの立方体の頂点、辺、面、中身は順に赤色、オレンジ色、黄色、緑色だ。二重立方体のないところは青色だ。

 集合立方体も二重立方体も外から見てこの配色が見えるのは不思議だ。現実ではありえない。反対側の頂点、辺、面、空間の色まで見えるには手前側が全て半透明でなければならず、手前側が半透明だと反対側まで到達するまでの色が混ざってしまう。どういう仕組みなのだろう。3次元世界では正面しか見えないが、4次元世界では側面、裏側、内側まで見えるという事か。斜めから見た正立方体を2次元に写すと90度の角度ではなくなるのと同じ事か。正立方体の展開図からこの頂点と頂点、辺と辺が同一である事と同じように。二重立方体の頂点、辺、面はどれも直角、直交であり、頂点、辺、面は同一である事を頭の中で組み立てるのは、なかなか想像しにくい。

 紫色の光が左の集合立方体の中心へ移動して強く光った。緑色の光が球状に周りに広がった。同時に右側の同じ位置の二重立方体の中からも緑色の光が球状に広がった。隣の二重立方体では、中心の正立方体の近い方の面から反対側の面へ緑色の光が流れていく。周りの二重立方体も中心の正立方体の中しか光っていない。左右の正立方体の光り方に時差はない。

 紫色の光が右の二重立方体の中心へ移動して数秒おきに光だした。今度は青い色の光が球状に周りに広がった。右の二重立方体が並んでいる空間では青い光はきれいに球状に広がった。左の集合立方体では中心から外側へ青い光が球状に流れていくが連続していない。右の二重立方体の中心の正立方体を通った時に青く光り、左の集合立方体の中では隣の立方体へ行くのに時間がかかっている。青い光が二重立方体の左側の台形、正立方体、右側の台形、青い隙間、右側の二重立方体の左側の台形と進む時、集合正立方体では、左の黄色い面、緑の立方体、右の黄色い面、光が消滅、右の正立方体の左の黄色い面へ順にタイミングを合わせて移動していく。

 紫色の光が右の一番上の二重立方体のさらに上、青い球体の頂点、極部へ移動して光った。今度は薄い紫色の光が面として上から下へ精査するように流れだした。薄い紫色の光は、青い部分のみ紫色に強く光っている。二重立方体の正立方体の周りの台形の部分も紫色に強く光っていた。集合立方体には何も起こらない。薄い紫色の光が青い部分の一番下の極部分へ到達した。

 また薄い紫色の光が上極部から下極部へ流れ始めた。緑色の部分のみ紫色に強く光っている。二重立方体の台形、正立方体の部分を上から下へ水平面として紫色の光が流れた。二重立方体の中心の正立方体と集合立方体の正立方体は同期して紫色に強く光っていた。二重立方体の台形の部分を通過した時も、集合立方体の面の部分は光っていなかった。薄い紫色の光が青い部分の下極部へ到達した。

 また薄い紫色の光が上極部から下極部へ流れ始めた。今度は黄色の面の部分のみ紫色に強く光っている。二重立方体の同じ高さの中心の面は同時に強く光り、4次元として作られた斜めや垂直面は通過していく。二重立方体と集合立方体の同じ面は同期して紫色に強く光っていた。薄い紫色の光が青い部分の下極部へ到達した。

 同様に薄い紫色の光は精査するようにオレンジ色の辺、赤色の頂点を同じように紫色に強く光らせていった。紫色の光の動きは4次元の青い世界、4次元に拡大された緑の立方体や面に接している台形の立方体から中心の正立方体、面、辺、頂点と高次元から低次元ごとに移り場所を示しているようだ。薄い紫色の光が上極部から下極部へと、次元の説明を繰り返している。

 何を見せられているのだろう。そもそも紫色の光の意味はなんだ。4次元世界までしか展開していないし、紫色の世界が高次元なのは分かるが何次元なのだろう。色の順番から行けば5次元と言う事になる。5次元世界はもう3次元世界では表わせられないという事は理解している。どの次元の住民でも1次元上なら何とか想像できるが、2次元上がると物理的な表現は難しくなる。そもそも紫色の光が突然、面の動きになったのはなぜだ。1次元ではオレンジ色の線、2次元では黄色の波紋、3次元では緑色の球状、4次元では青色の球状、もっと高次元な紫色の面の妙な動きだった。4次元世界を面で扱える世界、つまり2次元世界として扱える世界という事か。違うな、面に広がった訳ではなかった。動きとしては1次元的な動きで1方向にしか紫の光は進まなかった。二重立方体のある4次元の世界を1次元的に扱う事は、相対的に7次元の世界から見ている事になるのか。どう考えたらいいのだろう。紫色の光は、二重立方体と集合立方体での時間のずれや、飛び飛びに移動する光があったからどの次元でも扱えるという事か。白い光が現れた時、時間と場所を変えて点滅していた。もう一歩進ませると無次元時空の時、時間と場を切り離すと、どの時間、どの場と表す事が出来る。数字的には0次元の先に2つの次元がある事になるから、さらに2次元増えると9次元になる。赤色から紫色の6色と今まで出て来た白、黒、グレーを合わせれば9色になる。単なる偶然かこじつけか。9次元の世界では時間と場をもコントロールすることが出来るという事か。量子力学のトンネル効果、ビッグバン前の世界、過去現在未来を参照したり、マルチバースの世界を行き来したりすることが出来る。超弦理論では11次元と言うから数字的にはまだ足りない。高次元世界と3次元世界では物理法則が基本的に違う。思いつくままあれやこれやと想像が飛躍しすぎたか。


 紫色の光を実際に動かしてみたい。上極部から下極部へ流れる紫の面の光が下極部に達した時に、紫色の光を見つめて集中してみた。すると動きが止まった。目の動きに合わせて動かせることが分かった。二重立方体の前列中段真ん中、中央の緑色の正立方体の中へ紫色の光を移動させた。左の集合立方体の中央手前側の正立方体の中にも紫色の光がいる。右の二重立方体の中央の緑色の正立方体から、右側の台形の中へ紫色の光を動かしてみた。左の集合立方体の正立方体の中では右側の面の中に紫色の光がぼんやりと見えている。試しに左側の正立方形から見てみると左側の面からは光は見えない。右側の台形の中から、二重立方体間の青い部分へ紫色の光を動かしてみた。左の集合立方体の正立方体の中では紫色の光が完全に消えた。完全に4次元にいる事になっている。青い部分から、右隣の二重立方体の中央の緑色の正立方体の左側の台形へ紫色の光を動かしてみた。左の集合立方体の中の右隣の正立方体の中では左側の面の中にまた紫色の光がぼんやりと見えだした。スタート地点の正立方体の右側の面からは光は見えない。左側の台形の中から、中央の緑色の正立方体へ紫色の光を動かしてみた。左の集合立方体の正立方体の中では右隣の正立方体の中に紫色の光がいる。3次元世界に戻ってきたようだ。

 3次元世界をただ隣に移動だけだった。4次元空間を通ってきたから途中に壁があっても通り抜けて来た事になるのだろうか。2次元や3次元の時のように何かで囲って、「ハイ通り抜けました」みたいな演出をしてくれるのかと期待していたが、当たり前すぎてそんな事はしてくれないらしい。それにしてもなんかイメージと違う。ドアを開けるとその先の部屋にはドアを開けた私の後姿を見るような何かを期待していた。

 もう一度右に移動してみた。右の二重立方体の中央の緑色の正立方体から、右側の台形の中へ紫色の光を動かしてみた。左の集合立方体の正立方体の中では右側の面の中に紫色の光がぼんやりと見えている。先ほどと同じ動かし方をしたのだから当然だ。今度は奥の台形へ移動させてみた。ここからだと台形に見えるが台形の中にいると45度に傾いている面も、4次元世界では真四角な部屋に見えているはずだ。二重立方体の正立方多の周りの台形の面を通り抜け、ぐるっと回って元に戻ってみた。右の集合立方体の正立方体の面の中が、左回りに順番に光りぐるっと回って元の右側の面の中で光っている。4次元的なイメージでは、四角い部屋を直進し壁を4回通り抜けたら元の部屋にいた。まっすぐ水平方向に進んでいるのに3次元では途中は左方向へねじれている。正立方体の右側を東とした場合、部屋に窓がついていたら同じ方向の窓なのに東側、北側、西側、南側が見えていた事になる。2次元世界の生物が円柱の表面を湾曲方向に真っ直ぐ歩いただけなのに、四季の天空風景が変わりいつの間にか元に戻ってきた。そんなイメージに近いかもしれない。面白い。

 今度は、今の右側の台形から上の台形へ進み中央の正面体へ紫色の光を動かしてみた。左の集合立方体の中では右側の面の中から上の面へ紫色の光が移動しぼんやりと見えていた光が、元の正立方体の中に紫色の光がいる。3次元世界に戻ってきたようだ。右天井左。3次元の世界だと東側の部屋から天井の面、西側の面と進むから上の正立方体にいる事になるが、4次元の世界を通ると東側の部屋へ行き天井を抜け、床と接している西側の壁を抜けると、中央の部屋の天井から降りてくる事になる。面白い。4次元で作られた見かけ上の台形、正立方体は重力方向が複数になりそうだ。このとき重力の向きは、急に変化するのか徐々に変化するのか、どちらなのだろう。3次元である緑色の立方体から4次元で作られた隣の台形へ行き、入った方向と違う面へ真っ直ぐ突き進むと、3次元の正立方体に面している周りの台形を次々に回る事になり出られない。重力も当てにならない。間違った方向、青い部分に到達してしまうと第4軸の方向へ行き、どこに行き着くか分からない。そういう事なのだろうか。


 考えれば考えるほど分からなくなる。何の根拠もなく勝手な想像だけが独り歩きしている。まったく理解できない事にむしゃくしゃしてきた。右側の二重立方体の中からはみ出すように縦横斜め奥や手前、無茶苦茶に紫色の光点を動かしてみた。二重立方体からはみ出し始めると次から次へと新しい二重立方体が現れ、二重立方体の中心から離れるほどその動きは加速し早く動く。左側の集合立方体も同じように動くが、整列が壊れたり塊になったり飛び飛びになったり理解不能な動きをする。しばらくしてお前は猿か。何にかんしゃくを起こしている。冷静になってみた。無意識な行動が馬鹿に見えてきた。いやいやこれは4次元の動きを試しただけさ。誰かに言い訳する訳でもなく自分に嘘ぶいた。今の軌跡を3次元世界で表してみようなどと考えてみた。

 紫の光点が遠のき。今動かした青い軌跡が空間いっぱいに広がり現れた。思っていたより縦横無尽に動いていた。青い軌跡の周りには緑の立方体が絡んでいる。緑の立方体は、青い軌跡の最初の方では整列して絡んでいたが、青い軌跡が加速したら間隔が離れ、急激に曲がった時には近付いたりしているようにも見える。青い軌跡の周りの緑の立方体は水平を保ちながら、固まっていたり重なり合っていたり飛び飛びになっていたりする。無茶苦茶な動きをしたのだから当然な事だ。突然、縦横無尽に走っていた青い軌跡が目の高さで水平直線になった。周りの緑の立方体もそれに引きずられ右回り左回りに絡んでいる。もう水平は保たなくなり大きさも大小さまざまに変化し立方体の形もしていない。角が取れ丸みを帯びた形に変形した楕円球のような形をしている。3次元と4次元を表しているのだろうけど意味が分からない。青い軌跡の中を青い光が走り出した。動きは一定ではなく遅くなったり早くなったりする。奇跡の動作を再現しているようだ。近くの緑の立方体も緑色に光るが青い軌跡の光の流れと同じ順番ではなく多少前後している。青い軌跡と緑の立方体がそのまま3mほど上昇していった。両端が目の高さまで降りてきて大きな馬蹄形を作った。緑の楕円球も引きずられて周りに絡んでいる。両端は30cmくらいにまで近づいた。光る紫のラインが現れ両端を繋いだ。4次元でも迂回しなければ超えられない壁を、5次元が繋いだという事か。高次元世界では、空間を曲げる事は日常的な技術なのだろうか。青い軌跡の馬蹄形の下の部分と紫のラインが拡大され、青い馬蹄形は離れて上の方で浮いている。

 拡大され、直線で3mほどになった紫のラインの両端が光った。両端には少し離れて直径10cmくらいの大きさの銀の球が浮いている。銀の球の表面には周りの風景が写っている。紫のラインと銀の球の間には何もないが、銀の球には紫のラインの反対側、一番遠い部分に穴が開いている。穴を覗きこむと、穴を覗きこんでいる私の姿が見える。試しに手を振ってみたり、こちらを刺すように腕を回してみた。片方の銀の球から見た風景が見えている。試しにもう片方の銀の球も覗き込んでみた。思った通り反対側から見た風景が見える。紫のラインが両端に銀の球をつけたまま上昇し馬蹄形に曲がり、両端が1mくらいまで近づいた。今度は銀の球は互いに反対側を向いている。銀の球の間に入り穴を覗きこむと、穴を覗きこんでいる私の姿が見える。後ろにあるのに正面から見た私の姿だ。光は馬蹄形にそってねじられて来ているのだろうか。馬蹄形だった紫のラインが元の直線に戻り目の高さで浮いている。両端に銀の球はついたままだ。しばらくすると紫のラインが上昇して、銀の球が消えた。頭の上の方に銀の球が現れた。紫のラインとは全く関係ない場所だ。どうしてここに現れたのだろう。そう思った瞬間、あちこちに同時に現れたり消えたりした。大きさもバラバラでピンポン玉からスイカサイズまである。いやスイカではない。遥か彼方にあるのは惑星サイズだ。遠すぎて大き過ぎて月とも惑星とも言えるサイズだ。いつでもどこでもどの大きさでも繫げられるんだ。目の高さに10cmくらいの銀の球がいくつか並んだ。それぞれに穴が開いている。順番に覗いて驚いた。横断歩道の手前で見上げている私、ここで起きた事、私と自分そっくりな人たち、色々なパズルから、今覗き込んでいる姿までが見える。録画されているのか、それとも・・・。キョロキョロとしているとすべての銀の球が消えた。ここは3次元の世界ではない。2次元以上高位の世界だ。

 5次元の世界なのか、何次元の話か分からなくなった。4次元で壁を抜け、5次元で空間を曲げ距離を超越し、5次元でも超えられない何かを超越し、その次の次元の銀の球が現れた。あれこれと3次元を超えた後の事を思い返したが、何を超越したのか分からない。距離は速さと時間で決まる。距離を超越したと言う事は、速さや時間は意味がなくなるのか、又はどちらも超越することが出来るようになったのか。どちらに考えればいいのだろう。距離を超越すれば何百光年もの先を、今見る事も行く事もできる様になるが、速さや時間を超越したと言えるのだろうか。安易に時間も超越したと言いたいが根拠がない。時間なら時間を超越する何かを示したはずだ。3次元世界では理解不能な事を超越しているのだろう。

 先ほど円板に手を入れた時、グーチョキパーが時差で動いていた。高次元空間を通って何をしていたのだろう。母船が近くにいるのか、中継点または母星と通信していたのだろうか。積み木、バー、カードのパズルをしたり30進法、新しい文字や高次元空間を垣間見たりした。文明の網球、進化の樹木球を見たが、これらは学者が見た方が有用で私が見ても楽しむだけで意味がない。せいぜいトリビアとして話のネタになるくらいだ。ゲームは暇つぶしになったが、学んだ事はいつ使うんだ。使われる事のない30進法や数字の表記、行くことの出来ない高次元の世界などどうでもいいような気がしてきた。

 360度に並んだグラデーションのバーや板、円板、色付きの3次元立方体、集合立方体や二重立方体、上の方にある青や紫のライン。全てが濃霧の中に消えていき、白い空間だけになった。


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 パカッ 足元にぽっかりと直径10mほどの穴が開いた。落ちる! 身構えたが何も起きない。白い床が透明になっただけだ。見えているのは地球だ。綺麗だ。ゆっくりと変な方向に回転し小さくなり始めた。移動しているのだ。当然上を見ると、期待通り10mほどの穴が開き透明になっている。広大な宇宙が見える。デフォルメされているのかプラネタリウムの中にいるようである。星の数にはいつも驚かされる。斜め方向に天の川銀河もはっきりと見える。

 いつのまにか水平方向には、10mほど先に直径10mの半球状に球体が並んで浮いている。球体の大きさは直径30cmくらいで100個以上がハニカム構造状に並んでいる。半球状の中心は目の高さにあり、下半分は本来なら地面の下になるのだが、さえぎる物がないから見えている。改めて私が浮いている事に気づかされた。くるっと見渡すと左、右、後ろの3方向に、固まって並んでいる。300個以上ある事になる。球体の手前半分は透明で中には3D映像が映し出されている。

 左側は宇宙の多様性など、宇宙に関するいろいろな映像、図解、数式が流れている。どこかで見た事のあるような星雲や銀河の映像が見える。右側は生物の映像だ。動植物や山や海の映像が見える。後ろ側は文化、儀式、生活様式の映像だ。建物、乗り物、お祭りや儀式などの集団行動の映像が見える。


 左側の半球状に並んだ球体の宇宙のエリアに入ってみた。近づくとハニカム構造状に並んでいた球体は1層ではなく、後ろにも重なって並んでいて背景の白い空間は見えなくなっている。

 もっとよく見ようと一歩近づくと、突然並んでいた球体が一斉に襲ってきた。球体の映像が大きくなり、それぞれが重なり合い、上下左右前後、360度囲まれた。ものすごい数だ。「まてまてまてぇ~」思わず叫んでしまった。情報量についていけない。同時にこんなに沢山の映像は見られない。球体は元の半球状のハニカム構造状態に戻った。音だけで音声の説明はないから、3つずつくらいなら同時に見られそうだ。適当に3つ選び三角形に並べてゆっくり見る事にした。

 最初に見た球体は、銀河や銀河群、銀河団、ボイドが拡大縮小されたりする映像だ。一つの光の中に数千億個の恒星があり、その恒星には数個の惑星を持ち、惑星には衛星を持つ映像だ。まるで宇宙旅行をしているようだ。

 次の球体は、恒星の生と死が新しい元素を産み再構成する映像だ。星の一生と原子の作られ方を説明しているようだ。

 次の球体は、ビッグバンから現在までの成り立ちの映像だ。4100万光年離れた場所から放たれた光が、138億年かけて届いた見かけ上の宇宙は、膨張して半径470億光年の現在の実質的な宇宙を写している。銀河の合体や銀河団、ボイドの成り立ちの映像も映している。驚く事に最初の数秒が何億年もかけて描かれている。膨大な質量とエネルギーが時間を歪めているのだろうか。ブラックホールの事象の地平線を外から見ると吸い込まれていくものは止まって見える。逆にビッグバンは反転して爆発するから点に見える中では膨大な時間が外からは数秒に見えているのだろうか。宇宙のとてつもなく長い歴史を感じる。

 次の球体は、ビッグバン以前からビッグバンまでの映像だ。ビッグバン以前の映像なんて考えた事もなかった。小さな点があちこちに現れては消えていく。たまにあちらで、こちらで点がいきなり巨大な球になり宇宙の始まりがある。やっぱりビッグバンは複数回あり、宇宙は多数存在していた。

 次の球体は、宇宙は膨張して素粒子レベルまで引き延ばされる映像だ。重力、電磁力、強い力、弱い力は成り立たなくなってしまうのか。バラバラになった後はどうなってしまうのだろう。静寂が永遠に続くだけなのか。何も変化しないのは考えにくい。 

 次の球体は、宇宙の膨張はどこかで反転し収縮に変わる映像だ。数百年単位で周回する惑星、銀河の端を周回する恒星など、重力はどこまでも影響しているように見える。数式も一緒に映し出されていて、何かと比較しているようだ。数字は増えたり減ったりしているが、意味は分からない。

 次の球体は、膨張と収縮を繰り返す映像だ。数式が沢山出ている。パラメータの一つが0か無限大になった時に反転するものかと思っていたが、組合せが沢山あるらしくどこかの複数のパラメータが一定量を超えた時、または足りない時に事象が変化するようだ。数式が理解出来たらきっと楽しいだろう。

 次の球体は、複数のビッグバン宇宙映像だ。果てしなく広い無の空間に球状の宇宙が沢山浮かんでいる。同じ大きさ、形の宇宙はない。潰れた球体の方が圧倒的に多い。大きくなる宇宙もあれば小さくなっていく宇宙もある。部分的に膨張縮小している球体もありぶよぶよと変化している。何もない所で何かが点滅し他の所でまた点滅している。たまに点滅していた物が突然大きくなり宇宙が誕生している。宇宙の球どうしは十分に離れていて球と距離の比率は10桁くらいだが2桁くらいで表示されている。この時間軸は1分を100億年単位で表しているのだろうか。複数の宇宙を表示する時は時間の概念は成り立たないのかもしれない。たまに宇宙の球が突然巨大になり色が薄くなり、近くの宇宙の球と接触すると、白く光って大きい方の球が消えてしまった。異なる物理法則は同時に成り立たないと言う事なのか。消えてしまったというよりは、スイッチがoffになったという感覚だ。薄く引き伸ばされた素材が、そこにはあるが広大な空間ができただけとも言える。ビッグバンはスイッチを入れ、周りにスイッチonがリレーしていくという事なのだろうか。

 次の球体は、光を超えるスピードで膨張する宇宙の端は直接観測できないが、宇宙に全くの無の場所はなく、光速以上で移動した物質や重力に、引っ張られた物質を観測すれば間接的に発見できる。そんな説明映像だ。地球から見た夜空は星で一杯だが、遠い将来の夜空の星が半減した時には、見えない先に存在している物質を発見できる。遠い将来の話かと思うが、もしかしたら現在見えていないから存在しないと思っている事が、実は存在していて理解しようとしていないだけなのかもしれない。


 右側の生物のエリアに入ってみた。

 進化の樹木球をバラバラにして見ているようだ。でも何かが違う。極限環境生物の映像が多い。地球上の動植物が生活するには無理な環境でも、微生物の世界では快適環境に見える映像だ。生活環境は地球上で進化した生物を基準にしてはいけないという事か。

 銀河団を示す地図のような球体があり、生命の分布を示していて、星の数だけあると言えるくらい沢山ある。小さな球体が沢山浮かび、中心から放射状に8本の太さと色の異なる針が出ている。なんとなく銀河団、銀河、恒星、惑星で4本使用すると推測できるのだが、残りの4本の意味は分からない。小さな球体のすぐ隣には茶道に使う兼山を円柱にした様な物がゆっくり回転しながら浮いている。針の高さはバラバラでこちらもカラフルだ。化学式が沢山浮いている。

 いくつか見ていると、放射線耐性菌や有機溶媒耐性菌は、宇宙空間でも地球の動植物が生きる通常環境でも、生活している映像がある。複数の生活環境を持つ生物がいるという事か。地球でも水中と陸上で生活できる生物がいる。人間が地上で道具を使うようになり工場を作るように、海中や高圧力の空中や宇宙空間が生活環境の知的生物は、その場所で工場を作るように進化するようだ。やがて違う環境への進出する為、密閉空間を作り、ドライスーツや潜水艦、宇宙服や宇宙船を作るようになるのだろう。海洋知的生物なら密閉空間の中は液体で満たされ、高圧力の空中知的生物なら高圧力空気で満たされ、真空知的生物なら真空で満たされる。同じ地上知的生物でも、惑星の直径が違えば空気の成分比率や圧力、重力が違い宇宙服を着る事になる。重力が違いすぎる惑星に降り立つ時には、パワースーツ機能やもっと進んだ技術、例えば重力加減スーツ機能を付けた宇宙服を着るのだろう。人間と形が違うのだから、宇宙服なのか密着型宇宙船なのか区別さえつかないかもしれない。もしも知的生物と出会った時は、宇宙服越しでコミュニケーションする事になり、AIロボットなのか中に生身の生物が入っているのか判断は難しそうだ。

 SF映画に出てくるようないろいろな宇宙人の映像も沢山ある。地球上のあらゆる生物を擬人化したような形をしている。目、耳などの情報入力器官や手足は1対になっているとは限らず、奇数だったり複数対だったりする。視聴覚器官などの型は様々で、表示されている数式の意味は分からないが、周りに浮かぶ小さな球体が、図解で人間とは違うものを見たり聞いたりしている事を表示している。地球上でも可視光線の範囲、聴覚範囲は生物によって違うし色素の受容体の種類も違うから当然ともいえる。音波を視覚として使ったりコミュニケーションとして使ったり、未知な感覚器官をもっていたりする。情報入力器官は体の上部や前面に多いが、後ろや背中下側、通常の進行方向とは逆の位置に付いているのもある。脳や心臓は体の中心にある事が多いが、一ヶ所にまとまっていたりそれぞれの器官の近くに分散していたり複合型だったりする。

 子孫繁栄の方式も様々だ。アメーバのようにクローンを作る自己分裂型、哺乳類のように雌雄の直接接触型、魚や植物のように放精放卵型があり、それぞれに体内受精型、体外受精型がある。中には体外受精型で沢山の受精卵の中から一つを選び体内で育てる方式まである。将来の学習能力の差、または専門性の得意不得意の差で選択しているのだろうか。子孫繁栄に自然淘汰や環境淘汰ではなく、優生学や将来の専門方向性を取り入れ人口淘汰をしているのだろうか。性の種類は雌雄だけでなく3種類以上あるものや中間、性転換をする種属がある。地球上の生物と違ってどのタイプも生存期間が長く非常に子育て期間が長い。それだけ教育する必要があるという事なのだろう。知的生命属に言える事はどれも脳の割合が大きい。そして動くことが出来る。移動できる足 翼 ひれ 作業する手、指をもっている。当たり前と言えばそうなのだが、弱肉強食の世界で生き残るにはまず被食者にならないように逃げる事、そして捕食する能力がある事。それには移動する事、周りの状況を把握する事が重要だ。まずはそこから始まってやがて知能を持つ事になるのだろう。

 地球の大陸上で人の血液型の割合が違うように、銀河の中でも子孫繁栄の方式、生活場所が空中地上地中海中と偏りがある。生命の分布は、銀河の場所による素粒子の存在割合のバラツキと関係している事を示す映像と、沢山の数式や化学式が並んでいる。

 地球とは進化の過程が違い、カテゴリー分けの属性、種目も分け方も違う映像もある。動物界、植物界、菌界、細菌、古細菌など、銀河の場所により進化の順番も違う映像もある。惑星により食物連鎖、エネルギー元、エネルギー効率が違ってくるのも当然の話だ。地球上でさえ極限生物は、人とは違うエネルギー代謝を行っている。地球生物のアミノ酸とは違う構造だったり、酸素ではなく硫酸、メタン、金属系をエネルギーとして生存する映像もある。地球上の極限環境は、その惑星では標準環境であり温度、水素イオン、塩度、圧力、放射線量の値も違う。進化の過程が異なり、生物の多様性が重要である事を示す映像もある。地球の歴史でカンブリア紀などに生物の多様性が生まれた理由として地球環境の変化がある。一つ目の理由として地球内的要因、植物の大量発生、酸素濃度の変化、オゾンの発生、地軸の変化、S極N極の入れ替わりなどで大量絶滅、新しい環境で生き残る自然淘汰の進化がある。二つ目の理由として地球外的要因、太陽、超新星爆発などが原因で、紫外線、エックス線、ガンマ線、宇宙線などが地表や海底にまで届きRNAやDNAの突然変異がある。同じような事が他の惑星系でも起きている映像が沢山ある。素粒子の存在割合のバラツキと地球外的要因が子孫繁栄の方式に偏りを決めている映像も沢山ある。地球上の生物は4種類の塩基からなるRNA、DNAの2重らせん構造だが、9種類の塩基からなる三角柱のような3重らせん構造だったり、構成要素がまったく別の構造の生物がいる映像もある。見た目の違いなら楽しめるが生物学的な話や化学式が出てくるともう理解出来ない。


 後ろ側の文明のエリアに入ってみた。

 文明の網球をバラバラにして、ガラガラポンと並べ替えたような地球外の知的生命属の映像だ。生物エリアで見た生命の分布図と比べるとずっと数が少ないが、それでも星の数ほどある。

上の方は宇宙、空中、目の高さ当たりには地上、水中、下の方は地下、海底と環境の生活圏別に並んでいる。球体の中にも球体があり、エネルギー源、住居、移動手段、食、武器等の映像が並んでいる。こちらにも中心から放射状に延びた8本に伸びた針のある球体がある。地図の出発点は、この地的生命体の惑星なのだろうか。地図以外にも何かの指標を示しているのだろう。球体が上下前後左右に重なり、区分けされた生命体が写っていて、何かの関係を表示した映像がある。家系図か政治構造か指揮系統か分からない。上にいる生命体の数は少ないから先祖か指導者なのだろう。球体の中に宇宙の映像がないのは、宇宙進出していない種属なのかもしれない。エネルギー源と一口に言ってもいろいろあるようだ。水力、火力、地熱の惑星エネルギー。光、核融合、重力、恒星エネルギー。ブラックホール、中性子星、超新星爆発等の銀河上にあるエネルギー。銀河団を結びつけるダークエネルギー。それぞれのエネルギー効率の高さで文化のレベルがあるようだ。エネルギー効率の高い文明はエネルギー変換と回収を繰り返し宇宙進出しているようだ。

 一番気になる空中都市のある映像の球体を見に行った。ガス惑星で気圧が高いのか風が強いのか、都市が空中に浮いている。空中にはいろいろな形の生物や小さなものが飛んでおり、竜巻の中にいるようだ。全てが飛んで流されているから、相対的にそれぞれの速度差は思ったより小さい。物の形や向きにより動きの速さが異なるようだ。遠くから見ると、低い多角柱や球をつなげた様に見える。知的生命体のエネルギー源は風力発電や光発電がメインのようだ。住居は平べったい。ミルフィーユの様に隙間を空けて縦横無尽にいくつも繋げた都市構造をしている。外壁には絵か文字か判断できない図形が描かれている。住居、食堂、畑、工場、職場は平面ではなく立体構造につなげているから、都市内では移動距離が少なくて効率的だ。移動する乗り物は大きな凧だ。風上へ向かう時は上昇し羽を少しすぼめ滑空し目的地に行く。地球では資源は地下から採取するが、ここでは連なった大きな鯉のぼりの様に、筒状の工場が沢山浮かび、口から資源を取り込み加工している。すべての建物や連結している通路の屋上部分は、光発電や畑が作られエネルギーや食糧を得ている。家の中では蟹歩きをしている。部屋の大きさの割に廊下が狭いのは体の構造上蟹歩きののせいなのだろう。部屋の中には壁が映像を出していて部屋の隅に大きな三角形のベッドあるだけだ。食事や仕事は他でするようだ。ここの生物の形は全てが薄い。住居の持ち主はムササビ型で手が2本、足が4本持つタイプや、エイ型で表裏に2つの顔を持ち手が2本、足が4本の12本の手足を持つタイプだ。屋外に出る時は、銀の服を着て頭のあたりにフイルム状のシールドを付けている。この惑星ではこの2種類だけが高い知性を持っているようだ。

 次の球体は、文化が理解不能なほど発展していて、SF映画の未来都市を見ているようだ。建物も都市構造も幾何学的な形をして浮いている。都市間は直接つながらず、翼も浮遊機能も見えない小さな卵型の乗り物が列をなして飛んでいる。長距離都市間の移動は、一度宇宙へ出て放物線を描くような飛び方で移動している。惑星のあちこちに巨大都市が点在しているが、とても自然を大切にしている文化で、どこからも人工的な煙が出ていない。惑星の周りには宇宙都市が沢山浮かんでいて、他の惑星への移動に使っている。ここの知的生命体は鳥のような体だ。前半分が柔らかい丸いうろこ、翼と背中側は羽毛、側面は針のような細長いうろこだ。目はやや前よりの左右に大きいのが1個ずつ、小さいのが前に2個、後ろに1個ある。生活映像によると、前方の目は捕獲用で望遠型、後方の目は捕食者発見用で広角型だ。耳は前よりの左右と後ろの3個ある。手が4本、指が4本、足が4本ある。地上や海にも生物は多種類多数存在し、他にも鳥型の生物がいるが、この惑星ではこの種類だけが高い知性を持っているようだ。

 次の球体では、二重惑星で小さい方に住んでいる知的生命体だ。大きい方とは光の束でつながっている。光の束の意味は理解不能だが、こちらも非常に進んだ文明だ。大きい惑星と向き合う側が生活エリアになっている。歴史映像によると、この知的生命体は重力が低い惑星で生まれ生活していたが、恒星の状態変化が惑星の環境変化を起こし生命維持出来なくなる事が判明した。いくつの恒星を周り元の環境と似た惑星を探査し、ハピタブルソーンにある2つの惑星を、移住前の惑星と同じ重力になるように二重惑星に作り替え、移住して来た文明だ。都市構造は、巨大な宇宙船をつなげたような形で浮いている。地上にも海上にも海中にも宇宙にもある。いくつもの地上の都市は宇宙船の周りに幾何学的な模様を作っているが自然と調和している。こちらも人工的な煙は見当たらない。ここの知的生命体は太いトンボのような体だ。目は前に2個、上前方に2個、左右後ろに1個ずつの7個もある。耳は前よりの左右と上方と後方に計4個ある。6本の細長い手、縦に並んだ6本のゼンマイのような指がある。尻尾に当たる部分は6本のみみずのような足があり、直立歩行をする。歩く時は6枚の羽は縦になり背中に沿うような形になる。羽は体の動きに合わせて縦にも横に曲がる。地上や海にも生物は多種類多数存在するが、この惑星では移住してきた種類だけが高い知性を持っているようだ。

 どちらの生命体の文化も非常に進んでおり、宇宙へ進出している。空中都市にまで発展する文化は、空を飛ぶ生物だからこそ空中都市ができるのだろうか。宇宙へ行く発想は、空と宇宙の境界線が曖昧だから起こりやすいのだろうか。小説では19世紀半ばに大砲に乗って月まで行った。ライト兄弟が動力飛行で空を飛び、60年以上を経て人類は月へ行った。空を飛ぶ事が現実にならなければ、宇宙へ行く想像すらしないのだろうか。空中以外にも生物がいるが、地上海中地中の生物は文字を持つ文化にまで発展していないのは、ただ単に時間の問題なのだろうか。

 次に水中都市の映像の球体を見てみた。こちらの知的生命体のエネルギー源は波力や水流発電がメインのようだ。海面では光発電もしている。住居は流線形だ。水底に張り付いている物もあれば水中に浮いている物もある。水中に浮いている物は平べったい楕円球型が多い。建物は膜構造が多く柔らかい。障害物がぶつかっても軽く跳ね返すようだ。深度が深く光が届かない場所では建物の屋根や壁部分が光って周りを照らしている。人工物で光らせたり発行生物が張り付いている。乗り物はイカやタコのようなジェット推進装置を複数付けたカジキのような形をしたものに乗っている。フグの様に膨らむ機能があり重い物も浮かせて運ぶ。資源採集は大きなワームのような機械が海底を這い口から資源を取り込んでいる。時々地下にももぐり移動した後の穴はふさいだりそのまま住居や倉庫に変えたりしている。採取した資源は海底の大きなドームに持って行き加工している。すべての建物の屋上や外壁は、植物が張り付き小さな生物がいて天然の畑を作り食物を得ている。木漏れ日のようになってキラキラしている。住居の持ち主は魚型に近い。目は左右と上部に前後の計4個ある。首があり手が4本ある。首の前の口の横あたりに小さな長い手と首の後ろに太い手がある。泳ぐ時は首を縮め手足は体に沿ったくぼみに収納し、なだらかな流線形を作っている。足はなく大きな尾ビレがあり縦型と横型があり人魚のようだ。他にもイカやタコ型で、目が左右とやや上部に前後の計4個、細長い手が4本と太い脚が4本あり吸盤は先端にだけ付いている。服はカムフラージュの為か周りと同化するような服を着ている。この惑星での知的生命体はこの2系統だけのようだ。目が6個やとても大きな一つ目の生物もいるが、道具を作るほど知能は高くないようだ。

 次に地上型の都市の映像の球体を見に行った。脊椎動物型、節足動物型、軟体動物型、植物型、その他の形容しがたい型。地上型は形状の種類が圧倒的に多い。地球人間型の目耳手足が一対ずつは非常に少ない。SFの映画やドラマに出てくるような目が大きくて皮膚や服がグレーや緑色の姿の知的生命体は見つけられなかった。都市の形状も人工物で固めたビルの乱立や、自然を利用し知的生命体がいる事を隠している文明もある。資源はその惑星の地下から採取しているのがほとんどであるが、近くの惑星へ取りに行っている文明もあり、中にはエネルギーを恒星から直接吸い取っているのもある。資源の加工では、形を変えるだけでなく、分子や原子の構造を変えたり組み替えたりして新しい人工物を作る文明もある。発電は惑星内の自然エネルギー変換だけでなく、恒星の近くまで行き、光以外のエネルギーも採取している文明もある。中にはブラックホール、中性子星、白色矮星を人工的に作り出し長距離移動のエネルギー源にしている文明もある。コミュニケーション方法は、動物系知的生命属は音や光で意思疎通し思考は個人中心文化が多い。意見の食い違い、理解度の差などの理由や知識の蓄積の為に文字文化が発達している。一方、植物系知的生命属にも目耳鼻口手足がある。当然、一対から多対まで多種類ある。エネルギー源は光合成が中心で、活発に動く時は動植物を食用する。知識を持つと重力の大きさにもよるが3m以内の大きさになる。栄養素が大きさより知能の発展や維持に使われる様になる。一斉に花咲かせたりサンゴが一斉に放卵したりするように一斉に同時行動するのが多い。意思疎通はフェロモン放出、電磁波通話やテレパシーでも使うのか、一瞬で多数決し思考は共有文化中心の文明が多い。思考や記憶は分担され、必ず誰かが必要な情報を持っている為か、文字文化はそんなに発展していないのに知性の高い文明もある。節足動物系知的生命属の中でも、昆虫系知的生命属は医学が特に発展している。さなぎの変態機能から発展し身体再生技術を持っている。怪我をすれば溶液を上に塗り、身体の一部を失えば内臓や義手義足のようなカプセル型の医療器具を付ける。この技術は一部の動物系植物系の生物にも有効であり、恒星間貿易の品目にもなっている。地上型生命は気象のブレが大きく生活環境も変わりやすく、生物の種類も多い。何かに対応する場面が多くなり、道具を使い始めるようになる。同時に知能が発達し道具を改造生産するようになり、やがて惑星外まで行く種属が多くなるようだ。

 知的生命属に共通して言える事は、手先が器用であり、言葉等でコミュニケーションを行い、文字で情報を蓄積し、服を着ている。服を着始めたのは寒さ対策、カムフラージュの理由だけではなく、様々な理由から勲章のような化粧、戦利品の装飾から始まり、権威を表す装飾品や服装を身に着け、身分や役割分担ができ社会が発達していったのだろう。この宇宙は生命の材料であふれ、生存環境を探し求め、定住し進化するタイミング待っているという事なのだろうか。



 ボォ~~~ 遠くで船の汽笛のような音が聞こえた。足元の地球がかなり小さくなった。上を見ると写しだされていた星が放射状にこちら側に流れ出した。中心から次々に星が現れ外側に流れていく。中には赤っぽいのや青っぽい線が時々現れる。放射状の線が一面に広がった。やがて流れていた放射状の光線の外側の端が赤くなってきた。進行方向中心の星の線は青っぽい。下を見ると赤い放射状の線が中心へ流れていく。中心が暗くなってきた。だんだん大きくなり、闇が追いかけてくるようだ。光速になりつつあるのか。過ぎ去った光が追い付けないのだろう。上を見ると外側にあった赤い淵が中心に近づくように小さくなっていく。赤の外側の周りは真っ暗だ。中心の青と周りの赤までが綺麗なグラデーションになり小さくなって消えてしまった。黒一面の中にグレーの点が現れ大きくなり一面がグレーになった。中心に黒い点が現れ広がり黒だけになった。何度か繰り返し筒の中を通っているような感じだ。だんだん間隔が早くなり筒が短い筒の連続になり、筒がリングになり、リングとリングの間隔も短くなり、連続したリングの中を通っているような感じだ。リングの色はグレーから赤色になり紫色へグラデーションしていく。

 これはなんだ。イメージ映像か、知的生命体の演出か。光速以上で移動しているって事は、もう地球に戻っても時代が変わっているのだろうか。それとも多次元世界から1次元世界を見た時のように、角を曲がっただけと言われたようなものなのだろうか。

 ドォ~ン 遠くで大太鼓を叩いたような音がした。リングの色が紫色から赤色へのグラデーションになりやがてグレーになった。リングの流れが遅くなり、筒の連続になり、黒とグレーの繰り返しになり、黒から中心が青で外側が赤の小さな放射状のグラデーションが現れ、それが大きくなり、沢山の放射状の光の線になり、線が流れる点になり広大な宇宙になった。下を見ると真っ黒で何もなかった空間に、真ん中がロート状に飛び出た歪んだ広大な宇宙が見える。ロート状はどんどん低くなり歪みが消えた。ワープが終わったのか。

 下は3次元空間、上は高次元空間、今いる場は上の高次元空間をコントロールしている超高次元空間という事なのだろうか。

 右半分は上下を貫いて大きな渦巻状の銀河が見える。天の川なのかアンドロメダなのか別の銀河なのか。銀河の中心の膨らんだあたりの回転軸上にいる。天の川銀河なら3万光年、アンドロメダ銀河なら250万光年もワープした事になる。上を見ると何か大きなものに近づいている。銀の球体だ。惑星くらいの大きさで周りの宇宙が反射して写っている。大きな穴が一つ開いている。どんどん近づいて行き、穴の中に入った。穴の中は真っ暗で球体の裏側と思われるあたりに超銀河団が沢山浮いて並んでいる。文明エリアの分布図よりさらに数が少ない。何を基準に選んでいるのだろうか。並んだままの超銀河団が一方向に動き出し、いや、こちらの向きが変わり一つの超銀河団に近づいて行った。多数の銀河団が一面に重なって見える。

 突然暗闇から宇宙へ出た。超銀河団の移動だから数億光年から数十億光年移動した事になる。いろいろな色の星と虹色ガスで一杯の宇宙が現れた。どこかのガス星雲の銀河にたどり着いた。近くにゆがんだ渦巻銀河や楕円銀河がある。楕円銀河の端っこに向かっているようだ。下を見ると黒い穴が開いた銀の球体が小さくなっていく。放射状に星が後ろへ流れ、先ほどと同じ流れの光景になった。光の収束、早くなるリング、音、遅くなるリング、光の発散、放射状の線から点へ。

 近くに3つの恒星がある。くっつきそうな2つの恒星と離れた所に3つ目の恒星がある。いつのまにか半球状に並んだ球体は離れ、この恒星系の惑星地図を表示する球体が一つだけになっている。この恒星系は中心に二重連星の恒星のあり、3つ目の恒星は中心から離れた場所で垂直に交差した形で細長い楕円公転している。ハビタブルゾーンは二重連星の恒星の周りと3つ目の恒星の周りにあるのだろう、3つ目の恒星の位置により、惑星には夜がない時期がありそうだ。大小合わせて30近くあり3色に色分けされている。惑星は衛星をいくつか持っているのが多い。土星のようなリングを持っている惑星もいくつかある。ただそのリングは実際にはほとんど見えない。説明されたからわかる程度だ。太陽系の小惑星帯みたいなリングがいくつもある。どうやら二重連星の恒星の円周上で、3つ目の恒星の垂直公転軌道より内側に行くようだ、白と黒と6色のグラデーションでまだら模様の惑星に近づいてきた。昼側の部分はホワイトオパール、夜側の部分はブラックオパール、境目はファイヤーオパールのように見えとても綺麗だ。どんな生物、文明と出会えるのだろう。白い雲の中に入って行く。わくわく。

 ん、何だ、何が起きた? ここまで来て、もうすぐ到着なのに・・・。



 ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピピッ、ピピッ、ピピッ、ピピッ、ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ、・・・。 

 眠い! もう朝か。目覚まし時計は嫌いだ。いつも寝ている時に起こす。あとチョット、あとチョットで。

 ん? 何があとチョットなんだっけ。






2020年 夏 東京都渋谷区


 久しぶりに紙飛行機をいくつか折ってみた。まずは三角形に近いプロトタイプ改良版A型からだ。これは中央後方に下向きに力を与え迎え角を持たせるようにした形だ。頭の上へ手を伸ばし垂直に下向けに落とす。重力に従いそのまま体に沿って落下し、腰のあたりからクイッと前方に曲がり滑空していく。期待通りの動きだ。次はアスペクト比を高くした横長のB型だ。これは翼の前半分を上向けに曲げ空気を下側に流す方法だ。上昇するのに下側へ力を与えるような無駄な力を無くした形だ。同じように落とす。胸のあたりで前方に曲がり滑空していく。予想していたより早く滑空を始めたが思った通り直進性が弱い。風見鶏のような尾翼をつけられれば風上に向いて飛んでいくだろうが、簡単な折り紙飛行機ではなくなってしまう。それにグライダーと似たような形になってしまっては面白みがない。A型の改良版で折る回数を減らしたC型、見た目はかなりすっきりしている。翼の前面一部を上向けに曲げ空気を下側に流す方法だ。B型と同じように下側への力を無くした形であり、重心も中央寄りになっている。これも同じように下向けに落とす。腰のあたりからクイッと前方に曲がり滑空していく。こちらも期待通りの動きだ。強度不足を補う為、新聞広告の中でも厚みのある堅い不動産広告を使っている。もっと柔らかい用紙でも作れないか、揚力が効きすぎて失速しないか、風の弱い日と強い日の折り方の違い等、課題はまだたくさんある。室内はともかく、外で飛ばす時は、風を読んだり微調整の箇所が多いが、それが楽しい。ここに住んで十数年になり、近くの低階層のビル群は数年前に大きな駐車場になり、最近高層ビルに変わった。ビル風が吹くようになり、家の前の道路は言わば風洞実験室のようになった。それでも外で飛ばす時は天候次第なのがもどかしい。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)



2023年 春 東京都渋谷区


 反り返るように折ったいくつかの紙飛行機を持って外に出た。室内では頭の上から軽く押してやると、5mくらい前に着地するように調整しておいた。紙飛行機は尖った方を前にして飛ばすのが多いが、あえて前後を逆にして尖った方を後ろにし、水平を維持したまま足元に落下するタイプもある。季節の割には風が冷たい。いつもの事だがわくわくする。左側を風上に立ち、伸ばした右掌の下に風で紙飛行機が張り付いている。掌を45度から水平に倒していきながら指先をすぼめ紙飛行機の上側にも風が流れるようにする。手から離れ落下するが、そのまま下へゆっくりと水平を保ったまま落ちていく。先端が上を向いて縦になる時は揚力が効きすぎている。後ろへ水平のまま流されるように飛ばしたい。風に乗れない時は水平を保ったまま、パラシュートのようにその場か少し前に落ちてくのが理想な飛び方だ。風を受けやや上向きの状態を保つようにしたい。風の強さにより紙飛行機の折り目の位置で幅を変えたり角度を変えたりして何度か調節する。風の強さにより浮遊する紙飛行機の種類が違う。風に乗ると前側が少し上向きその場にとどまるか後ろへ流される。前には飛ばない。無風になった時は室内で飛ばした時と同じ動きで、水平を保ったまま降下するか斜め前へ滑空する。ゆらゆらとふら付きながらも少しずつ高度を稼ぎ、風下上空へ浮遊する。出来た! 完成だ! 嬉しい! ここまで来るのに長かった。上下逆、重心の前後、飛ぶ方向の前後逆、羽の広い方を前にするか後ろにするか、風の有る無しでの飛び方の違いなど、ダメ元でやってみて新しい事に気づくことが多かった。上昇気流のある山腹等では、きっと風に乗って上昇しやすいだろう。でもまだ風上に向く力が弱い。新しい課題が出て来た。

 ただ、この紙飛行機は上昇気流にうまく乗った時、一度しか遊べないのが欠点だ。小さくなっていく紙飛行機を想像しながら思った。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)






PS


 都会は迷路だ。地下鉄の出口を間違えると手元の地図は役に立たない。間違いに気づくまで、存在しないキーとなる建物を探し回ったりしてしまう。

 下町や昔からある住宅街は道路が碁盤に走っておらず、道なりに歩いていると方角がずれていく。

 渋谷界隈も同じである。毎年の春の花見で代々木公園から帰る時、迷子を楽しんでいる。知っている道を通ってもつまらないので毎年違う道を通り、新しい店を発見したりして散歩を楽しんでいる。曇りの日は方向が分からなくなりとんでもない方向へ歩いていたりする。「渋谷駅はどちらの方向ですか?」と道を尋ねると、とんでもない方向を指さす場合がある。それはそれで驚く事が楽しいのだが、せっかく見つけた店へたどり着けないのも残念である。帰宅後ネットで調べておくのだが月日が経つと店の事も忘れてしまう。さらにコロナの影響で閉店した店も多い。でも毎年、今年はどんな店と出会うのかと楽しみは尽きない。小さな楽しみである。






付録


 話の中に出て来たカードの作り方(2進法で考える)


  正三角形 9枚 

   底辺、右上辺、左上辺の順に半円の有る無しを表記する

(●が黒い半円を書く場所)

    ー   ー   ー  ←このパターンは2枚

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  正四角形 16枚

   左辺 下辺 右辺 上辺の順に半円の有る無しを表記する

(●が黒い半円を書く場所)

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  正六角形 64枚

   左上辺 左下辺 下辺  右下辺 右上辺 上辺の順に半円の有る無しを表記する(●が黒い半円を書く場所)

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 カラーバージョンカードの作り方


  ・正三角形、正四角形、正六角形、正立方体、どれも考え方は同じ 

  ・カードの場合は上下が分かるように、真ん中に上向きの矢印をつける

  ・立方体の場合は3方向の向きが分かるように、上辺に矢印をつける

  ・カードの枚数は(色の数+1)に辺の数の乗数になる

    (色の数に1を足すのは色を付けない辺があるため)

  ・正立方体の個数は、面につける色の数に面の数(又は+1)の乗数になる


  例 正四角形のカードで、4辺に4色を割り当てる場合、4色と色を塗らない背景の

色で5(色パターン)の4乗(辺の数)になる = 625枚

    1 4桁の5進法の表を作る

    2 桁と辺の対応場所を決める

      1桁目=上辺 2桁目=右辺 3桁目=下辺 4桁目=左辺

    3 数字と半円の対応色を決める

      0=色なし 1=赤 2=黄 3=緑 4=青

    4 桁と対応する辺、その桁の数字から対応する色を、辺の中央に半円を塗る       


 遊び方


  ・遊び方のルールを考えるゲームとも言える

  ・話の中にあったように まずは半円を合わせる接続ゲーム 

    まずは矢印の方向を決めないで全部繋げてみる

    矢印の方向を決めないで大きな四角形の形になるように作る 

    矢印の方向を決め大きな四角形の形になるように作る

  ・黒を赤黄緑青に塗り替えて、4色セットでトランプのように遊ぶこともできる

  ・トランプはマーク(又は赤黒)と数字の2要素 話の中のカードは半円の色、

数、場所で3要素

    1要素増えた分 単純なルールを複数作る

    複雑なルールを少なく作る

  ・2進法が理解できれば、半円の位置に重みを付けて遊べる

  ・半円の有る無しの場所や数、色で ポーカー、ブラックジャック、

セブンブリッジのような遊びができる


 プログラミングができる読者へ


  答えが出ても賞品はありません ただの興味です (完成形を見たいだけ)


  正方形カード


   問A1 正四角形カードで半円が黒の有る無しパターン(16枚)を、

黒い半円で全て繋げる時、回転や上下左右反転で同じ形になるのを

1パターンとすれば何パターンできるのか


   問A21 正四角形カードで半円が4色のパターン(256枚、1辺16枚)を、

同じ色の半円で繋げ、一番外側の辺の半円の色を1色にする時、

大きな正四角形になるように作れるのか

   問A22 問A21が作れる時、矢印の向きを統一してもできるのか

   問A23 問A22が作れる時、回転や上下左右反転で同じ完成形になるのを

1パターンとすれば、何パターンできるのか


   問A31 正四角形カードで半円が4色+色なしのパターン(625枚、1辺25枚)を、同じ色の半円で全て繋げる時、大きな正四角形になるように作れるのか

   問A32 問A31が作れる時、矢印の向きを統一してもできるのか

   問A33 問A32が作れる時、回転や上下左右反転で同じ完成形になるのを

1パターンとすれば、何パターンできるのか


  正六角形カード


   問B11 正六角形カードで半円が黒の有る無しパターン(64枚)を、

黒い半円で全て繋げる時、点対称の大きな正六角形ぽく作れるのか

(枚数的に大きな正六角形にはならない) 

   問B12 問B11が作れる時、矢印の向きを統一してもできるのか

   問B13 問B12が作れる時、回転や上下左右反転で同じ完成形になるのを

1パターンとすれば、何パターンできるのか


   問B21 正六角形カードで半円が6色のパターン(46,656枚)を、同じ色の

半円で繋げ、点対称の大きな正六角形ぽく作れるのか

(枚数的に大きな正六角形にはならない)

   問B22 問B21が作れる時、矢印の向きを統一してもできるのか

   問B23 問B22が作れる時、回転や上下左右反転で同じ完成形になるのを

1パターンとすれば、何パターンできるのか


   問B31 正六角形カードで半円が6色+色なしのパターン(117,649枚)を、

同じ色の半円で全て繋げる時、点対称の大きな正六角形ぽく作れるのか

(枚数的に大きな正六角形にはならない)

   問B32 問B31が作れる時、矢印の向きを統一してもできるのか

   問B33 問B32が作れる時、回転や上下左右反転で同じ完成形になるのを

1パターンとすれば、何パターンできるのか


  正6面体


   問C11 正6面体で面が黒か白のパターン(64個、1辺4個)を、

黒の面で全て繋げる時、大きな正立方体になるように作れるのか

   問C12 問C11が作れる時、矢印の向きを統一してもできるのか

   問C13 問C12が作れる時、回転や上下前後左右反転で同じ完成形になるのを

1パターンとすれば、何パターンできるのか


   問C21 正6面体で面が6色のパターン(46,656枚、1辺36個)を、

同じ色での面で繋げ、一番外側の面の色を6色に分ける時、

大きな正立方体になるように作れるのか

   問C22 問C21が作れる時、特定の色で包むように外側のすべての面を

同じ色でそろえ大きな正立方体になるように作れるのか

   問C23 問C21、問C22が作れる時、矢印の向きを統一してもできるのか

   問C24 問C23が作れる時、回転や上下前後左右反転で同じ完成形になるのを

1パターンとすれば、何パターンできるのか


   問C31 正6面体で面が6色+色なしのパターン(117,649個、1辺49個)を、

同じ色の面で繋げる時、大きな正立方体になるように作れるのか

   問C32 問C31が作れる時、特定の色で包むように外側のすべての面を

同じ色でそろえ、大きな正立方体になるように作れるのか

   問C33 問C31、問C32が作れる時、矢印の向きを統一してもできるのか

   問C34 問C33が作れる時、回転や上下前後左右反転で同じ完成形になるのを

1パターンとすれば、何パターンできるのか


本編の目次とあらすじ(発表予定なし)

 

 前編 

  ファーストコンタクト

   月の軌道より内側に巨大な三角形の物体が現れ、4つの三角形に分離し

等間隔に地球を囲んだ。

   国連は先制攻撃しない様に各国に提言する。

   その後数年間、年に数回、多数の巨大な球体が地球表面を周回するが何もしない。

   複数の国家や団体が、球体や三角形に攻撃を始めるが、破壊できないし

反撃もしてこない。   

   複数の都市に直径3mの球体を置かれ、各国は調べるが何も分からない。   

  目覚め

   太陽フレアの危機、未来に地球と衝突する隕石の通過、巨大な自然災害等から

人類は助けられる。

   球体は、全ての攻撃はエネルギー変換され、吸収される事を伝えるが、

人類は理解できない。

   圧倒的な文明レベルの差を知り、人類は球体への攻撃、全ての戦争や紛争をやめる。

   球体から新しい発想の基礎数学、基礎物理、基礎化学を学ぶ。

   球体は三角形の中に戻り、4つの三角形は合体して消える。

 後編

  旅立ち(1万年後)

   球体から学んだ知識を発展させ、人類は高度文明に進化する。

   宇宙空間で1G加速が出来るようになり、太陽系内なら2週間で往復できる

ようになる。

   資源は他の惑星からも採取するようになり、惑星上の閉鎖空間へ移住する者が

出始める。

  進化(10万年後)

   さらに進化し、天の川銀河内や衛星銀河まで往復できるようになる。

   宇宙に散らばった人類は、移住先で人口を増やしていく。

   移住した人類は、身体も精神も文明もそれぞれの環境に特化した形態進化する。

   元人類や既存の知的生命体が、進化レベルの異なる文明と出会う時、対応が分かれる。

   自己優先交流系の破壊型、奴隷型、強制移住型、身体同化型等。

   継続交流系の貿易型、救助救援型、知識提供型等。

   非交流系の観察型、放置型、資源採取型、逃避型、潜伏型等。

 エピローグ

  セカンドコンタクト(100万年後)   

   アンドロメダ銀河の近くに縦筋のある巨大な円柱が現れ、長さの異なる円柱に

分裂した。

   分裂した円柱は周りの銀河へ飛び、近付くと7本の六角柱に分裂した。

   それぞれの六角柱は、薄い六角形、6個の三角形と分裂し、4つの小さな三角形に3回分裂を繰り返した。

   知的生命体のいる惑星に行き、三角形はさらに4つの三角形に分離し等間隔に

囲んだ。

   三角形は恒星、惑星の環境、知的生命体の歴史、文明、文化レベルを調査する。

   進化の秩序を乱す知的生命体か、未来行動も分析する。

  生き残り

   ミトコンドリア、葉緑体、その他のエネルギー変換機能を停止された知的生命体が

いる。

   遺伝子や知能を機能低下させ、低文明レベルで他惑星へ移住させられた知的生命体がいる。

   進化の秩序維持や他の目的の為に、問題はあるが教育して存続された知的生命体がいる。

   生き残った知的生命他は、継続交流系か非交流系に分類される。

   三角形は、作業が終わると次の知的生命体のいる惑星へ行くか、合体して戻る。



最後に


 白い空間の記憶はあなたも持っている 分けるゲームでは、どこまでできた?

 未来の子供たちの為に人類は一つになり、現在の地球環境を維持しなければならない

 昨日より素敵な明日に出来ますように



<終>







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