脈あり脈なし、見分け方は第三者
私は、恋をした。
その人は、とてもやさしくて。かっこよくて。
私が困った時は、親身になって相談に乗ってるくれる。
「私。小川先生の事が好き」
「馬鹿じゃないの」
一瞬で私のきもちは、否定された。
否定したのは、親友の茉奈。
「輪花。よく考えて、私たちは学生で、相手は先生」
「それくらい分かってるよ」
放課後。
私の部屋で、親友と二人勉強しつつ、恋バナに花を咲かせていた。
「けど、さ。私が小川先生が好きなように。小川先生も私の事を好きなんだよ」
「・・・意味が分からない」
「だ~か~ら~。私と先生は両想い」
真剣に話をしているのに、茉奈は冷たい目で「そう思う根拠は何?」と尋ねてきた。
「ふっふっふ。根拠は三つある」
「ふーん。はい。聞かせて」
開いていたノートを一旦閉じて話に集中する。
「根拠、一つ目。よく私の相談に乗ってくれる」
「担任の先生だからね。担当クラスの生徒が困っていたら、話を聞きに来てくれるだろうね」
「根拠、二つ目。授業中に何度も私の方を見てくる」
「輪花。自意識過剰。偶然じゃないの」
「ちょっと、茉奈。どうして、そんな事ばっかり言うの?」
順に根拠を述べて言っているのに、全て否定してくる茉奈に腹が立つ。
親友が恋をしているのだから、もっと応援してくれたらいいのに。
「もしかして、茉奈も、小川先生の事が・・・」
「はぁ?!馬鹿じゃん!そんな訳ないでしょ。私は率直な意見を言ってるだけで」
「だけど、残念。最後の根拠を聞けば、私と小川先生が両想いだというのを認めざるしかないよ」
「人の話を聞けよ」
「なんとね。週一で私の家に来るんだ」
「へぇ・・・。それ、本気で言ってる?」
「うん」
茉奈が「マジ」って顔で驚いている中、自宅のインターホンが鳴った。
母が玄関に出て、少し会話をした後、リビングへと戻って行く足音が二人分になっていた。
「ちょっと、行ってくる」
「えっ。どこに?」
「リビング。そうだ。茉奈も一緒に来て」
茉奈の手を引きつつ、私はリビングへと向かった。
「輪花さん。お邪魔してるよ」
小川先生が家に来ていた。