不審な手紙
「ふんふふふんふ~ん♪ 見よ明け渡る 東を~」
その日、私は最近気に入っている歌を口ずさみながら、いつものように登校していた。
気に入っている歌は、つい口ずさんでしまう癖があるのだ。
これをどうやってアレンジしようか? 悩みどころだ……
最近発表されたインディーズの歌を、どうアレンジして歌おうか? 曲調ははどんな風に変えようか? 歌詞も一部変更してみようか? などと考えている時間は至福だ。
まぁ、別に歌がうまいわけでも、作曲が得意なわけでもないので、あくまで趣味の域を出ないのだが。
もっと歌が上手ければ、私だって……
少し憂鬱になってしまったので、気分を切り替える。
いつもと何も変わらない朝を過ごしながら白日高校の昇降口まで行き、いつもと同じように下駄箱を開ける。
しかし、そこにはいつもと違うものが入っていた。
「ん? なんだこれ?」
それは、綺麗な白い封筒だった。もちろん、こんなものを下駄箱に入れた覚えはない。
「え? ナニコレ?」
この状況で頭に思い浮かぶ可能性は……
「い、いやいや、まっさかぁ~」
まさかまさかまさか……ら、ラブレター?
「そんなまさか! 私みたいな女にラブレターとか! ないない!」
私は誰に向かって言ってるんだ?
でも、私のように可愛くもなければ、何か得意なことがあるわけでもない、そんな何の取り柄もないような奴にラブレターなんて……
いや、それは中身を見てみれば分かることだ。
万が一ラブレターだとしても、宛先を間違えているかも知れない。
そう思い、恐る恐る封筒を開けてみる。
すると……
「ん? んん?? え、ナニコレ……」
それは、私の予想の斜め上を行く代物だった。