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水槽の脳
世界とは、主観だ。
僕達が見ているこの世界は、脳が電気信号によって創り出しているしているものにすぎない。
僕達人間は、自分の主観という檻から出ることは出来ない。自分の認識から逃れることは出来ない。
つまり、自分の認識に囚われている。
記憶も記録も、その人が視る世界を構成するありとあらゆるモノは、その人の認識を通している。
もし、その認識に誤りがあったとしても、決してその本人には気づけない。
極端なことを言えば、世界が今この瞬間に出来たものだとしても、ありえないはずの過去を示す記憶と記録がありさえすれば、その人には遥か昔に出来たものだと認識されるだろう。
僕達が視て、感じて、思い出しているもの。それは本当に、『本物』なのか?
その答えは永遠に分からないままだ。
……仮に、今僕たちの脳が本当は水槽の中に入れられていて、電極によって信号だけを送られていたとしたら。
それに気づくことは、きっと不可能なんだろう。